人材難が深刻化する中、韓国製造大手がベトナムで人材確保を急いでいる。造船を手がける現代尾浦造船は、ベトナム当局と協力して国内で働く人材の育成に向けた覚書を交わした。現代自動車は、現地大学と人材開発に向けた拠点設立を進める。ベトナムの労働力に対する需要が高まる中、現地で人材を直接囲い込む動きがさらに広がる可能性もある。
現代尾浦造船は12日、蔚山市本社でベトナム労働傷病兵社会問題省と人材育成に向けた覚書締結式を開いたと発表(現代尾浦造船提供)
造船大手のHD現代(旧現代重工業)傘下の現代尾浦造船は12日、ベトナム労働傷病兵社会問題省と造船業の人材育成に向けた覚書締結式を開いたと発表した。ベトナム当局が指定した現地の職業教育訓練学校で「溶接」「塗装」「電気」の3分野の職種別教育を実施する。
教育プログラムの履修者には、韓国語の教育課程を経て熟練技能ビザを発給し、現代尾浦造船などのHD現代グループの造船会社で働けるようにする。
現代尾浦造船はこれまで、ベトナムの現地法人と協力してベトナムから約700人の労働者を受け入れ、蔚山本社の造船現場に投入してきた。ただ拡大する受注に比べて労働力は不足したままで、ベトナム現地から直接人材の確保に動く考えだ。
造船各社は造船不況を背景に15年から人材縮小を進めてきたが、近年は大型の液化天然ガス(LNG)運搬船や海洋環境規制に対応したコンテナ船の需要増などで、人手不足が顕在化している。
■現代自は供給網に人材投入へ
韓国現代自動車グループも6月、ハノイ国家大学と未来の革新人材の育成に向けた協力センターを新設すると明らかにした。鄭義宣(チョン・ウィソン)会長は同大学のレ・クアン学長との会談で、「自動車産業での産学連携を通じて優秀な人材を育成したい。現代自グループだけでなく多数の協力会社がベトナムの優秀な人材を採用できるだけでなく、ベトナムの自動車産業の競争力強化にもつながる」との期待感を示した。
両者は自動車産業や経済産業発展に体系的な専門技術を持つ人材の育成が重要だという認識を確認。優秀な人材の教育に向けた産学連携を進めて、最終的には世界の生産現場に派遣する構想もあるようだ。
■現地での競争も激化
ベトナムに進出する韓国法人の人材確保競争も激しさを増している。鉄鋼大手ポスコグループは11日、ベトナム国家大学ホーチミン市人文・社会科学大学と人材育成に向けた産学協力の覚書を交わしたと発表した。
現地でインターンシッププログラムを始めることに加え、奨学金事業を展開してグループのベトナム法人にハイエンドな人材を迎え入れる試みだ。ポスコグループは、現在ベトナムで冷延鋼板を生産するポスコ・ベトナムをはじめ、計8社の系列会社を抱えている。
LG電子とLG CNSの現法2社も11月、ハノイ工業大学とIT人材養成のための提携を締結。インターンシップ制度導入と奨学金支援を通じて新卒採用を狙う構えだ。
■ベトナム人材は目標の2倍に
ベトナム人については、「勤勉で手先が器用」という認識が日本と同様に韓国にも根強くある。韓国雇用労働省によると、韓国で働くベトナム人労働者数は今年基準で計2万3,400人と、ベトナム当局が目標とする韓国への派遣者数の2倍水準に上るという。韓国大手が人材確保の動きを加速させれば、この数字はさらに拡大する見込みだ。
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教育プログラムの履修者には、韓国語の教育課程を経て熟練技能ビザを発給し、現代尾浦造船などのHD現代グループの造船会社で働けるようにする。
現代尾浦造船はこれまで、ベトナムの現地法人と協力してベトナムから約700人の労働者を受け入れ、蔚山本社の造船現場に投入してきた。ただ拡大する受注に比べて労働力は不足したままで、ベトナム現地から直接人材の確保に動く考えだ。
造船各社は造船不況を背景に15年から人材縮小を進めてきたが、近年は大型の液化天然ガス(LNG)運搬船や海洋環境規制に対応したコンテナ船の需要増などで、人手不足が顕在化している。
■現代自は供給網に人材投入へ
韓国現代自動車グループも6月、ハノイ国家大学と未来の革新人材の育成に向けた協力センターを新設すると明らかにした。鄭義宣(チョン・ウィソン)会長は同大学のレ・クアン学長との会談で、「自動車産業での産学連携を通じて優秀な人材を育成したい。現代自グループだけでなく多数の協力会社がベトナムの優秀な人材を採用できるだけでなく、ベトナムの自動車産業の競争力強化にもつながる」との期待感を示した。
両者は自動車産業や経済産業発展に体系的な専門技術を持つ人材の育成が重要だという認識を確認。優秀な人材の教育に向けた産学連携を進めて、最終的には世界の生産現場に派遣する構想もあるようだ。
■現地での競争も激化
ベトナムに進出する韓国法人の人材確保競争も激しさを増している。鉄鋼大手ポスコグループは11日、ベトナム国家大学ホーチミン市人文・社会科学大学と人材育成に向けた産学協力の覚書を交わしたと発表した。
現地でインターンシッププログラムを始めることに加え、奨学金事業を展開してグループのベトナム法人にハイエンドな人材を迎え入れる試みだ。ポスコグループは、現在ベトナムで冷延鋼板を生産するポスコ・ベトナムをはじめ、計8社の系列会社を抱えている。
LG電子とLG CNSの現法2社も11月、ハノイ工業大学とIT人材養成のための提携を締結。インターンシップ制度導入と奨学金支援を通じて新卒採用を狙う構えだ。
■ベトナム人材は目標の2倍に
ベトナム人については、「勤勉で手先が器用」という認識が日本と同様に韓国にも根強くある。韓国雇用労働省によると、韓国で働くベトナム人労働者数は今年基準で計2万3,400人と、ベトナム当局が目標とする韓国への派遣者数の2倍水準に上るという。韓国大手が人材確保の動きを加速させれば、この数字はさらに拡大する見込みだ。"
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