ベトナムの冷凍食品市場に新規参入が相次いでいる。味の素は7月に冷凍ギョーザを発売し、日清製粉グループも来春までに冷凍パスタを投入する方針だ。日系以外では台湾系うま味調味料メーカーの味丹越南(ベダン・ベトナム)が冷凍スープや鍋料理の冷凍具材の販売拡大に取り組んでいる。各社が冷凍食品に注目する背景に、都市部で共働きや単身世帯が増加傾向にあることや、冷凍設備を完備した近代小売店やコールドチェーン(低温物流)の普及がある。
ベトナム味の素が8月にイオンモール・ビンタンに設けた特設ブースの様子(同社提供)
ベトナム味の素は7月に冷凍ギョーザの販売を開始した。豚肉と鶏肉入りで、6個入りと30個入りの2種類をタイから輸入している。6個入りは中間所得層以上の日本食を好む主婦を、30個入りは日本食レストランなどの需要を見込んでいる。6個入りの小売価格は3万5,000ドン(約1.4米ドル、200円)程度。
同社にとって冷凍食品の投入は初めて。玉腰浩司セールス&マーケティング取締役は、NNAに「ギョーザは味の素の冷食事業で日本・全世界の合計売り上げが最も大きく品質にも自信がある」と意気込みを示した。
ベトナム味の素が7月に初投入した冷凍食品「ギョーザ」<ポーク&チキン>(同社提供)
同社は8月に南部ホーチミン市ビンタン区の大型ショッピングモール「イオンモール・ビンタン」で特設ブースを開設。シェフによるギョーザの調理の実演や試食の提供を交えたプロモーション活動を実施したところ、「想定を大きく上回る売れ行きだった」(玉腰氏)。ビンタンでの特設ブースは今月も開設し、商品の認知を広める方針だ。
■日清、冷凍パスタ来春までに投入へ
日清製粉ウェルナもベトナムの冷凍食品市場への参入準備を進めている。同社は9日、これまでベトナム市場で販売してきた業務用製品に加えて、家庭用製品を本格投入すると発表。日清製粉グループの広報担当者はNNAに「来春までに冷凍パスタをタイや日本から輸入販売する計画だ」と明らかにした。
ベダン・ベトナムも、冷凍食品の拡充に力を入れている。同社は5月末にパンガシウス(ベトナム名:チャー、バサ)のスープや、鍋用のつみれなどの冷凍食品の新商品を投入した。
同社は8月にホーチミン市で開催された水産業展示会「ベトフィッシュ2024」に出展し、水産関連の冷凍食品を大々的にアピールした。食品・アミノ酸海外営業部門のファム・タイン・ソン部長はNNAに、昨年から冷凍食品の研究開発や技術革新に力を入れていたことを説明。今年からベトナム拠点で製造した冷凍食品を中国や台湾、日本、ロシアにも輸出販売していく方針を明らかにした。
■低温物流の整備が後押し
各社が冷食市場への参入や商品の拡充を図るのは、ベトナムで経済成長に伴って都市部での共働きや1人暮らし世帯が増加していることなどが背景にある。
日々料理に充てる時間が限られる中で、出勤前や帰宅後に手早く調理・食事が可能で、消費期限が長く買いだめしやすい冷凍食品の需要が高まっている。味の素の玉腰氏は、冷凍食品の「簡便性」が消費者に支持されているとして市場の成長は今後も続くと予想する。
南部に住む30代女性は「家に食材がないときやスーパーに行く時間がないときに冷凍食品を活用する」と話す。別の女性も「基本的には伝統市場やスーパーで新鮮な食材を調達しているが、朝食を料理する時間がないときには冷凍の肉まんを食べる」という。
「コロナ禍で家にいる時間が増えた際によく購入していた」という消費者も多く、コロナ禍を契機に冷凍食品が浸透した側面もあるようだ。
冷凍食品の主な販売チャンネルとなるスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの近代小売店や電子商取引(EC)が近年普及してきたことや、コールドチェーンが整備されてきたことも市場拡大の後押しとなっている。
米国に本拠を置く市場調査会社テックサイ・リサーチは、ベトナムの冷凍食品の市場規模は2022年の17億5,553万米ドルから年率8.72%で成長し、28年には29億米ドルに拡大すると予測する。
