インド政府が主催する自動車や関連技術の国際展示会「バーラト・モビリティー・グローバル・エキスポ」が1~3日、インドの首都ニューデリーで初めて開かれた。四輪・二輪車の完成車メーカーや部品メーカーなどモビリティーに関する約800社・団体が出展した。日系メーカーでは、スズキのインド子会社がグループ初の乗用電気自動車(EV)の試作版「eVX」を展示。ホンダのインド子会社はガソリンにエタノールを85%混ぜた「E85」燃料対応の中型バイクを初公開した。このバイクは7月までにインドで発売する。
スズキグループ初の乗用EVの試作版「eVX」=2日、インドの首都ニューデリー(NNA撮影)
スズキグループの「eVX」は、2023年1月にデリー首都圏で開かれた自動車ショー「オート・エキスポ2023」(インド自動車工業会主催)で初披露された。複数の関係者によると、全長は4メートルを超えるとみられ、欧州やインド、日本での販売を想定。11月前後から西部グジャラート州の工場で量産を始める。車台はスズキとトヨタ自動車が共同開発したもので、駆動モーターはトヨタ系自動車部品メーカーのアイシン製、電池はトヨタの調達先の一つである中国・比亜迪(BYD)製を使う。
スズキのインド子会社マルチ・スズキのブースでは、新興企業スカイドライブ(愛知県豊田市)が開発中の「空飛ぶクルマ」(電動垂直離着陸機=eVTOL)の模型も展示した。スズキはスカイドライブに出資し、開発面でも協力している。24年春からスズキグループの静岡の工場で機体製造を始め、25年の国際博覧会(大阪・関西万博)での運航を目指している。
スカイドライブの担当者はNNAの取材に対し、「インドでは27年ごろの運航開始を目指している。遠隔操縦による物資輸送など、初期は人を乗せない状態で運航を始める可能性もある」と話した。
スカイドライブが開発中の「空飛ぶクルマ」(電動垂直離着陸機)の模型=2日、ニューデリー(NNA撮影)
■ホンダ電池シェア、来年度中に2都市進出
ホンダは、四輪車や二輪車、二輪・三輪車向け電池シェアリングサービスなど各インド子会社によるそれぞれの事業を一つのブースにまとめて展示した。
二輪車の製造販売を手がける子会社ホンダモーターサイクルアンドスクーターインディア(HMSI)は、中型スポーツバイク「CB300F」(排気量300cc)の「E85」燃料対応版を初披露した。7月までに発売予定で、HMSI初のエタノール燃料対応車となる。
電池シェアサービスを手がける子会社ホンダパワーパックエナジーインディア(HEID)は、サービスで使用する電池や電池交換所、電池交換に対応したスクーターを展示。来場者が多数集まり、スクーターの電池交換を実際に体験していた。
HEIDの谷口卓也社長はNNAの取材に、「現在、ベンガルール(バンガロール)で約40カ所の電池交換所を運営している。向こう2カ月で約20カ所増やす」と言及。さらに、「24/25年度(24年4月~25年3月)中、別の二つのティア1(大規模都市)にも電池交換所を設ける予定だ」と述べた。
四輪車を製造販売するホンダカーズインディア(HCIL)は、ともに主力車種に当たる中型セダン「シティ」のハイブリッド車(HEV)と新型スポーツタイプ多目的車(SUV)「エレベート」を展示した。
その他の日系メーカーも、トヨタや日産、いすゞが四輪車、スズキやヤマハが二輪車を展示した。
ホンダの中型バイク「CB300F」の「E85」燃料対応版=2日、ニューデリー(NNA撮影)
ホンダの二輪・三輪車向け電池シェアリングサービスで使う電池や電池交換所、スクーター=2日、ニューデリー(NNA撮影)
■デンソーやマクセルも参加
部品メーカーも多数の会社が出展した。
トヨタ系の自動車部品メーカーのデンソーは、電動化技術や、人工知能(AI)を駆使したデータドリブン技術に関するパネルを展示した。パネルを通じ、スマートフォンで複数カ所の写真を撮るだけで車両検査ができる技術を紹介。中古車査定をはじめ幅広い用途での活用が期待でき、担当者はNNAの取材に対し「インド市場に近く投入する。デンソーグループとして世界初投入になる」と説明した。
電池メーカーのマクセルは、タイヤ空気圧監視システム(TPMS)に使う耐熱コイン形二酸化マンガンリチウム電池(CR電池)を展示した。熱や衝撃に強いのが特徴で、この電池分野の世界シェアはマクセルが7割を握る。担当者はNNAの取材に、「インドでは地場部品メーカー2社に納入している。欧米や中国のようにインドもTPMS装着が義務化されれば、需要は一気に伸びるだろう」と語った。
トヨタのピックアップトラック「ハイラックス」をベースにした緊急車両=2日、ニューデリー(NNA撮影)
■モディ首相「先進国入りに重要な役割」
モディ首相は2日、モビリティーショーを訪れ、現政権の目標「2047年までの先進国入り」を実現する過程で、「モビリティー部門が重要な役割を果たす」と演説。「インドの経済は急速に成長しており、現政権の3期目で世界第3位の経済大国になる」と話した。
現政権は「第1期(2014~19年)から電動車と電池産業に力を注ぎ、2期目(19~24年)に飛躍的な発展を遂げた。(今年5月までに実施される総選挙で自身が再選した場合、)モビリティー部門は3期目(24~29年)に新たな高みに到達する」と述べた。
