≪婦女権益保障法≫の制定および改訂事項まとめ
≪婦女権益保障法≫は1992年に初公布され、これまで2005年と2018年の2回に相次いで改訂された。2022年の今回の改訂では、結婚・子育て・財産分配・女性の人権等などに焦点を合わせたものになっており、女性の合法的権利の侵害についての問題がよく反映された内容になっている。
改訂の主要ポイント
1.男女平等の基本国策を全面的・徹底実施し、女性の権利保護制度の充実を図る。
新改訂≪婦女権益保障法≫の中の関連条項
第一条
女性の権利保障、男女平等と女性の全面的な活躍を促進し、女性の力により社会主義現代国家の中での役割を作り出すとともに、社会主義の核心となる価値を大いに発揚させるため、憲法に基づき当該法律を制定する。
第二条
男女平等は国家の基本国策である。女性は政治・経済・文化・社会そして家庭生活などの各方面において、男性と平等の権利を有する。国家は必要措置な措置を講じ、男女平等を促進する。女性に対する一切の差別をなくすとともに、各権利の行使を法によって制限したり排斥したりすることを禁ずる。国家は法に基づき女性の有する特別な権利を保護する。
第十条
国は男女平等基本国策を国民教育システムに取り入れ、教育の展開により全社会の男女平等の意識を高め、女性の社会進出に対して尊重と配慮の気持ちを持てるよう努める。
2.生育手術、特殊検査および特殊治療の際に、女性本人の同意を必須とした。
※手術のみに限らず、特殊検査もしくは特殊治療も含む。高齢女性の重病時の治療も本人の意思を尊重する。
新改訂≪婦女権益保障法≫の中の関連条項
第二十一条
女性の生命、身体、健康は侵害されない。虐待、扶養放棄、暴行、売買およびその他女性の生命と健康を侵害する行為を禁ずる。
医学的必要性のない胎児の性別鑑定と、性別選択による人口中絶を禁止する。
医療機関が出産手術、特殊検査、特殊治療を行う際には、女性本人の同意を必須とする。
家族や関係者との意見が一致しない際においても、女性本人の意見を尊重する。
3.性的ハラスメントの救済手段を拡げ、防止措置を明確にした。
3.1
≪婦女権益保障法≫改定後、性的ハラスメントに対する防止措置および性的侵害に対する制度を整備した。ハラスメントには言葉、文字、画像によるもの、身体的なもの、その他相手が嫌がる行為によるものも含まれるとし分類した。さらに、女性が関連部門や国家機関に訴えること、公安機関への届出および法廷への民事訴訟ができるようにし、三種類の権益保護ルートを明確化した。
新改訂≪婦女権益保障法≫の中の関連条項
第二十三条
女性の意思に背く、言葉、文字、画像、身体的行為等の方法による性的ハラスメントを禁じる。
被害を受けた女性は関連部門や国家機関に訴えることが可能である。訴えを受けた関連部門及び国家機関はただちにこれを処理し、書面にて処理結果を報告しなければならない。
被害を受けた女性は公安機関への届出、および法廷への民事訴訟提起が可能であり、法に基づき相手方に民事責任を請求できる。
3.2
新改訂の≪婦女権益保障法≫は学校での防止措置、性的ハラスメント行為に対する処置の職責を明確化した。
新改訂≪婦女権益保障法≫の中の関連条項
第二十四条
学校は、学生の年齢や時期等を考慮し、衛生面の管理、心理的健康と自分を大切にする教育を行わなければいけない。教育、管理、施設等の各方面であらゆる措置を採り、性的侵害の発生防止および性的ハラスメントから自分を守る意識・能力の向上に努め、女子学生の身体的・心理的健康の促進を保障しなければならない。
学校は、性的暴行や性的ハラスメントの効果的な防止策と処分についての制度を確立する必要がある。性的暴行や、女子生徒への性的ハラスメントの違法犯罪行為に対して、学校側は隠蔽してはならず、ただちに被害を受けた未成年女子学生の父母あるいは保護者に通知し、また、公安機関、教育行政部門に報告し、さらに関連部門とともに法に基づき処理しなければならない。
