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25年の景況感改善に期待華人商議所調査、24年はまちまち

マレーシア華人商工会議所(ACCCIM)がこのほど発表した最新の景況感・景気動向調査(M—BECS)によると、2024年の景況感はまちまちだが、25年にかけて改善していく見通しであることが分かった。足元では、政府による補助金制度の見直し、電子インボイスの導入、最低賃金の引き上げ見込み、外国人労働者の人頭税見直しなどが事業コストの増大につながり、企業の慎重姿勢につながっているという。
同調査は、マレーシア華人商工会議所が会員企業を対象に2年に1度実施している。今回の調査は5月8日~7月17日に実施され、661社が回答した。そのうち中小零細企業が91.2%を占めた。
24年上半期(1~6月)の経済見通しについて、「今と変わらない(現状維持)」との回答が63.1%で最多。「改善する」との回答は11.2%で、「後退する」(25.7%)の半数以下だった。特に、製造、卸・小売り、専門ビジネスサービス、観光関連で慎重な見方が多く、これらのセクターでは20%以上が業績悪化を報告している。
一方、24年下半期(7~12月)の経済見通しについては、「改善する」が22.8%に上り、「後退する」(24.0%)と肩を並べた。25年上半期については「改善する」が30.7%と、「後退する」(16.3%)を大幅に上回った。
企業景況感についても同様の傾向で、25年上半期については「改善する」が31.2%と、「後退する」(14.7%)の2倍近くとなった。
24年上半期の事業環境に影響した要因としては、「通貨リンギの変動」が52.3%で最も多く、次いで「原材料高」(48.9%)、「事業コストの増大と資金繰り」(47.4%)、「ビジネス需要および個人消費の減少」(34.5%)、「内需の減退」(33.7%)などだった。
華人商工会議所のロー・キアンチュアン会頭は、外部環境における下振れリスクとして、先進国での貿易摩擦、気候変動問題、地政学的リスクに言及。国内については補助金制度の見直しを挙げ「長期的な国益につながるものの、事業コストが増大する中で、企業はコストへの影響を懸念している」と述べた。
■人材育成は進まず
高所得国入りに向けてマレーシア経済を一段引き上げるには、高度人材の育成が欠かせないとされている。今回の調査では、人材採用の状況および人材育成についても質問が設けられた。
回答企業の多くは、半熟練労働者と熟練労働者が不足していると回答。一方、26%は「人手は充足している」と回答している。
ビジネス上で必要とされるスキルのうち、技術面では「マーケティング」「データ分析」「IT」が上位を占め、ソフトスキルとしては「リーダーシップ」「コミュニケーション能力」「創造性」が求められている。
人的資源省傘下の人的資源開発公社(HRDコープ)は民間企業からの拠出金を基に基金を設立し、人材育成のための各種研修コースを提供している。ただ、会員企業の多くがこれらの研修を有効活用せず、「拠出金を単なる『税金の一部』と見なしている」(ロー会頭)。実際、回答企業(拠出金の負担がほぼない零細企業を除く)の43.6%は、従業員を研修コースに派遣したことがない。一方で60%の企業は社内研修を好んでいるが、ロー氏は「その効果には疑問符がつく」とした。
新卒初任給については、89.7%の企業が3,000リンギ(約9万8,000円)以下にとどまる。その理由として、「試用期間中の見極めが必要」(61.6%)、「スキル不足」(57.0%)が挙げられた。

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同調査は、マレーシア華人商工会議所が会員企業を対象に2年に1度実施している。今回の調査は5月8日~7月17日に実施され、661社が回答した。そのうち中小零細企業が91.2%を占めた。
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■人材育成は進まず
高所得国入りに向けてマレーシア経済を一段引き上げるには、高度人材の育成が欠かせないとされている。今回の調査では、人材採用の状況および人材育成についても質問が設けられた。
回答企業の多くは、半熟練労働者と熟練労働者が不足していると回答。一方、26%は「人手は充足している」と回答している。
ビジネス上で必要とされるスキルのうち、技術面では「マーケティング」「データ分析」「IT」が上位を占め、ソフトスキルとしては「リーダーシップ」「コミュニケーション能力」「創造性」が求められている。
人的資源省傘下の人的資源開発公社(HRDコープ)は民間企業からの拠出金を基に基金を設立し、人材育成のための各種研修コースを提供している。ただ、会員企業の多くがこれらの研修を有効活用せず、「拠出金を単なる『税金の一部』と見なしている」(ロー会頭)。実際、回答企業(拠出金の負担がほぼない零細企業を除く)の43.6%は、従業員を研修コースに派遣したことがない。一方で60%の企業は社内研修を好んでいるが、ロー氏は「その効果には疑問符がつく」とした。
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