「インドは(モディ政権の1期と2期に当たる)過去10年間に約2億5,000万人が貧困を抜け出した。こうした人々が最初に必要とするのは二輪車や自動車といった移動手段。今後、中間所得層の拡大と彼らの所得の増加がモビリティー部門を後押しする」と語った。
いすゞのピックアップトラック「Vクロス」=2日、ニューデリー(NNA撮影)
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スズキグループの「eVX」は、2023年1月にデリー首都圏で開かれた自動車ショー「オート・エキスポ2023」(インド自動車工業会主催)で初披露された。複数の関係者によると、全長は4メートルを超えるとみられ、欧州やインド、日本での販売を想定。11月前後から西部グジャラート州の工場で量産を始める。車台はスズキとトヨタ自動車が共同開発したもので、駆動モーターはトヨタ系自動車部品メーカーのアイシン製、電池はトヨタの調達先の一つである中国・比亜迪(BYD)製を使う。
スズキのインド子会社マルチ・スズキのブースでは、新興企業スカイドライブ(愛知県豊田市)が開発中の「空飛ぶクルマ」(電動垂直離着陸機=eVTOL)の模型も展示した。スズキはスカイドライブに出資し、開発面でも協力している。24年春からスズキグループの静岡の工場で機体製造を始め、25年の国際博覧会(大阪・関西万博)での運航を目指している。
スカイドライブの担当者はNNAの取材に対し、「インドでは27年ごろの運航開始を目指している。遠隔操縦による物資輸送など、初期は人を乗せない状態で運航を始める可能性もある」と話した。
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■ホンダ電池シェア、来年度中に2都市進出
ホンダは、四輪車や二輪車、二輪・三輪車向け電池シェアリングサービスなど各インド子会社によるそれぞれの事業を一つのブースにまとめて展示した。
二輪車の製造販売を手がける子会社ホンダモーターサイクルアンドスクーターインディア(HMSI)は、中型スポーツバイク「CB300F」(排気量300cc)の「E85」燃料対応版を初披露した。7月までに発売予定で、HMSI初のエタノール燃料対応車となる。
電池シェアサービスを手がける子会社ホンダパワーパックエナジーインディア(HEID)は、サービスで使用する電池や電池交換所、電池交換に対応したスクーターを展示。来場者が多数集まり、スクーターの電池交換を実際に体験していた。
HEIDの谷口卓也社長はNNAの取材に、「現在、ベンガルール(バンガロール)で約40カ所の電池交換所を運営している。向こう2カ月で約20カ所増やす」と言及。さらに、「24/25年度(24年4月~25年3月)中、別の二つのティア1(大規模都市)にも電池交換所を設ける予定だ」と述べた。
四輪車を製造販売するホンダカーズインディア(HCIL)は、ともに主力車種に当たる中型セダン「シティ」のハイブリッド車(HEV)と新型スポーツタイプ多目的車(SUV)「エレベート」を展示した。
その他の日系メーカーも、トヨタや日産、いすゞが四輪車、スズキやヤマハが二輪車を展示した。
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■デンソーやマクセルも参加
部品メーカーも多数の会社が出展した。
トヨタ系の自動車部品メーカーのデンソーは、電動化技術や、人工知能(AI)を駆使したデータドリブン技術に関するパネルを展示した。パネルを通じ、スマートフォンで複数カ所の写真を撮るだけで車両検査ができる技術を紹介。中古車査定をはじめ幅広い用途での活用が期待でき、担当者はNNAの取材に対し「インド市場に近く投入する。デンソーグループとして世界初投入になる」と説明した。
電池メーカーのマクセルは、タイヤ空気圧監視システム(TPMS)に使う耐熱コイン形二酸化マンガンリチウム電池(CR電池)を展示した。熱や衝撃に強いのが特徴で、この電池分野の世界シェアはマクセルが7割を握る。担当者はNNAの取材に、「インドでは地場部品メーカー2社に納入している。欧米や中国のようにインドもTPMS装着が義務化されれば、需要は一気に伸びるだろう」と語った。
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■モディ首相「先進国入りに重要な役割」
モディ首相は2日、モビリティーショーを訪れ、現政権の目標「2047年までの先進国入り」を実現する過程で、「モビリティー部門が重要な役割を果たす」と演説。「インドの経済は急速に成長しており、現政権の3期目で世界第3位の経済大国になる」と話した。
現政権は「第1期(2014~19年)から電動車と電池産業に力を注ぎ、2期目(19~24年)に飛躍的な発展を遂げた。(今年5月までに実施される総選挙で自身が再選した場合、)モビリティー部門は3期目(24~29年)に新たな高みに到達する」と述べた。
「インドは(モディ政権の1期と2期に当たる)過去10年間に約2億5,000万人が貧困を抜け出した。こうした人々が最初に必要とするのは二輪車や自動車といった移動手段。今後、中間所得層の拡大と彼らの所得の増加がモビリティー部門を後押しする」と語った。
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