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米半導体TIが2工場増設146億リンギ投資、25年にも稼働へ

米半導体大手テキサス・インスツルメンツ(TI)は13日、マレーシアで半導体の組み立てと検査を手がける工場を増設すると発表した。首都クアラルンプールとマラッカ州の既存工場の隣接地に増設する。総投資額は最大146億リンギ(約4,400億円)に上る見通しで、2025年にも稼働する予定だ。

テキサス・インスツルメンツはクアラルンプールの既存工場に隣接する建物を工場に改装する予定だ。画像は新工場の完成予想図(マレーシア投資開発庁提供)

テキサス・インスツルメンツとマレーシア投資貿易産業省傘下のマレーシア投資開発庁(MIDA)の共同声明によると、同社は現地法人テキサス・インスツルメンツ・マレーシアがクアラルンプール・アンパン地区の自由貿易区(FTZ)で操業する工場に隣接する建物(敷地面積約7.3ヘクタール)を取得。最大96億リンギを投じて、この建物を半導体の組み立て・検査工場に改装する計画だ。
改装工事は今年後半に着手する予定で、工場は早ければ25年にも稼働する予定。床面積約9万2,900平方メートル以上のクリーンルームを設置する。既存工場に連結させる予定で、新工場の稼働により新たに1,300人近くの雇用創出が見込まれている。
マラッカ州では、すでに既存工場の隣接地で新工場の建設を進めている。投資額は最大50億リンギを見込む。新工場は6階建てで、床面積約3万7,160平方メートル以上のクリーンルームを設置する。クアラルンプールの新工場と同じく25年にも稼働する見通しで、最大500人の雇用機会が創出される見通しだ。
テキサス・インスツルメンツ・マレーシアは1972年の設立。クアラルンプールとマラッカ州に工場を構え、半導体の組み立てと検査を手がけている。テキサス・インスツルメンツは2030年までに内製率を90%以上に引き上げることを目指しており、マレーシアでの工場増設は、その目標達成に寄与すると見込んでいる。
ツンク・ザフルル・ツンク・アジズ投資貿易産業相は、「テキサス・インスツルメンツによる半導体組み立て・検査事業拡大の計画は、世界の半導体のサプライチェーン(供給網)におけるマレーシアの明確な位置付けを反映するものであり、ハイテク、高付加価値の投資誘致に焦点を当てた『新投資政策(NIP)』と『新産業マスタープラン(基本計画)』を補完する」とし、同社の事業拡大を歓迎した。

テキサス・インスツルメンツがマラッカ州で建設を進めている6階建ての新工場の完成予想図(マレーシア投資開発庁提供)

■半導体市場、24年に過去最高に
主要半導体メーカーでつくる世界半導体市場統計(WSTS)は今月6日、24年の世界の半導体市場が前年比11.8%増の約5,759億米ドル(約80兆3,200億円)に達し、過去最高になるとの予測を発表した。電気自動車(EV)や再生可能エネルギー、生成人工知能(AI)分野の成長に伴い半導体需要も拡大すると予測している。
マレーシアには、半導体を完成させる「後工程」の拠点が集積している。日系を含む外資系、地場企業ともにペナン州をはじめとするマレー半島北部に拠点を構える企業が多い。
米国の大手企業も進出し、半導体製造装置大手ラムリサーチは、21年8月にペナン州のバトゥカワン工業団地で新工場を稼働。インテルは同年12月、向こう10年間でマレーシアに300億リンギ余りを投じ、ペナン州バヤンルパスとクダ州クリムに構える半導体工場の機能を強化すると発表した。

