タイの保健省疾病管理局(DDC)は5日、首都バンコクで国内4人目となるサル痘の感染者を確認したと発表した。感染したのは、22歳の女性。DDCは、サル痘の感染拡大について「新型コロナウイルス感染症ほどの感染力はない」とした一方、新たな対策を強化する方針を示した。国内ではバンコクを中心に行動制限の緩和を進めており、防疫との両立が大きな課題となりそうだ。
タイでは新型コロナとサル痘に対する警戒を強める一方、観光客の受け入れや行動制限を緩和していく方針だ。写真はタイ・バンコクのドンムアン国際空港(NNA撮影)
タイで女性のサル痘感染が確認されたのは初となる。女性は7月29日に発熱していたが、30日にもタイ人や外国人の友人と娯楽施設に行くなどしていた。その前にも週1回のペースで娯楽施設に行っていたと報告されている。同日から水痘が全身に広がり、8月3日にバンコク東郊サムットプラカン県の病院に入院。4日にサル痘のウイルスに感染していることが確認された。DDCは、女性と濃厚接触した疑いがあるルームメイトや外国人の友人についても検査を進めている。
東北部トラート県では6日、サル痘の感染が疑われているドイツ人男性が県内の病院に入院していると発表。男性は5日に水痘などを含むサル痘に似た症状を訴えて県内の私立病院で検査を受けた後、国が運営する隔離施設に移送された。感染症対策法に基づいて病院が検査する方針を伝えたところ、同日に男性が拒否し、病院から逃走しようとした。その後、警察が男性を取り押さえ、血液検査の結果を待っている。地元の当局は、男性がフランスからタイに入国したことは判明しているものの、入国した時期などは分かっていないと説明している。
国内では南部プーケット県でナイジェリア人とドイツ人、バンコクでタイ人2人のサル痘感染が確認されている。世界では7日時点で88カ国・地域、合計2万8,220人が感染した。このうち81カ国・地域では過去に感染例がなかったとされる。感染は欧米に集中しておりアジアでは、シンガポールやフィリピン、台湾、韓国、インドでの感染が確認されている。
保健省は5日の会見で、「タイでの感染は増える」とした一方、「新型コロナのような拡大はない」との見通しを示した。サル痘が感染症であることは認識しており、調査を進めているが、深刻な感染症ではないとしている。医療体制についても、感染者の増加に十分対応できると説明した。同省は詳細についてはコメントしていないものの、感染拡大のシナリオに基づき、各種の対策を講じていく計画だ。今月末には予防接種に使用する天然痘ワクチン1,000回分を入荷する予定で、治療薬の調達も進めている。
■娯楽施設の営業時間延長を検討へ
タイ国内ではサル痘に加え、新型コロナ対策で進めて来た防疫措置と、経済の活性化に向けた制限緩和の両立を目指すことになる。タイ観光・スポーツ省は来月にも、観光地の娯楽施設の開店時間を午前4時までとする措置を新型コロナウイルス感染症対策センター(CCSA)に提案する予定。外国人旅行者が増える10~12月に向け、より多くの外国人観光客を呼び込みたい考えだ。
同省の統計によると、今年1~6月の外国人観光客は約208万人、6月単月では77万人だった。タイ政府は、7月1日に入国申請システム「タイランドパス」を廃止するなど外国人旅行者受け入れ拡大に向けた制限緩和を加速しており、7月以降も外国人旅行者の増加が予想されている。ただ、同省は10~12月の外国人観光客の誘致目標を150万人に定めており、実績と目標との差は依然として大きい。10月に向けて外国人旅行者が多く集まる地域について、営業時間の延長を推進する意向を示した。ピパット観光・スポーツ相は「今月14~20日に開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)観光相会議での議論を経て、CCSAに営業時間の延長を提案する」とし、「延長が実現すれば、1カ月あたりの外国人観光客を50%押し上げる効果がある」と実現に向けて意欲を見せた。同省が各都県に聞き取りを進め、実施した場合の経済・社会的な影響について評価する。構想では、全地域での延長ではなく、外国人観光客に人気の地域に絞る可能性がある。ピパット氏は「持続可能な行動制限緩和」の一例として、「バンコクでもカオサン通りでは営業時間を延長し、トンローやエカマイは対象から除外する可能性がある」と説明。プーケットなどでも同様の措置とすることがありうるとしている。
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東北部トラート県では6日、サル痘の感染が疑われているドイツ人男性が県内の病院に入院していると発表。男性は5日に水痘などを含むサル痘に似た症状を訴えて県内の私立病院で検査を受けた後、国が運営する隔離施設に移送された。感染症対策法に基づいて病院が検査する方針を伝えたところ、同日に男性が拒否し、病院から逃走しようとした。その後、警察が男性を取り押さえ、血液検査の結果を待っている。地元の当局は、男性がフランスからタイに入国したことは判明しているものの、入国した時期などは分かっていないと説明している。
国内では南部プーケット県でナイジェリア人とドイツ人、バンコクでタイ人2人のサル痘感染が確認されている。世界では7日時点で88カ国・地域、合計2万8,220人が感染した。このうち81カ国・地域では過去に感染例がなかったとされる。感染は欧米に集中しておりアジアでは、シンガポールやフィリピン、台湾、韓国、インドでの感染が確認されている。
保健省は5日の会見で、「タイでの感染は増える」とした一方、「新型コロナのような拡大はない」との見通しを示した。サル痘が感染症であることは認識しており、調査を進めているが、深刻な感染症ではないとしている。医療体制についても、感染者の増加に十分対応できると説明した。同省は詳細についてはコメントしていないものの、感染拡大のシナリオに基づき、各種の対策を講じていく計画だ。今月末には予防接種に使用する天然痘ワクチン1,000回分を入荷する予定で、治療薬の調達も進めている。
■娯楽施設の営業時間延長を検討へ
タイ国内ではサル痘に加え、新型コロナ対策で進めて来た防疫措置と、経済の活性化に向けた制限緩和の両立を目指すことになる。タイ観光・スポーツ省は来月にも、観光地の娯楽施設の開店時間を午前4時までとする措置を新型コロナウイルス感染症対策センター(CCSA)に提案する予定。外国人旅行者が増える10~12月に向け、より多くの外国人観光客を呼び込みたい考えだ。
同省の統計によると、今年1~6月の外国人観光客は約208万人、6月単月では77万人だった。タイ政府は、7月1日に入国申請システム「タイランドパス」を廃止するなど外国人旅行者受け入れ拡大に向けた制限緩和を加速しており、7月以降も外国人旅行者の増加が予想されている。ただ、同省は10~12月の外国人観光客の誘致目標を150万人に定めており、実績と目標との差は依然として大きい。10月に向けて外国人旅行者が多く集まる地域について、営業時間の延長を推進する意向を示した。ピパット観光・スポーツ相は「今月14~20日に開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)観光相会議での議論を経て、CCSAに営業時間の延長を提案する」とし、「延長が実現すれば、1カ月あたりの外国人観光客を50%押し上げる効果がある」と実現に向けて意欲を見せた。同省が各都県に聞き取りを進め、実施した場合の経済・社会的な影響について評価する。構想では、全地域での延長ではなく、外国人観光客に人気の地域に絞る可能性がある。ピパット氏は「持続可能な行動制限緩和」の一例として、「バンコクでもカオサン通りでは営業時間を延長し、トンローやエカマイは対象から除外する可能性がある」と説明。プーケットなどでも同様の措置とすることがありうるとしている。"
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