性的暴行・ハラスメントの被害を受けた女子学生について、学校、公安機関および教育行政関連部門の従業員はプライバシーと個人情報を保護しなければならず、さらに必要な保護措置を提供しなければならない。
★雇用者としての重点的内容1
3.3≪民法典≫第1010条は性的ハラスメントの禁止条項を定めた。さらに機関、企業、学校等の各部門が引き受ける義務が明確に規定した。2023年1月1日より新たに改訂された≪婦女権益保障法≫は、≪民法典≫の規定と結合し、職場での性的ハラスメントに対して明確な線引きがなされると同時に、使用人側の防止措置および職場での性的ハラスメント阻止への具体的要求と法的責任が明確に加わった。性的ハラスメントの発生率を抑え、女性の合法的な権益保護ルートを拡大する。
新改訂≪婦女権益保障法≫の中の関連条項
第二十五条
使用人は下記の措置により女性への性的ハラスメント防止および抑止に努めなければならない。
(一)性的ハラスメントを禁止する規則の制定。
(二)責任機関あるいは責任者の明確化。
(三)性的ハラスメントの予防と防止のための教育や研修を展開する。
(四)必要な安全保衛措置の導入。
(五)ホットライン、ホットメール等を設置するなど、報告ルートを開通する。
(六)調査処理マニュアルを作成し完成させ、ただちに問題に対する処置を行うとともに当事者のプライバシーと個人情報を保護できるようにする。
(七)合法権益に基づき被害女性を支持助力し、必要時に応じてカウンセリングを行う。
(八)その他性的ハラスメントに対する合理的な予防防止策をとる。
4.初めて宿泊施設経営者の安全保障義務が明確化された。
新改訂≪婦女権益保障法≫の中の関連条項
第二十六条
宿泊施設経営者は宿泊者の情報を正確に登録し、宿泊サービス規則の制度を整え、安全保障措置を高めなければならない。女性の合法権威に違反する犯罪行為が発生している可能性があれば、公安機関に即座に報告しなければならない。
5.メディアは女性に関連する事件について、客観的に節度ある報道をする義務がある。
ニュースメディアは報道前に元となる情報の信ぴょう性を確かめなければならない。女性のプライバシー保護に注意するとともに、節度を守ること、また、事実を誇張してはならず、過度な報道等により被害女性の人権を侵害してはいけない。
民法の規定に基づき、当事者の名誉棄損に該当するものは、名誉回復、謝罪、精神的苦痛に対する慰謝料の支払等の民事責任を負わなければならない。
※治安管理処罰法の規定に基づくと、公然に他人を侮辱したり、事実を捏造し他人への誹謗中傷を行った場合、5日以下の拘留あるいは500元以下の罰金に科せられる。内容が深刻である場合、5日以上10日以下の拘留ならびに500元以下の罰金に科せられる。侮辱罪、誹謗罪に該当し、刑事責任を問われる。
新改訂≪婦女権益保障法≫の中の関連条項
第二十八条
女性の氏名権、肖像権、名誉権、栄誉権、プライバシーの権利および個人情報などの人格権益は法律により保護される。
メディアは女性事件に関する報道をする際、客観的で節度を考慮したものにしなければならず、事実を誇張、過度の表現などの方法により女性の人権を侵害してはいけない。
大衆への宣伝媒体による報道、及びその他方法による女性の人権侵害を禁ずる。本人の同意なしに広告、商標、展覧掲示板、新聞、週刊誌、図書、オーディオ製品、電子出版物、インターネット等で女性の肖像を使用してはならない。ただし、法律で規定されたものは除外する。
6.人身安全保護令の『格上げ』
新たに改訂された≪婦女権益保障法≫では人権保護関連の法整備において特別に言及しており、結婚・恋愛関係における女性の権益保障を強化し、人身安全保護令の適用範囲を拡大した。
