最低賃金を決定する韓国の最低賃金委員会は12日午前、2025年の最低賃金を時給1万30ウォン(約1,160円)に決定したと発表した。現在より1.7%増と引き上げ率は過去2番目の低さだが、韓国の最低賃金がついに時給1万ウォンを上回った。業種別の最低賃金適用は見送られたものの、据え置きや引き下げを求める声が根強い中小企業では人件費負担がさらに増す恐れがある。
韓国の最低賃金は全国一律で適用される。24年(9,860ウォン、当時のレートで約1,083円)は円換算で東京都(1,072円)を上回っていたが、この間に円安・ウォン高が進んだこともあり、その差はさらに広がった。月給(週40時間・月209時間勤務時)に換算すると209万6,270ウォンとなる。
最低賃金は、労働者と使用者の代表、政府の3者が任命する公益委員で構成される最低賃金委員会で協議される。12日午前に開かれた第11回会議では、労働者側が提示した時給1万120ウォン案と使用者側の時給1万30ウォン案で投票が行われ、14票を獲得した使用者側の案が採択された。
引き上げ率は1.7%と、21年(1.5%)に次いで低い水準となったが、1988年に最低賃金が初めて導入されて以来、37年目で初めて1万ウォンの大台を超えた形だ。
雇用労働省は、来年適用される最低賃金の影響を受ける労働者は、同省の雇用形態別勤労者実態調査ベースで48万9,000人、韓国統計庁の経済活動人口付加調査ベースで301万1,000人に及ぶと推定している。
■過去最長の審議期間
今年の最低賃金を巡る協議は、5月21日に委員会が構成されて以来、過去最長となる53日間続いた。この間、使用者側が飲食店業とコンビニエンスストア、タクシー運送業に適用を求めた業種別最低賃金の導入についても審議されたが、7月2日の全体会議で否決されている。
具体的な最低賃金を巡っては、使用者側は9日の第9回会議まで据え置きを要求したのに対し、労働者側は27.8%増の1万2,600ウォンを求めた。使用者側は11日の第10回会議で出された4次修正案まで1万ウォン未満を主張し、25年も1万ウォンを超えない可能性もあったが、12日午前の第11回会議で双方が1万ウォンを上回る案を提示したことで初の大台超えが確実となった。
委員会は採択された最低賃金案を雇用労働省に提出し、同省が8月5日までに25年度の最低賃金を正式に確定・告示することで25年1月1日より効力が発生する。
■労組団体「低い引き上げ率に憤慨」
労働組合から成る全国民主労働組合総連盟(民主労総)と韓国労働組合総連盟(韓国労総)は12日に出した声明で、低い引き上げ率となった最低賃金に不満を噴出させた。
とりわけ、民主労総は「受け入れられない」と強く反発している。民主労総は「物価が急上昇する中、(1.7%という)低い引き上げ率によって最低賃金は事実上目減りすることになる。これは、労働者の暮らしが壊れようが関心すらない使用者らの無責任と残忍さが背景にある」とし、使用者側の委員を強く非難した。
韓国労総も「メディアは初の1万ウォン超えがとてもすごいことのように報じているが、引き上げ率は過去2番目の低さで、事実上の賃金削減だ」と批判した。
■小規模団体「据え置きならず遺憾」
一方、小規模事業者の団体では人件費負担の増大に対する懸念が広がっている。零細企業など小規模事業者から成る小商工人連合会は12日の最低賃金が決定した直後、「1万ウォンを超えた最低賃金委員会の決定は遺憾だ」とする立場を表明した。
小商工人連合会は「国内の事業者の95.1%を占める小規模事業者は、売り上げ減少と経費増大の構造により限界に達している。委員会は今年も業種別適用を否決した上に、最低賃金を引き上げる決定をした。これは、小規模事業者の現実を無視した無責任な行動だ」と批判した。
小商工人連合会がこのほど実施した調査では、全国の小規模事業者1,000カ所の64.9%が「最低賃金を引き下げるべきだ」、33.6%が「据え置くべきだ」とそれぞれ回答している。
中小企業中央会も「利子を返せない中小企業が半数以上に上り、破産と廃業が続出する経営状況を考慮すると、(最低賃金が)据え置かれなかったことは遺憾」とする立場表明文を出した。また、小商工人連合会と同様、「業種別適用が見送られたことは、中小企業の現実を無視した無責任な決定だ」と強調した。
引き上げ率は高くないものの、「1万ウォン」という節目のボーダーラインを超えた事実は、零細事業者や中小企業には重くのしかかりそうだ。
最低賃金の据え置きを求めてデモする小規模事業者ら=韓国(小商工人連合会提供)
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最低賃金は、労働者と使用者の代表、政府の3者が任命する公益委員で構成される最低賃金委員会で協議される。12日午前に開かれた第11回会議では、労働者側が提示した時給1万120ウォン案と使用者側の時給1万30ウォン案で投票が行われ、14票を獲得した使用者側の案が採択された。
引き上げ率は1.7%と、21年(1.5%)に次いで低い水準となったが、1988年に最低賃金が初めて導入されて以来、37年目で初めて1万ウォンの大台を超えた形だ。
雇用労働省は、来年適用される最低賃金の影響を受ける労働者は、同省の雇用形態別勤労者実態調査ベースで48万9,000人、韓国統計庁の経済活動人口付加調査ベースで301万1,000人に及ぶと推定している。
■過去最長の審議期間
今年の最低賃金を巡る協議は、5月21日に委員会が構成されて以来、過去最長となる53日間続いた。この間、使用者側が飲食店業とコンビニエンスストア、タクシー運送業に適用を求めた業種別最低賃金の導入についても審議されたが、7月2日の全体会議で否決されている。
具体的な最低賃金を巡っては、使用者側は9日の第9回会議まで据え置きを要求したのに対し、労働者側は27.8%増の1万2,600ウォンを求めた。使用者側は11日の第10回会議で出された4次修正案まで1万ウォン未満を主張し、25年も1万ウォンを超えない可能性もあったが、12日午前の第11回会議で双方が1万ウォンを上回る案を提示したことで初の大台超えが確実となった。
委員会は採択された最低賃金案を雇用労働省に提出し、同省が8月5日までに25年度の最低賃金を正式に確定・告示することで25年1月1日より効力が発生する。
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労働組合から成る全国民主労働組合総連盟(民主労総)と韓国労働組合総連盟(韓国労総)は12日に出した声明で、低い引き上げ率となった最低賃金に不満を噴出させた。
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■小規模団体「据え置きならず遺憾」
一方、小規模事業者の団体では人件費負担の増大に対する懸念が広がっている。零細企業など小規模事業者から成る小商工人連合会は12日の最低賃金が決定した直後、「1万ウォンを超えた最低賃金委員会の決定は遺憾だ」とする立場を表明した。
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