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缶入り日本酒に新商品、入門編「カンパイ」

蔵元と提携して缶入りの日本酒を展開するスタートアップ企業Agnavi(アグナビ、神奈川県茅ケ崎市)はこのほど、新シリーズ「Canpai(カンパイ)」を香港市場に投入した。従来の商品よりも手軽に楽しめる入門編の日本酒と位置づけ、若者やまだ日本酒へのなじみが薄い消費者層の取り込みを図る。

ドンドンドンキの店舗に並んだカンパイ。日本酒に詳しくない層を意識した商品だ=11日、セン湾(NNA撮影)

アグナビは日本各地の酒蔵と提携し、2021年から1合(180ミリリットル)サイズの缶入り日本酒「ICHI-GO-CAN(一合缶)」シリーズを商品化。4合瓶や一升瓶といったガラス瓶での販売が主流の日本酒を1合ずつ缶に詰め、百貨店やインターネット通販を通じて流通させている。海外展開にも積極的で、昨年11月から香港の高級スーパーマーケット「シティスーパー」が取り扱いを開始したほか、シンガポールなどにも輸出している。
今回新たに開発したカンパイは、一合缶シリーズと違い蔵元を前面には出していないのが特徴。蔵元や銘柄で商品を選ぶほどの日本酒ファンにはまだ至っていないライトな客層をターゲットにしているためで、価格も一合缶シリーズより手に取りやすい設定となっている。
アグナビの創業者で代表取締役・最高経営責任者(CEO)の玄成秀氏は「日本酒のことはよく分からないという人たちに日本酒を知ってもらうためのブランド。カジュアルに楽しんでほしい」と説明。カンパイを入り口に日本酒への興味を持ってもらい、次の段階としてさまざまな銘柄を選ぶ楽しさがある一合缶シリーズ、さらには蔵元の瓶入り商品へとステップアップしてもらうイメージを描く。
カンパイは海外向けの商品で、香港が最初の市場。パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)が展開する総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ」の海外店ブランド「ドンドンドンキ」が取り扱う。まずは新界地区・セン湾(セン=くさかんむりに全)の「海之恋商場(OPモール)」店で販売を開始した。
蔵元を前面に出さないとはいえ「しっかりとした日本酒」(玄氏)であることにはこだわっており、中身は松岡醸造(埼玉県小川町)の純米吟醸だ。今後のシリーズ展開では、同じカンパイのブランドを使用しながらも、国・地域に応じて中に入れる酒を変えていく可能性を視野に入れている。
店頭での販売価格は1缶45.9HKドル(約790円)。ドンドンドンキの担当者は「若い客層に訴求しやすそう。カンパイをきっかけにして日本酒に気軽なイメージを持ってもらえるのではないか」と話す。缶は持ち運びやすいためピクニックやキャンプのお供にも適しており、瓶入りに比べ少量なので1人でも楽しめると指摘した。

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