新改訂≪婦女権益保障法≫の中の関連条項
第二十九条
恋愛、交友関係を理由として、あるいは恋愛関係終了後や離婚後に、付きまとい、嫌がらせ、および女性のプライバシーや個人情報の漏洩、拡散を禁ずる。
女性が上記侵害の被害を受けた場合あるいは実際にその危機に直面している場合は、人民法廷へ人身安全保護令を申請することができる。
★雇用者としての重点ポイント内容2
7.女性にとって公平な就業、起業環境を創造するために、子育て等の制限を採用条件としてはならない。
新改訂された≪婦女権益保障法≫は職場での性差別問題に対して関与する姿勢を明確に示した。女性の平等就業権を保障し、求人の際に性別を理由として雇用を拒否してはならない。使用人が採用時に性別を理由に雇用、任用を拒否すること、もしくは差別化して女性の雇用の際の基準を高めることを禁止するとともに、五種類の差別行為を列挙した。
求人段階以外の場合については、第四十九条を新設。政府の人的資源と社会保障部門は求人、採用、昇進、昇格、専門技術職や専門職の審査採用、研修、辞退などの過程での性的差別行為を労働保障の監察範囲とした。また、人社部門も就業における性差別行為を労働保障の監察範囲とし、強制的な施策をもって平等就業への保障力を高めるとともに、法的効力が強まっている。
新改訂≪婦女権益保障法≫の中の関連条項
第四十二条
各層の人民政府と関係のある部門は就業保障政策措置を完備し、就業時の性差別を防止し是正しなければならない。女性のために公平な就業・企業環境を創造するとともに、就業困難な女性に必要な援助を提供する。
第四十三条
使用人は求人の過程において、国家で規定されているものを除き、以下の行為を行ってはならない。
(一)男性に限定する、あるいは男性を優先とすること
(二)個人基本情報以外の踏み込んだ質問や、女性求職者の婚姻・育児状況について質問すること。
(三)妊娠検査を入社時の体格検査に取り入れること
(四)結婚・出産を制限することおよび婚姻・育児の状況を雇用条件とすること
(五)その他、性別を理由として女性の雇用を拒否、あるいは差別化して女性の雇用基準を高める行為。
第四十四条
使用人は女性職員を雇用する際、法律に基づき労働契約書あるいはサービス協定、労働・サービス協定の中で女性職員の保護条項を特記したものを制定しなければいけない。なお、結婚や子育てを制限するような内容を規定してはいけない。
従業員と使用人の間で締結される集団契約には男女平等と女性職員の権利保護に関する内容を含まねばならない。その内容に関する項目を新たに制定、追加する方法、あるいは単独で女性権利保護に関する集団契約を制定する方法も可能とする。
★雇用者としての重点ポイント内容3
8.婚姻や妊娠などを理由として女性従業員の給料、福利待遇を低下させてはならない。
新改訂の≪婦女権益保障法≫では、使用人が結婚や妊娠を理由として女性従業員の福利待遇を低下させることや、昇格昇級の制限、専門技術職・専門職務の採用における制限などを禁止し、女性従業員の権利保障に優位性を持たせた。
新改訂≪婦女権益保障法≫の中の関連条項
第四十八条
使用人は、結婚、妊娠、出産、子育て等を理由として女性従業員の給与や福利厚生を低下させる、女性従業員の昇格・昇給・専門技術職・専門職務の採用を制限する、および女性従業員の解雇、一方的な労働契約やサービス協定の解除等をしてはいけない。
女性従業員の妊娠および法律に基づき取得している育児期間中において、労働契約およびサービス協定の期限が到来した場合でも、その契約および協定は産休終了まで自動延長される。ただし、使用人が法律に基づき労働契約、サービス協定を終了させた場合もしくは女性従業員が法律により契約解除を求めた場合の当該契約および協定については除外する。
