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香港法人の休眠・撤退手続について

ビジネスにおいて、現在、既に香港に拠点があるが、事業発展のために営業流通形態の変更を計画していたり、何等かの事情により「事業縮小」や「撤退」を検討することになったり、一方で、これから香港へ新規事業進出を進めているが、念頭に「事業撤退方法」を理解したい等、様々な環境で知っておきたい情報として、「香港法人の事業停止方法」について、説明します。

香港法人の事業停止方法

1. 休眠会社

「弊社の香港法人は、休眠会社です」と説明を受けることがあるのですが、よくお話を伺ってみると、その会社は営業活動をしていないだけのペーパー会社(事実上の休眠会社)であることがあります。休眠会社として正式に登記していない場合は、その会社は、通常の営業活動中の会社と同様に、年次報告書提出等の年次コンプライアンスにかかる諸手続を全て行っていく必要があります。

一方、会社登記局と税務局へ通知をすることにより、正式に休眠会社として登記した場合には、①監査人の任命及び監査報告書の作成、②年次報告書の提出、③年次株主総会の開催の実施が免除されます。但し、この場合には、銀行口座等も閉鎖し、会計取引が生じない状態を保つ必要があります。一旦、事業活動を中止するが、将来の事業再開の可能性を残しておきたいケースや、現在の会社名を他にとられないように確保しておきたいケースに利用されます。

なお、事業活動を再開する場合は、取締役会、臨時株主総会を開催して承認後、会社登記局、税務局へ休眠登記解除通知を提出することによって、活動が再開できます。休眠解除後、事業が再開した期末から4カ月以内に法人税申告書を税務局へ提出する義務があります。

2. 撤退

撤退の方法として、大きく「登記抹消」と「会社清算」の2つの方法があります。

① 登記抹消
登記抹消とは、会社法に基づき、会社登記局と税務局へ申請して会社を解散される方法で、以下の条件を全て満たせば、清算人を選任せずに、全株主の承認で申請することができます。登記抹消手続にかかる期間は、税務局の審査期間などにもよりますが、概ね9か月から1年ほどになります。

申請条件
・ 会社の全株主が登記抹消に同意していること。
・ 会社は、設立後、全くビジネスを始めていない、或いはビジネスを停止してから3か月以上経過していること。
・ 会社には、一切の負債がないこと。
・ 法的手続の当事者となっていないこと。
・ 会社の資産に香港に登記されている不動産の所有がないこと。
なお、「登記抹消」の場合は、登記抹消手続完了後、20年間は、債権者が裁判所に申し立てを行い、裁判所がそれを認めた場合、登記抹消を取消して復活させる可能性があります。

② 会社清算
会社清算には、債務返済能力が有る会社が実施できる「株主による任意清算(Members’ Voluntary Liquidation)」、債務返済能力が無い会社が実施できる「債権者による任意清算(Creditors’ Voluntary Liquidation)」、裁判所による強制清算の3つがあります。ここでは、株主による任意清算の手続を説明します。

株主による任意清算(Members’ Voluntary Liquidation)
清算開始日より12か月以内に全ての負債の弁済が完了でき、株主への残余財産が可能な場合に採用することができます。

主な手続の流れ

実施項目 内容
・取締役による会社の資力の調査 全ての債務が清算開始日から12か月以内に完済できることを調査、確認。
・取締役会開催 臨時株主総会の招集と「支払能力証明書(FormNW1)」を承認。
・支払能力証明書の提出 直近の資産負債の明細を添付した過半数の取締役の承認のある支払能力証明書を会社登記局へ提出
・臨時株主総会開催 清算人の選任と清算開始を承認。
・清算人の任命通知書の提出 臨時株主総会開催日から15日以内に清算人の任命通知書(FormNW3)」を会社登記局へ提出。
・官報に公告 臨時株主総会開催日から15日以内に官報に公告。
・清算報告書の作成と残余財産分配 清算人により作成された「清算報告書」の報告と残余財産の分配。
・最終株主総会の開催 開催日の1ヶ月前までに官報に公告。開催日から7日以内に最終株主総会議事録と清算報告書を会社登記局へ提出。
・清算人として活動停止通知 清算人として業務が終了した日から15日以内に清算完了通知(FormNW5)」を会社登記局へ提出。
・清算結了 最終株主総会議事録と清算報告書を会社登記局へ提出した日から3か月が経過した時点で、自動的に清算が決了。