テックサイは今後のベトナムの冷凍食品市場の課題として、栄養価や添加物、保存料に関する消費者の懸念払拭や、コールドチェーンの一層の発展などを挙げている。
8月に開催された水産業展示会「ベトフィッシュ2024」での台湾系ベダンのブースの様子=ホーチミン市
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ベトナム味の素は7月に冷凍ギョーザの販売を開始した。豚肉と鶏肉入りで、6個入りと30個入りの2種類をタイから輸入している。6個入りは中間所得層以上の日本食を好む主婦を、30個入りは日本食レストランなどの需要を見込んでいる。6個入りの小売価格は3万5,000ドン(約1.4米ドル、200円)程度。
同社にとって冷凍食品の投入は初めて。玉腰浩司セールス&マーケティング取締役は、NNAに「ギョーザは味の素の冷食事業で日本・全世界の合計売り上げが最も大きく品質にも自信がある」と意気込みを示した。
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同社は8月に南部ホーチミン市ビンタン区の大型ショッピングモール「イオンモール・ビンタン」で特設ブースを開設。シェフによるギョーザの調理の実演や試食の提供を交えたプロモーション活動を実施したところ、「想定を大きく上回る売れ行きだった」(玉腰氏)。ビンタンでの特設ブースは今月も開設し、商品の認知を広める方針だ。
■日清、冷凍パスタ来春までに投入へ
日清製粉ウェルナもベトナムの冷凍食品市場への参入準備を進めている。同社は9日、これまでベトナム市場で販売してきた業務用製品に加えて、家庭用製品を本格投入すると発表。日清製粉グループの広報担当者はNNAに「来春までに冷凍パスタをタイや日本から輸入販売する計画だ」と明らかにした。
ベダン・ベトナムも、冷凍食品の拡充に力を入れている。同社は5月末にパンガシウス(ベトナム名:チャー、バサ)のスープや、鍋用のつみれなどの冷凍食品の新商品を投入した。
同社は8月にホーチミン市で開催された水産業展示会「ベトフィッシュ2024」に出展し、水産関連の冷凍食品を大々的にアピールした。食品・アミノ酸海外営業部門のファム・タイン・ソン部長はNNAに、昨年から冷凍食品の研究開発や技術革新に力を入れていたことを説明。今年からベトナム拠点で製造した冷凍食品を中国や台湾、日本、ロシアにも輸出販売していく方針を明らかにした。
■低温物流の整備が後押し
各社が冷食市場への参入や商品の拡充を図るのは、ベトナムで経済成長に伴って都市部での共働きや1人暮らし世帯が増加していることなどが背景にある。
日々料理に充てる時間が限られる中で、出勤前や帰宅後に手早く調理・食事が可能で、消費期限が長く買いだめしやすい冷凍食品の需要が高まっている。味の素の玉腰氏は、冷凍食品の「簡便性」が消費者に支持されているとして市場の成長は今後も続くと予想する。
南部に住む30代女性は「家に食材がないときやスーパーに行く時間がないときに冷凍食品を活用する」と話す。別の女性も「基本的には伝統市場やスーパーで新鮮な食材を調達しているが、朝食を料理する時間がないときには冷凍の肉まんを食べる」という。
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冷凍食品の主な販売チャンネルとなるスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの近代小売店や電子商取引(EC)が近年普及してきたことや、コールドチェーンが整備されてきたことも市場拡大の後押しとなっている。
米国に本拠を置く市場調査会社テックサイ・リサーチは、ベトナムの冷凍食品の市場規模は2022年の17億5,553万米ドルから年率8.72%で成長し、28年には29億米ドルに拡大すると予測する。
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