使用人は国家の退職休養制度を採り入れる際、性別により差別をしてはいけない。
9.婚姻登記機関は結婚家庭に補導サービスを提供しなければならない。
新改訂≪婦女権益保障法≫の中の関連条項
第六十二条
国家は婚姻登録前に、男女双方ともが所定の医学検査および関連の身体検査を行うことを奨励する。
第六十三条
婚姻登記機関は婚姻家庭への補導サービスを提供し、お互いが平等で仲良く、文化的な家庭を築けるようにしなければならない。
10.女性にも夫婦共同の財産に対し共同名義とする権利があり、夫婦双方の法廷義務として共同財産をありのままに申告する。
新改訂の≪婦女権益保障法≫は、男女平等権利について一歩踏み込んだ規定を制定した。女性側が、夫婦共同の財産について自己の氏名記載を要求できる権利を追加したものである。新たに加えられた条項の内容は、女性側にも夫婦共同財産の法的根拠を明確に持たせ、離婚や紛争中の共同財産の範囲を確定するための基礎を固めた。
※離婚財産分割訴訟の中での夫婦共同財産の範囲は法廷審査の重点である。
新改訂≪婦女権益保障法≫の中の関連条項
第六十六条
女性は夫婦共同の財産に対して、配偶者と平等の占有、使用、収益および処分の権利を有し、互いの収入状況等の影響を受けない。
夫婦共同のいかなる不動産および連名登記可能な動産について、女性は権利証上への氏名記載を要求する権利を有する。記載されている権利人、目的物、権利比率等の事項に錯誤を認識した際には、法律に基づき登記更正や異議登記の申請をする権利があり、関連機構はそれを法に照らし合わせ、相応の登記手続きを行わなければならない。
第六十七条
離婚訴訟中、夫婦の一方が相手名義の財産登記の状況を検索する申請をしても客観的な原因で自分で集められないものについて、人民法院は根拠を調査し、関連部門・関連単位はこれに協力しなければならない。
離婚訴訟中、夫婦双方ともに人民法院へすべての夫婦共同財産を報告する義務がある。一方が共同資産を隠蔽、移転、換金、棄損、浪費、あるいは夫婦共同債務を偽造し相手に負債を負わせる行為は、共同財産分割の際の所有割合の減少要素および所有権喪失の要素となりうる。
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≪婦女権益保障法≫は1992年に初公布され、これまで2005年と2018年の2回に相次いで改訂された。2022年の今回の改訂では、結婚・子育て・財産分配・女性の人権等などに焦点を合わせたものになっており、女性の合法的権利の侵害についての問題がよく反映された内容になっている。
改訂の主要ポイント
1.男女平等の基本国策を全面的・徹底実施し、女性の権利保護制度の充実を図る。
新改訂≪婦女権益保障法≫の中の関連条項
第一条
女性の権利保障、男女平等と女性の全面的な活躍を促進し、女性の力により社会主義現代国家の中での役割を作り出すとともに、社会主義の核心となる価値を大いに発揚させるため、憲法に基づき当該法律を制定する。
第二条
男女平等は国家の基本国策である。女性は政治・経済・文化・社会そして家庭生活などの各方面において、男性と平等の権利を有する。国家は必要措置な措置を講じ、男女平等を促進する。女性に対する一切の差別をなくすとともに、各権利の行使を法によって制限したり排斥したりすることを禁ずる。国家は法に基づき女性の有する特別な権利を保護する。
第十条
国は男女平等基本国策を国民教育システムに取り入れ、教育の展開により全社会の男女平等の意識を高め、女性の社会進出に対して尊重と配慮の気持ちを持てるよう努める。
2.生育手術、特殊検査および特殊治療の際に、女性本人の同意を必須とした。
※手術のみに限らず、特殊検査もしくは特殊治療も含む。高齢女性の重病時の治療も本人の意思を尊重する。