以上

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香港法人の事業停止方法

1. 休眠会社

「弊社の香港法人は、休眠会社です」と説明を受けることがあるのですが、よくお話を伺ってみると、その会社は営業活動をしていないだけのペーパー会社(事実上の休眠会社)であることがあります。休眠会社として正式に登記していない場合は、その会社は、通常の営業活動中の会社と同様に、年次報告書提出等の年次コンプライアンスにかかる諸手続を全て行っていく必要があります。 一方、会社登記局と税務局へ通知をすることにより、正式に休眠会社として登記した場合には、①監査人の任命及び監査報告書の作成、②年次報告書の提出、③年次株主総会の開催の実施が免除されます。但し、この場合には、銀行口座等も閉鎖し、会計取引が生じない状態を保つ必要があります。一旦、事業活動を中止するが、将来の事業再開の可能性を残しておきたいケースや、現在の会社名を他にとられないように確保しておきたいケースに利用されます。 なお、事業活動を再開する場合は、取締役会、臨時株主総会を開催して承認後、会社登記局、税務局へ休眠登記解除通知を提出することによって、活動が再開できます。休眠解除後、事業が再開した期末から4カ月以内に法人税申告書を税務局へ提出する義務があります。

2. 撤退

撤退の方法として、大きく「登記抹消」と「会社清算」の2つの方法があります。 ① 登記抹消 登記抹消とは、会社法に基づき、会社登記局と税務局へ申請して会社を解散される方法で、以下の条件を全て満たせば、清算人を選任せずに、全株主の承認で申請することができます。登記抹消手続にかかる期間は、税務局の審査期間などにもよりますが、概ね9か月から1年ほどになります。 申請条件 ・ 会社の全株主が登記抹消に同意していること。 ・ 会社は、設立後、全くビジネスを始めていない、或いはビジネスを停止してから3か月以上経過していること。 ・ 会社には、一切の負債がないこと。 ・ 法的手続の当事者となっていないこと。 ・ 会社の資産に香港に登記されている不動産の所有がないこと。 なお、「登記抹消」の場合は、登記抹消手続完了後、20年間は、債権者が裁判所に申し立てを行い、裁判所がそれを認めた場合、登記抹消を取消して復活させる可能性があります。 ② 会社清算 会社清算には、債務返済能力が有る会社が実施できる「株主による任意清算(Members’ Voluntary Liquidation)」、債務返済能力が無い会社が実施できる「債権者による任意清算(Creditors’ Voluntary Liquidation)」、裁判所による強制清算の3つがあります。ここでは、株主による任意清算の手続を説明します。 株主による任意清算(Members’ Voluntary Liquidation) 清算開始日より12か月以内に全ての負債の弁済が完了でき、株主への残余財産が可能な場合に採用することができます。 主な手続の流れ
実施項目 内容
・取締役による会社の資力の調査 全ての債務が清算開始日から12か月以内に完済できることを調査、確認。
・取締役会開催 臨時株主総会の招集と「支払能力証明書(FormNW1)」を承認。
・支払能力証明書の提出 直近の資産負債の明細を添付した過半数の取締役の承認のある支払能力証明書を会社登記局へ提出
・臨時株主総会開催 清算人の選任と清算開始を承認。
・清算人の任命通知書の提出 臨時株主総会開催日から15日以内に清算人の任命通知書(FormNW3)」を会社登記局へ提出。
・官報に公告 臨時株主総会開催日から15日以内に官報に公告。
・清算報告書の作成と残余財産分配 清算人により作成された「清算報告書」の報告と残余財産の分配。
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NAC国際会計グループは、「日系中堅中小企業のグローバル化支援」をミッションとして、1999年香港で創業、その後、中国各地、シンガポール、ベトナム(ホーチミン、ハノイ)、タイ、インドネシア、インド、オーストラリアと拠点を拡大し、現在では、アジアの主要都市を広くカバーする国際会計事務所・コンサルティングファームです。2022年3月31日現在、海外26拠点と、日本の会計・コンサルティングファームとしては、最大級のネットワークを誇ります。
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