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テキサス・インスツルメンツとマレーシア投資貿易産業省傘下のマレーシア投資開発庁(MIDA)の共同声明によると、同社は現地法人テキサス・インスツルメンツ・マレーシアがクアラルンプール・アンパン地区の自由貿易区(FTZ)で操業する工場に隣接する建物(敷地面積約7.3ヘクタール)を取得。最大96億リンギを投じて、この建物を半導体の組み立て・検査工場に改装する計画だ。
改装工事は今年後半に着手する予定で、工場は早ければ25年にも稼働する予定。床面積約9万2,900平方メートル以上のクリーンルームを設置する。既存工場に連結させる予定で、新工場の稼働により新たに1,300人近くの雇用創出が見込まれている。
マラッカ州では、すでに既存工場の隣接地で新工場の建設を進めている。投資額は最大50億リンギを見込む。新工場は6階建てで、床面積約3万7,160平方メートル以上のクリーンルームを設置する。クアラルンプールの新工場と同じく25年にも稼働する見通しで、最大500人の雇用機会が創出される見通しだ。
テキサス・インスツルメンツ・マレーシアは1972年の設立。クアラルンプールとマラッカ州に工場を構え、半導体の組み立てと検査を手がけている。テキサス・インスツルメンツは2030年までに内製率を90%以上に引き上げることを目指しており、マレーシアでの工場増設は、その目標達成に寄与すると見込んでいる。
ツンク・ザフルル・ツンク・アジズ投資貿易産業相は、「テキサス・インスツルメンツによる半導体組み立て・検査事業拡大の計画は、世界の半導体のサプライチェーン(供給網)におけるマレーシアの明確な位置付けを反映するものであり、ハイテク、高付加価値の投資誘致に焦点を当てた『新投資政策(NIP)』と『新産業マスタープラン(基本計画)』を補完する」とし、同社の事業拡大を歓迎した。
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■半導体市場、24年に過去最高に
主要半導体メーカーでつくる世界半導体市場統計(WSTS)は今月6日、24年の世界の半導体市場が前年比11.8%増の約5,759億米ドル(約80兆3,200億円)に達し、過去最高になるとの予測を発表した。電気自動車(EV)や再生可能エネルギー、生成人工知能(AI)分野の成長に伴い半導体需要も拡大すると予測している。
マレーシアには、半導体を完成させる「後工程」の拠点が集積している。日系を含む外資系、地場企業ともにペナン州をはじめとするマレー半島北部に拠点を構える企業が多い。
米国の大手企業も進出し、半導体製造装置大手ラムリサーチは、21年8月にペナン州のバトゥカワン工業団地で新工場を稼働。インテルは同年12月、向こう10年間でマレーシアに300億リンギ余りを投じ、ペナン州バヤンルパスとクダ州クリムに構える半導体工場の機能を強化すると発表した。" ["post_title"]=> string(80) "米半導体TIが2工場増設146億リンギ投資、25年にも稼働へ" ["post_excerpt"]=> string(0) "" ["post_status"]=> string(7) "publish" ["comment_status"]=> string(4) "open" ["ping_status"]=> string(4) "open" ["post_password"]=> string(0) "" ["post_name"]=> string(194) "%e7%b1%b3%e5%8d%8a%e5%b0%8e%e4%bd%93%ef%bd%94%ef%bd%89%e3%81%8c%ef%bc%92%e5%b7%a5%e5%a0%b4%e5%a2%97%e8%a8%ad146%e5%84%84%e3%83%aa%e3%83%b3%e3%82%ae%e6%8a%95%e8%b3%87%e3%80%8125%e5%b9%b4%e3%81%ab" ["to_ping"]=> string(0) "" ["pinged"]=> string(0) "" ["post_modified"]=> string(19) "2023-06-14 04:00:03" ["post_modified_gmt"]=> string(19) "2023-06-13 19:00:03" ["post_content_filtered"]=> string(0) "" ["post_parent"]=> int(0) ["guid"]=> string(34) "https://nnaglobalnavi.com/?p=13883" ["menu_order"]=> int(0) ["post_type"]=> string(4) "post" ["post_mime_type"]=> string(0) "" ["comment_count"]=> string(1) "0" ["filter"]=> string(3) "raw" }
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