新改訂≪婦女権益保障法≫の中の関連条項
第二十一条
女性の生命、身体、健康は侵害されない。虐待、扶養放棄、暴行、売買およびその他女性の生命と健康を侵害する行為を禁ずる。
医学的必要性のない胎児の性別鑑定と、性別選択による人口中絶を禁止する。
医療機関が出産手術、特殊検査、特殊治療を行う際には、女性本人の同意を必須とする。
家族や関係者との意見が一致しない際においても、女性本人の意見を尊重する。
3.性的ハラスメントの救済手段を拡げ、防止措置を明確にした。
3.1
≪婦女権益保障法≫改定後、性的ハラスメントに対する防止措置および性的侵害に対する制度を整備した。ハラスメントには言葉、文字、画像によるもの、身体的なもの、その他相手が嫌がる行為によるものも含まれるとし分類した。さらに、女性が関連部門や国家機関に訴えること、公安機関への届出および法廷への民事訴訟ができるようにし、三種類の権益保護ルートを明確化した。
新改訂≪婦女権益保障法≫の中の関連条項
第二十三条
女性の意思に背く、言葉、文字、画像、身体的行為等の方法による性的ハラスメントを禁じる。
被害を受けた女性は関連部門や国家機関に訴えることが可能である。訴えを受けた関連部門及び国家機関はただちにこれを処理し、書面にて処理結果を報告しなければならない。
被害を受けた女性は公安機関への届出、および法廷への民事訴訟提起が可能であり、法に基づき相手方に民事責任を請求できる。
3.2
新改訂の≪婦女権益保障法≫は学校での防止措置、性的ハラスメント行為に対する処置の職責を明確化した。
新改訂≪婦女権益保障法≫の中の関連条項
第二十四条
学校は、学生の年齢や時期等を考慮し、衛生面の管理、心理的健康と自分を大切にする教育を行わなければいけない。教育、管理、施設等の各方面であらゆる措置を採り、性的侵害の発生防止および性的ハラスメントから自分を守る意識・能力の向上に努め、女子学生の身体的・心理的健康の促進を保障しなければならない。
学校は、性的暴行や性的ハラスメントの効果的な防止策と処分についての制度を確立する必要がある。性的暴行や、女子生徒への性的ハラスメントの違法犯罪行為に対して、学校側は隠蔽してはならず、ただちに被害を受けた未成年女子学生の父母あるいは保護者に通知し、また、公安機関、教育行政部門に報告し、さらに関連部門とともに法に基づき処理しなければならない。
性的暴行・ハラスメントの被害を受けた女子学生について、学校、公安機関および教育行政関連部門の従業員はプライバシーと個人情報を保護しなければならず、さらに必要な保護措置を提供しなければならない。
★雇用者としての重点的内容1
3.3≪民法典≫第1010条は性的ハラスメントの禁止条項を定めた。さらに機関、企業、学校等の各部門が引き受ける義務が明確に規定した。2023年1月1日より新たに改訂された≪婦女権益保障法≫は、≪民法典≫の規定と結合し、職場での性的ハラスメントに対して明確な線引きがなされると同時に、使用人側の防止措置および職場での性的ハラスメント阻止への具体的要求と法的責任が明確に加わった。性的ハラスメントの発生率を抑え、女性の合法的な権益保護ルートを拡大する。
新改訂≪婦女権益保障法≫の中の関連条項
第二十五条
使用人は下記の措置により女性への性的ハラスメント防止および抑止に努めなければならない。
(一)性的ハラスメントを禁止する規則の制定。
(二)責任機関あるいは責任者の明確化。
(三)性的ハラスメントの予防と防止のための教育や研修を展開する。
(四)必要な安全保衛措置の導入。
(五)ホットライン、ホットメール等を設置するなど、報告ルートを開通する。
(六)調査処理マニュアルを作成し完成させ、ただちに問題に対する処置を行うとともに当事者のプライバシーと個人情報を保護できるようにする。
