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トヨタ、FCV訴求に本腰東部に初の水素ステーション開所

タイ国トヨタ自動車(TMT)とタイの国営石油PTTなど4社は8日、タイ東部チョンブリ県で国内初となる水素ステーションをオープンした。4社はトヨタの燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」を使用し、観光地への移動手段などとして利用する実証実験を開始する。12月にはトヨタ自動車の豊田章男社長が自らタイに乗り込み、FCVのトップセールスを展開する予定だ。

タイの東部チョンブリ県でオープンした水素ステーションでは、トヨタの「MIRAI」が展示された=8日(NNA撮影)

TMTはPTTのほか、同社の小売事業会社PTTオイル・アンド・リテール・ビジネス(PTTOR)、米系の産業用ガス大手バンコク・インダストリアル・ガス(BIG)とともに実証実験を開始。脱炭素社会の実現に向け、主にPTTとPTTORが水素ステーションの運営・管理、水素の提供をBIGが手がける。TMTはMIRAIを2台提供する。水素ステーションは、首都バンコクから車で2時間、パタヤから20分ほどの場所に位置し、4基のタンクが設置されている。実証実験では、チョンブリ県のウタパオ国際空港からリゾート地のパタヤまでのリムジンサービスをFCVで提供することが予定されている。実験を通して、水素利用に関するデータを集め、今後の実用化の可能性を探っていく方針だ。
チョンブリ県では、2022~25年に脱炭素に向けた各種の実験が実施されている。TMTの関係者によると、パタヤではすでに同社の小型車「C+Pod」や、レクサス「UX」といった電気自動車(EV)が使用されている。

タイの東部チョンブリ県でオープンした水素ステーション。国内で初となる=8日(NNA撮影)

水素と酸素の化学反応によって発電した電気エネルギーを使用するMIRAIは、1回の充電時間が5分程度。フル充電後の航続距離は750~850キロメートルに及ぶ。EVの充電は平均20~30分ほどで、現在、中国の長城汽車がタイで販売しているEV「欧拉(ORA)・グッドキャット」の航続距離は500キロとされる。トヨタの関係者は「FCVは長距離移動に向いており、日本ではバスとしても使用されるなど、パワーもある」と説明した。課題となるのはインフラで、水素の調達や補充のためのステーションの設置には、一定の時間がかかる。
■豊田章男社長がトップセールスへ
タイでは今年1~9月に6,000台以上のEVが販売されるなど、東南アジアの中ではEV普及が先行している。長城汽車や「MG(名爵)」、比亜迪(BYD)といった中国系メーカーが積極的にプロモーションを展開している。一方、タイ投資委員会(BOI)は今月4日、水素自動車の生産に対して10~13年にわたる減税措置を発表するなど、FCVの普及に向けて追い風が吹いてきた。
来月には豊田章男社長がタイを訪問し、16~18日に北東部ブリラム県で開催される25時間耐久レース「イデミツ1500スーパーエンデュランス2022」に水素エンジン版の「カローラ」を自ら運転し、参戦する。EVと同じく、FCVの普及は1社だけでは実現せず、多くの企業の協力を必要とする。トヨタはFCVのタイでの発売予定などは発表していないが、トップセールスも通じ、国内でのFCV訴求を強化していく考えだ。
■初のBEV「bZ4X」を発売
TMTは9日、中型スポーツタイプ多目的車(SUV)のEV「bZ4X(ビーズィーフォーエックス)」をタイで発売した。同日から予約受付を開始し、来年1月にも納車を開始する。トヨタがバッテリー式電気自動車(BEV)をタイで発売するのは初となる。「bZ4X」の価格は183万6,000バーツ(約724万円)。タイの財務省物品税局によるEV向け補助金を適用後の価格となる。

トヨタは9日、タイで同社初となるBEV「bZ4X」を発売した=タイ・バンコク(NNA撮影)

「bZ4X」は、交流(AC)タイプでフル充電までに9時間30分、直流(DC)の急速充電タイプでは30分で80%に達する。航続距離は411キロで、停止状態から時速100キロに加速するまでにかかる時間は6.9秒となる。
TMTは声明で「タイでは10年以上前にハイブリッド車(HV)版のセダン『カムリ』を投入しており、それ以来、HVのラインアップを拡充してきた」とし、「これまで約15万台の電動車を販売しており、80万トンの二酸化炭素(CO2)削減に貢献している」と説明した。これは9万7,000ライ(1万5,520ヘクタール)に240万本の植樹をしたことと同程度の効果があるという。

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チョンブリ県では、2022~25年に脱炭素に向けた各種の実験が実施されている。TMTの関係者によると、パタヤではすでに同社の小型車「C+Pod」や、レクサス「UX」といった電気自動車(EV)が使用されている。[caption id="attachment_10081" align="aligncenter" width="620"]タイの東部チョンブリ県でオープンした水素ステーション。国内で初となる=8日(NNA撮影)[/caption]
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■豊田章男社長がトップセールスへ
タイでは今年1~9月に6,000台以上のEVが販売されるなど、東南アジアの中ではEV普及が先行している。長城汽車や「MG(名爵)」、比亜迪(BYD)といった中国系メーカーが積極的にプロモーションを展開している。一方、タイ投資委員会(BOI)は今月4日、水素自動車の生産に対して10~13年にわたる減税措置を発表するなど、FCVの普及に向けて追い風が吹いてきた。
来月には豊田章男社長がタイを訪問し、16~18日に北東部ブリラム県で開催される25時間耐久レース「イデミツ1500スーパーエンデュランス2022」に水素エンジン版の「カローラ」を自ら運転し、参戦する。EVと同じく、FCVの普及は1社だけでは実現せず、多くの企業の協力を必要とする。トヨタはFCVのタイでの発売予定などは発表していないが、トップセールスも通じ、国内でのFCV訴求を強化していく考えだ。
■初のBEV「bZ4X」を発売
TMTは9日、中型スポーツタイプ多目的車(SUV)のEV「bZ4X(ビーズィーフォーエックス)」をタイで発売した。同日から予約受付を開始し、来年1月にも納車を開始する。トヨタがバッテリー式電気自動車(BEV)をタイで発売するのは初となる。「bZ4X」の価格は183万6,000バーツ(約724万円)。タイの財務省物品税局によるEV向け補助金を適用後の価格となる。
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「bZ4X」は、交流(AC)タイプでフル充電までに9時間30分、直流(DC)の急速充電タイプでは30分で80%に達する。航続距離は411キロで、停止状態から時速100キロに加速するまでにかかる時間は6.9秒となる。
TMTは声明で「タイでは10年以上前にハイブリッド車(HV)版のセダン『カムリ』を投入しており、それ以来、HVのラインアップを拡充してきた」とし、「これまで約15万台の電動車を販売しており、80万トンの二酸化炭素(CO2)削減に貢献している」と説明した。これは9万7,000ライ(1万5,520ヘクタール)に240万本の植樹をしたことと同程度の効果があるという。
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