フィリピン国防省傘下の民間防衛局(OCD)と国際協力機構(JICA)は来年、マニラ首都圏と近郊4州を合わせた「グレーターメトロマニラ」で、ウエストバレー断層を震源とする大地震のリスク評価に取り組む。地震・津波防災計画を更新する。
首都圏ではここ20年間で高層ビルや住宅の開発が進んだ=8月、首都圏タギッグ市(NNA撮影)
JICAフィリピン事務所の担当者がNNAの取材に応じた。グレーターメトロマニラは首都圏17自治体と近郊のブラカン、リサール、ラグナ、カビテの4州を指し、総人口は約3,000万人に上る。
首都圏を縦断するウエストバレー断層を震源とする首都直下型地震(通称「ビッグ・ワン」)について、2026年早期の調査開始を目指して日比で協議している。開始から3年後に地震・津波防災計画を策定する。
フィリピン政府は04年にもJICAの支援を受けて首都圏の地震防災計画を策定し、マグニチュード(M)7.2のウエストバレー断層地震によって死者が約3万4,000人、負傷者が約11万4,000人になるとの被害想定を出した。
その後の20年間で人口が増え、マニラ湾の埋め立て地などで都市開発が急速に進んだことも踏まえて、調査データを更新する。その上で各地域での具体的なリスク評価や対策検討に取り組む。
前回は対象外だった津波もリスク評価の対象とする。JICA担当者は、フィリピンでは首都直下型地震のほかに海溝型地震によるマニラ湾などでの津波が推定されていると説明。「地震だけでなく津波のリスクも考慮することは優先度と緊急性の高い課題だ」と話す。
内陸型地震のウエストバレー断層だけでなく、津波リスクを分析するために海溝型地震などのシナリオも想定する。具体的なシナリオの数は調査検討を経て確定させる。なお、直近で大地震があった中部セブ州と南部ミンダナオ地方にまで調査範囲を広げる予定は現時点でない。
「ビッグ・ワン」への関心は高まっている。フィリピン保健省は今月、首都圏の大地震で緊急対応する病院を発表。首都圏を東西南北に4分割して各地域に指定病院を配置した。ソリダム科学技術相は先に、NNAのオンライン取材に対し、建築許可を得ていない住宅に住む非正規居住世帯で、特に多くの犠牲者が出るとの見通しを示した。
国家災害リスク軽減・管理協議会(NDRRMC)によると、9月30日にセブ州で起きたM6.9の地震では79人が犠牲になった。人口が密集する首都圏で「ビッグ・ワン」が起こった場合は、さらに多くの被害が想定される。確実なリスク評価に基づく防災対策の充実が求められる。
9月末に発生した中部セブ州の地震では死傷者や建物崩壊などの被害があった(セブ州フェイスブックより)
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首都圏を縦断するウエストバレー断層を震源とする首都直下型地震(通称「ビッグ・ワン」)について、2026年早期の調査開始を目指して日比で協議している。開始から3年後に地震・津波防災計画を策定する。
フィリピン政府は04年にもJICAの支援を受けて首都圏の地震防災計画を策定し、マグニチュード(M)7.2のウエストバレー断層地震によって死者が約3万4,000人、負傷者が約11万4,000人になるとの被害想定を出した。
その後の20年間で人口が増え、マニラ湾の埋め立て地などで都市開発が急速に進んだことも踏まえて、調査データを更新する。その上で各地域での具体的なリスク評価や対策検討に取り組む。
前回は対象外だった津波もリスク評価の対象とする。JICA担当者は、フィリピンでは首都直下型地震のほかに海溝型地震によるマニラ湾などでの津波が推定されていると説明。「地震だけでなく津波のリスクも考慮することは優先度と緊急性の高い課題だ」と話す。
内陸型地震のウエストバレー断層だけでなく、津波リスクを分析するために海溝型地震などのシナリオも想定する。具体的なシナリオの数は調査検討を経て確定させる。なお、直近で大地震があった中部セブ州と南部ミンダナオ地方にまで調査範囲を広げる予定は現時点でない。
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