(七)合法権益に基づき被害女性を支持助力し、必要時に応じてカウンセリングを行う。
(八)その他性的ハラスメントに対する合理的な予防防止策をとる。
4.初めて宿泊施設経営者の安全保障義務が明確化された。
新改訂≪婦女権益保障法≫の中の関連条項
第二十六条
宿泊施設経営者は宿泊者の情報を正確に登録し、宿泊サービス規則の制度を整え、安全保障措置を高めなければならない。女性の合法権威に違反する犯罪行為が発生している可能性があれば、公安機関に即座に報告しなければならない。
5.メディアは女性に関連する事件について、客観的に節度ある報道をする義務がある。
ニュースメディアは報道前に元となる情報の信ぴょう性を確かめなければならない。女性のプライバシー保護に注意するとともに、節度を守ること、また、事実を誇張してはならず、過度な報道等により被害女性の人権を侵害してはいけない。
民法の規定に基づき、当事者の名誉棄損に該当するものは、名誉回復、謝罪、精神的苦痛に対する慰謝料の支払等の民事責任を負わなければならない。
※治安管理処罰法の規定に基づくと、公然に他人を侮辱したり、事実を捏造し他人への誹謗中傷を行った場合、5日以下の拘留あるいは500元以下の罰金に科せられる。内容が深刻である場合、5日以上10日以下の拘留ならびに500元以下の罰金に科せられる。侮辱罪、誹謗罪に該当し、刑事責任を問われる。
新改訂≪婦女権益保障法≫の中の関連条項
第二十八条
女性の氏名権、肖像権、名誉権、栄誉権、プライバシーの権利および個人情報などの人格権益は法律により保護される。
メディアは女性事件に関する報道をする際、客観的で節度を考慮したものにしなければならず、事実を誇張、過度の表現などの方法により女性の人権を侵害してはいけない。
大衆への宣伝媒体による報道、及びその他方法による女性の人権侵害を禁ずる。本人の同意なしに広告、商標、展覧掲示板、新聞、週刊誌、図書、オーディオ製品、電子出版物、インターネット等で女性の肖像を使用してはならない。ただし、法律で規定されたものは除外する。
6.人身安全保護令の『格上げ』
新たに改訂された≪婦女権益保障法≫では人権保護関連の法整備において特別に言及しており、結婚・恋愛関係における女性の権益保障を強化し、人身安全保護令の適用範囲を拡大した。
新改訂≪婦女権益保障法≫の中の関連条項
第二十九条
恋愛、交友関係を理由として、あるいは恋愛関係終了後や離婚後に、付きまとい、嫌がらせ、および女性のプライバシーや個人情報の漏洩、拡散を禁ずる。
女性が上記侵害の被害を受けた場合あるいは実際にその危機に直面している場合は、人民法廷へ人身安全保護令を申請することができる。
★雇用者としての重点ポイント内容2
7.女性にとって公平な就業、起業環境を創造するために、子育て等の制限を採用条件としてはならない。
新改訂された≪婦女権益保障法≫は職場での性差別問題に対して関与する姿勢を明確に示した。女性の平等就業権を保障し、求人の際に性別を理由として雇用を拒否してはならない。使用人が採用時に性別を理由に雇用、任用を拒否すること、もしくは差別化して女性の雇用の際の基準を高めることを禁止するとともに、五種類の差別行為を列挙した。
求人段階以外の場合については、第四十九条を新設。政府の人的資源と社会保障部門は求人、採用、昇進、昇格、専門技術職や専門職の審査採用、研修、辞退などの過程での性的差別行為を労働保障の監察範囲とした。また、人社部門も就業における性差別行為を労働保障の監察範囲とし、強制的な施策をもって平等就業への保障力を高めるとともに、法的効力が強まっている。
新改訂≪婦女権益保障法≫の中の関連条項
第四十二条
