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台湾観光局、東京でPRタン氏「デジタル活用で支援」

台湾交通部(交通省)観光局と台湾観光協会東京事務所は12日午前、東京都内のホテルで、日本から台湾への観光客取り込み強化を目的としたキャンペーン「台湾観光プロジェクト」再始動の記者説明会を開催した。台湾数位発展部(デジタル発展部)部長の唐鳳(オードリー・タン)氏も出席し、デジタルテクノロジーを使って、多くの人が台湾観光を楽しめるようにしたいとアピールした。

台湾観光で人気のスカイランタンを手にするオードリー・タン氏(右から3人目)はじめ登壇者ら=12日、東京(NNA撮影)

日本から台湾を訪れる旅行者は2019年に200万人を突破したが、新型コロナウイルス感染拡大に伴い入境規制が強化された影響で20年は約27万人、21年は約1万人まで減少した。22年10月に台湾政府がコロナ対策として求めていた入境後の隔離を撤廃したことで一定程度戻ったものの、同年の日本からの旅行者は約8万8,000人にとどまっており、本格回復に向けた施策が求められていた。
台湾政府は5月1日から、新型コロナウイルス感染症(COVID—19)の「法定伝染病」としての位置付けについて、従来の第5類から第4類に変更した。一方、日本政府も5月8日からコロナの感染症法上の位置付けを「2類相当」から「5類」に移行したことで、日本人の旅行マインドが強まると判断、キャンペーンを実施することにした。
記者説明会に登壇した交通部観光局の張錫聡局長は、団体ツアー向けへの旅行代金補助をはじめ旅行会社をサポートするプログラムを多数用意していると強調。修学旅行の回復にも期待したいと述べた。台湾観光協会の葉菊蘭会長は、日本と台湾の相互訪問人口を25年までにコロナ前の700万人まで戻し、750万人への上積みを目指したいとアピール。そのためには訪日台湾人より訪台日本人のほうが少ない状況を改善し、日本人旅行者を増やしていく必要があるとし、プロモーション活動に一層力を入れる考えを示した。
特別ゲストとして登場した唐氏は「規制がなくなり、ようやく日本に来ることができた」と、今回の訪日を待ち望んでいたことを強調した。デジタルテクノロジーには「1人も取り残さない」という特長があると指摘し、これを観光分野に活用することで、高齢者が出かける前に混雑具合を確認できたり、身体障害者が音声ガイドで安心して旅行を楽しめたりするなど、どのような人であっても気持ちよく観光できる環境を整えていきたいと述べた。
午後からは、台湾の旅行会社やホテル、業界団体など24社・団体が、日本の旅行会社と商談を行った。台湾の旅行大手、東南旅行社の斉藤健・北区国旅本部外人部日本支社長は、台湾側が昨年10月に入境時の隔離を撤廃して以降、台湾旅行についての見積もりの引き合いがどっと増えたと説明。台湾側の期待は高く、今回の商談を通してビジネスチャンスを広げたいと述べた。
■円安と燃油サーチャージがネック
ただ、キャンペーンを旅行者増に結び付けるには時間がかかりそうだ。旅行関係者によると、円安と燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)が高騰した影響で、台湾ツアーの価格がコロナ前より高くなっている上、日本人の多くは、日本政府の観光支援策「全国旅行支援」で国内旅行に目が向いている状況。現在、海外旅行に出かけているのは価格を気にしない富裕層が中心という。この関係者は「1米ドルが110円ぐらいの水準になり、燃油サーチャージが下がらないと、今年の回復はまだ難しいだろう」との見通しを示した。

午後の商談会では日本と台湾の観光関係者が熱心に意見交換するなどした=12日、東京(NNA撮影)
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日本から台湾を訪れる旅行者は2019年に200万人を突破したが、新型コロナウイルス感染拡大に伴い入境規制が強化された影響で20年は約27万人、21年は約1万人まで減少した。22年10月に台湾政府がコロナ対策として求めていた入境後の隔離を撤廃したことで一定程度戻ったものの、同年の日本からの旅行者は約8万8,000人にとどまっており、本格回復に向けた施策が求められていた。
台湾政府は5月1日から、新型コロナウイルス感染症(COVID—19)の「法定伝染病」としての位置付けについて、従来の第5類から第4類に変更した。一方、日本政府も5月8日からコロナの感染症法上の位置付けを「2類相当」から「5類」に移行したことで、日本人の旅行マインドが強まると判断、キャンペーンを実施することにした。
記者説明会に登壇した交通部観光局の張錫聡局長は、団体ツアー向けへの旅行代金補助をはじめ旅行会社をサポートするプログラムを多数用意していると強調。修学旅行の回復にも期待したいと述べた。台湾観光協会の葉菊蘭会長は、日本と台湾の相互訪問人口を25年までにコロナ前の700万人まで戻し、750万人への上積みを目指したいとアピール。そのためには訪日台湾人より訪台日本人のほうが少ない状況を改善し、日本人旅行者を増やしていく必要があるとし、プロモーション活動に一層力を入れる考えを示した。
特別ゲストとして登場した唐氏は「規制がなくなり、ようやく日本に来ることができた」と、今回の訪日を待ち望んでいたことを強調した。デジタルテクノロジーには「1人も取り残さない」という特長があると指摘し、これを観光分野に活用することで、高齢者が出かける前に混雑具合を確認できたり、身体障害者が音声ガイドで安心して旅行を楽しめたりするなど、どのような人であっても気持ちよく観光できる環境を整えていきたいと述べた。
午後からは、台湾の旅行会社やホテル、業界団体など24社・団体が、日本の旅行会社と商談を行った。台湾の旅行大手、東南旅行社の斉藤健・北区国旅本部外人部日本支社長は、台湾側が昨年10月に入境時の隔離を撤廃して以降、台湾旅行についての見積もりの引き合いがどっと増えたと説明。台湾側の期待は高く、今回の商談を通してビジネスチャンスを広げたいと述べた。
■円安と燃油サーチャージがネック
ただ、キャンペーンを旅行者増に結び付けるには時間がかかりそうだ。旅行関係者によると、円安と燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)が高騰した影響で、台湾ツアーの価格がコロナ前より高くなっている上、日本人の多くは、日本政府の観光支援策「全国旅行支援」で国内旅行に目が向いている状況。現在、海外旅行に出かけているのは価格を気にしない富裕層が中心という。この関係者は「1米ドルが110円ぐらいの水準になり、燃油サーチャージが下がらないと、今年の回復はまだ難しいだろう」との見通しを示した。
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