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3Qの雇用増加数は2.5万人前期比2.4倍、主要3業種で拡大

シンガポール人材開発省が10月30日に発表した雇用統計(速報値)で、2025年7~9月期の雇用増加数(前四半期比、メイドを除く)は2万4,800人となり、4~6月期の1万400人から2.4倍に拡大した。増加は2四半期連続。製造業、建設業、サービス業の主要3業種全てで増加した。公営住宅(HDBフラット)などの建設事業の拡大やサービス業の好調な業況などが背景にあるとみられる。国民・永住権(PR)保持者と外国人の両方で雇用増加数が増えたことも寄与した。

人材開発省が30日に発表した雇用統計で、2025年7~9月期の雇用増加数は2万4,800人となり、4~6月期の1万400人から2.4倍に拡大した=シンガポール中心部(NNA撮影)

7~9月期のメイドを含む全体の雇用増加数は2万9,900人。4~6月期の1万2,900人から2.3倍となった。
業種別では、製造業が4~6月期の900人から5,400人へと6倍に拡大。建設業は1万3,700人で、4~6月期の5,800人から2.4倍となった。メイドを含むサービス業は6,200人から1万300人へと1.7倍に増えた。世界経済の先行き不透明感を反映し、情報通信や専門サービスで国民・PR保持者の雇用が低迷したほか、卸売りも国民・PR保持者の雇用が減少した。一方で、医療・社会サービスや金融サービスで増加が目立った。
このほか外国人では、建設業や製造業での単純労働者向け就労ビザ(WP)保有者の雇用が多かった。
人事サービスを手がけるプログレス・アジア・シンガポールの斉藤秀樹社長はNNAに対し、「公営住宅の建て替えなどで不動産再開発が進んでいることを受け、建設作業員の需要が高まっている。これに伴い国内で建材の製造なども増えている」と説明。サービス業でも観光客増、中国系を中心とした飲食店の進出拡大、小売りの好調な業況などを受けて人材需要が拡大していると付け加えた。
最新の政府統計によると、国内の製造業は好調だ。シンガポール経済開発庁(EDB)が先ごろ発表した9月の製造業生産高指数(19年=100、速報値)は前年同月から16.1%上昇。24年11月以来、10カ月ぶりに2桁上昇となった。エコノミストからは11月にも発表される7~9月期の経済成長率改定値について、上方修正される可能性があるとの声も聞かれる。
統計局が10月に発表した25年8月の小売業売上高指数(17年=100、速報値)は5.2%上昇。上昇率は24年2月以来、1年半ぶりの高水準となった。

25年9月末時点の失業率(外国人を含む全体、季節調整済み)は2.0%。同年6月末時点の2.0%から横ばいだった。国民とPR保持者の失業率は2.8%で同年6月末時点から変わらず。国民は唯一上昇し、0.1ポイント上回る3.0%だった。
25年7~9月期の人員整理対象者数は3,500人となり、4~6月期の3,540人からほぼ変化はなかった。
業種別では製造業が4~6月期の650人から500人、建設業は140人から100人へとそれぞれ減少した。一方で、サービス業は2,750人から2,900人に増えた。
人材開発省が7月から9月にかけて実施した企業の景況感調査によると、10~12月期に採用人数を増やすと答えた企業の割合は44.1%となり、7~9月期の43.7%を上回った。ただ、金融・保険サービスや情報通信など外需主導型の業界は採用意欲が下がるなど、業種によって見通しにばらつきがある。昇給を検討する企業の割合も、金融・保険サービス、情報通信を中心に幅広い業種で縮小した。
同省は声明で、「7~9月期の雇用統計は底堅い経済成長に支えられ力強い内容だった。今後も雇用増加数はプラスの伸びを維持し、企業の採用意欲も堅調に推移する見込みだ。ただ業種によって動きはまちまちであり、昇給率の伸びも鈍化する可能性がある」との見解を示した。また「労働参加率が既に高い水準にある国民とPR保持者の雇用増加数は、外国人に比べて数値の伸びが遅れて顕在化する傾向がある」と付け加えた。

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このほか外国人では、建設業や製造業での単純労働者向け就労ビザ(WP)保有者の雇用が多かった。
人事サービスを手がけるプログレス・アジア・シンガポールの斉藤秀樹社長はNNAに対し、「公営住宅の建て替えなどで不動産再開発が進んでいることを受け、建設作業員の需要が高まっている。これに伴い国内で建材の製造なども増えている」と説明。サービス業でも観光客増、中国系を中心とした飲食店の進出拡大、小売りの好調な業況などを受けて人材需要が拡大していると付け加えた。
最新の政府統計によると、国内の製造業は好調だ。シンガポール経済開発庁(EDB)が先ごろ発表した9月の製造業生産高指数(19年=100、速報値)は前年同月から16.1%上昇。24年11月以来、10カ月ぶりに2桁上昇となった。エコノミストからは11月にも発表される7~9月期の経済成長率改定値について、上方修正される可能性があるとの声も聞かれる。
統計局が10月に発表した25年8月の小売業売上高指数(17年=100、速報値)は5.2%上昇。上昇率は24年2月以来、1年半ぶりの高水準となった。

25年9月末時点の失業率(外国人を含む全体、季節調整済み)は2.0%。同年6月末時点の2.0%から横ばいだった。国民とPR保持者の失業率は2.8%で同年6月末時点から変わらず。国民は唯一上昇し、0.1ポイント上回る3.0%だった。
25年7~9月期の人員整理対象者数は3,500人となり、4~6月期の3,540人からほぼ変化はなかった。
業種別では製造業が4~6月期の650人から500人、建設業は140人から100人へとそれぞれ減少した。一方で、サービス業は2,750人から2,900人に増えた。
人材開発省が7月から9月にかけて実施した企業の景況感調査によると、10~12月期に採用人数を増やすと答えた企業の割合は44.1%となり、7~9月期の43.7%を上回った。ただ、金融・保険サービスや情報通信など外需主導型の業界は採用意欲が下がるなど、業種によって見通しにばらつきがある。昇給を検討する企業の割合も、金融・保険サービス、情報通信を中心に幅広い業種で縮小した。
同省は声明で、「7~9月期の雇用統計は底堅い経済成長に支えられ力強い内容だった。今後も雇用増加数はプラスの伸びを維持し、企業の採用意欲も堅調に推移する見込みだ。ただ業種によって動きはまちまちであり、昇給率の伸びも鈍化する可能性がある」との見解を示した。また「労働参加率が既に高い水準にある国民とPR保持者の雇用増加数は、外国人に比べて数値の伸びが遅れて顕在化する傾向がある」と付け加えた。
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