各層の人民政府と関係のある部門は就業保障政策措置を完備し、就業時の性差別を防止し是正しなければならない。女性のために公平な就業・企業環境を創造するとともに、就業困難な女性に必要な援助を提供する。
第四十三条
使用人は求人の過程において、国家で規定されているものを除き、以下の行為を行ってはならない。
(一)男性に限定する、あるいは男性を優先とすること
(二)個人基本情報以外の踏み込んだ質問や、女性求職者の婚姻・育児状況について質問すること。
(三)妊娠検査を入社時の体格検査に取り入れること
(四)結婚・出産を制限することおよび婚姻・育児の状況を雇用条件とすること
(五)その他、性別を理由として女性の雇用を拒否、あるいは差別化して女性の雇用基準を高める行為。
第四十四条
使用人は女性職員を雇用する際、法律に基づき労働契約書あるいはサービス協定、労働・サービス協定の中で女性職員の保護条項を特記したものを制定しなければいけない。なお、結婚や子育てを制限するような内容を規定してはいけない。
従業員と使用人の間で締結される集団契約には男女平等と女性職員の権利保護に関する内容を含まねばならない。その内容に関する項目を新たに制定、追加する方法、あるいは単独で女性権利保護に関する集団契約を制定する方法も可能とする。
★雇用者としての重点ポイント内容3
8.婚姻や妊娠などを理由として女性従業員の給料、福利待遇を低下させてはならない。
新改訂の≪婦女権益保障法≫では、使用人が結婚や妊娠を理由として女性従業員の福利待遇を低下させることや、昇格昇級の制限、専門技術職・専門職務の採用における制限などを禁止し、女性従業員の権利保障に優位性を持たせた。
新改訂≪婦女権益保障法≫の中の関連条項
第四十八条
使用人は、結婚、妊娠、出産、子育て等を理由として女性従業員の給与や福利厚生を低下させる、女性従業員の昇格・昇給・専門技術職・専門職務の採用を制限する、および女性従業員の解雇、一方的な労働契約やサービス協定の解除等をしてはいけない。
女性従業員の妊娠および法律に基づき取得している育児期間中において、労働契約およびサービス協定の期限が到来した場合でも、その契約および協定は産休終了まで自動延長される。ただし、使用人が法律に基づき労働契約、サービス協定を終了させた場合もしくは女性従業員が法律により契約解除を求めた場合の当該契約および協定については除外する。
使用人は国家の退職休養制度を採り入れる際、性別により差別をしてはいけない。
9.婚姻登記機関は結婚家庭に補導サービスを提供しなければならない。
新改訂≪婦女権益保障法≫の中の関連条項
第六十二条
国家は婚姻登録前に、男女双方ともが所定の医学検査および関連の身体検査を行うことを奨励する。
第六十三条
婚姻登記機関は婚姻家庭への補導サービスを提供し、お互いが平等で仲良く、文化的な家庭を築けるようにしなければならない。
10.女性にも夫婦共同の財産に対し共同名義とする権利があり、夫婦双方の法廷義務として共同財産をありのままに申告する。
新改訂の≪婦女権益保障法≫は、男女平等権利について一歩踏み込んだ規定を制定した。女性側が、夫婦共同の財産について自己の氏名記載を要求できる権利を追加したものである。新たに加えられた条項の内容は、女性側にも夫婦共同財産の法的根拠を明確に持たせ、離婚や紛争中の共同財産の範囲を確定するための基礎を固めた。
※離婚財産分割訴訟の中での夫婦共同財産の範囲は法廷審査の重点である。
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女性は夫婦共同の財産に対して、配偶者と平等の占有、使用、収益および処分の権利を有し、互いの収入状況等の影響を受けない。
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