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3年ぶりのハラル見本市開催日系企業も菓子や米油など出展

マレーシアの首都クアラルンプール(KL)で7~10日、ハラル(イスラム教の戒律で許されたもの)製品見本市「第18回マレーシア国際ハラル見本市(MIHAS)」が開催された。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、会場での開催は3年ぶりとなった。日系企業では、日本貿易振興機構(ジェトロ)と米油の製造などを行う築野食品工業(和歌山県かつらぎ町)がブースを出展した。

ジェトロのブースには8社の商品が並んだ=8日、クアラルンプール(NNA撮影)

日本を含む32カ国・地域から計1,258ブースが出展。そのうちマレーシア国内からが8割を超える1,049ブースを占めた。海外勢は、2019年の実績である49カ国・地域には届かなかった。
会期中に19億リンギ(約602億円)の成約を目指す。MIHASを主催する貿易開発公社(MATRADE)のムスタファ・アブドゥル・アジズ最高経営責任者(CEO)によると、前回はオンラインのみで約4カ月間の会期を設けた。そのため、成約額が過去最高の21億3,000万リンギに達しており、今回はそれをやや下回る水準を目標値に掲げた。
開会式でイスマイルサブリ・ヤーコブ首相は、「世界イスラム経済リポート2022」の「世界イスラム経済指標」でマレーシアが9年連続で首位を獲得していることに言及。国際的なハラル市場の規模が21年の8兆8,000億リンギから28年には60%近く拡大し14兆リンギに拡大するとの見通しを示し、ウィズコロナ下でのマレーシアの成長潜在性を強調した。
ジェトロ・クアラルンプール事務所は、ハラル認証を取得した菓子や健康食品、調味料など日系企業8社の24商品を展示した。小野沢麻衣所長は、19年に初めてMIHASに日本パビリオンを出展したときは4社の出展にとどまったとし、「募集の仕方などは異なるが、日系企業のムスリム市場への関心が高まっている感がある」と話した。
今回出展したのは、ジェトロが今秋、クアラルンプール市内に開設を計画するサンプルショールームに参加を予定している企業。同ショールームには、MIHASに出展しているハラル認証取得品に加え、ハラルフレンドリーの商品など29社のサンプルが常設展示されるという。
小野沢所長は、「現在、日本産のハラル食品は日本食レストランや高級スーパーマーケットに卸すのがメインになっているが、今後は中華や欧風といった異なるジャンルのレストランや、地場のスーパーなどに販路を拡大していくことが求められる」と述べた。
初出展の築野食品工業は、米ぬかからできた米油や原材料を展示した。これまでに欧米や中国、ベトナム、タイなどに化粧品やサプリメントを出荷しているが、「インドネシアやマレーシアへの輸出は不十分だ」(同社担当者)と話す。マレーシアでは日本食レストランへの販売を始めており、担当者は「米油に興味を持つ来場者は多く、バイヤーに限らずシェフもブースを訪れている」と手応えを語った。「レストラン以外の販路も拡大したい」と意気込む。
スイス系食品大手ネスレ・マレーシアは、北米とカザフスタンやキルギス共和国など中央アジアの国を主要なターゲットとした植物性食品や、コーヒーなどを展示。同社担当者は、「ハラル食品の市場では、機能性食品の需要が拡大しており、販売先となる企業側が関心を持っている」と指摘。同社はマレーシア工場で製造するハラル製品の20~25%を輸出しているといい、「特定の民族に特化せずにハラル製品の需要を掘り起こしたい」と述べた。
■国際調達プログラムも開催
MATRADEは今回、MIHASに合わせて、ビジネスマッチング・イベント「国際調達プログラム(INSP)」を、会場とオンラインの両方で参加が可能なハイブリッド形式で開催した。会場では6日に開催され、マレーシア国内から306人の輸出業者、海外から210人のバイヤーなどが訪れた。商談件数は1,450件に上った。
オンラインは11月15日まで実施されており、マレーシア国内から226人の輸出業者、海外から197社のバイヤーが参加する見込みだ。

開会式でスピーチするイスマイルサブリ首相=8日、クアラルンプール(NNA撮影)
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開会式でイスマイルサブリ・ヤーコブ首相は、「世界イスラム経済リポート2022」の「世界イスラム経済指標」でマレーシアが9年連続で首位を獲得していることに言及。国際的なハラル市場の規模が21年の8兆8,000億リンギから28年には60%近く拡大し14兆リンギに拡大するとの見通しを示し、ウィズコロナ下でのマレーシアの成長潜在性を強調した。
ジェトロ・クアラルンプール事務所は、ハラル認証を取得した菓子や健康食品、調味料など日系企業8社の24商品を展示した。小野沢麻衣所長は、19年に初めてMIHASに日本パビリオンを出展したときは4社の出展にとどまったとし、「募集の仕方などは異なるが、日系企業のムスリム市場への関心が高まっている感がある」と話した。
今回出展したのは、ジェトロが今秋、クアラルンプール市内に開設を計画するサンプルショールームに参加を予定している企業。同ショールームには、MIHASに出展しているハラル認証取得品に加え、ハラルフレンドリーの商品など29社のサンプルが常設展示されるという。
小野沢所長は、「現在、日本産のハラル食品は日本食レストランや高級スーパーマーケットに卸すのがメインになっているが、今後は中華や欧風といった異なるジャンルのレストランや、地場のスーパーなどに販路を拡大していくことが求められる」と述べた。
初出展の築野食品工業は、米ぬかからできた米油や原材料を展示した。これまでに欧米や中国、ベトナム、タイなどに化粧品やサプリメントを出荷しているが、「インドネシアやマレーシアへの輸出は不十分だ」(同社担当者)と話す。マレーシアでは日本食レストランへの販売を始めており、担当者は「米油に興味を持つ来場者は多く、バイヤーに限らずシェフもブースを訪れている」と手応えを語った。「レストラン以外の販路も拡大したい」と意気込む。
スイス系食品大手ネスレ・マレーシアは、北米とカザフスタンやキルギス共和国など中央アジアの国を主要なターゲットとした植物性食品や、コーヒーなどを展示。同社担当者は、「ハラル食品の市場では、機能性食品の需要が拡大しており、販売先となる企業側が関心を持っている」と指摘。同社はマレーシア工場で製造するハラル製品の20~25%を輸出しているといい、「特定の民族に特化せずにハラル製品の需要を掘り起こしたい」と述べた。
■国際調達プログラムも開催
MATRADEは今回、MIHASに合わせて、ビジネスマッチング・イベント「国際調達プログラム(INSP)」を、会場とオンラインの両方で参加が可能なハイブリッド形式で開催した。会場では6日に開催され、マレーシア国内から306人の輸出業者、海外から210人のバイヤーなどが訪れた。商談件数は1,450件に上った。
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