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イスラム美容市場に進出狙う女性の頭皮ケア課題、日系サロン

インドネシアでイスラム教徒の女性の宗教的な習慣から起きる頭皮ケアなどの問題を解決することに商機を見いだそうとする動きが出ている。東京で頭皮改善サロン・フェムケアサロン「kikka」を運営するRikkaカンパニー(横浜市)は、首都ジャカルタで10月中旬に開催された同国最大規模の美容展示会「コスモボーテ(Cosmobeauté)インドネシア」を足がかりに進出を目指している。インドネシアの美容市場は向こう5年間で年4%の成長が見込まれる有望市場の1つとなっている。

ピラティススタジオで行った頭皮診断結果の画像を示しながら説明する冨樫代表(左奥)=ジャカルタ特別州(NNA撮影)

Rikkaカンパニーはこれまで海外の展示会に参加した経験はなかった。冨樫涼子代表取締役は初出展に先立ち、7月に初めてジャカルタを視察。美容業界関係者と意見交換をして「インドネシアでも頭皮ケアのニーズがある」と確信したという。
コスモボーテではブースの来場者に、出展の翌週にはジャカルタ北部のピラティススタジオで受講者に頭皮診断のデモンストレーションを行った。計約100人に対し、マイクロスコープを用いて頭皮をチェックし、頭皮や毛髪の状態などを診断した。
冨樫氏は「インドネシアの女性の多くはフケや薄毛に悩んでいるが、その原因が分からなくて人知れず悩んでいる」と話す。イスラム教徒の女性がヒジャブ(頭髪を覆うスカーフ)を、洗髪後に髪を乾かさずにそのままかぶったり、2~3日おきにしか洗髪しなかったりする人が多いこと、砂糖や油を多く使った食習慣などが髪や頭皮のトラブルを招いているとの見方を示した。
頭皮診断を受けた女性は、マイクロスコープで映し出された頭皮の画像や「辛い食べ物や油っぽい食べ物を控えて」との診断結果を見て、日頃の習慣に思い当たることがあるのか納得した様子だった。
このほか、美容サロンを経営しているという女性は「こんな頭皮診断は受けたことがない。もしインドネシアにあるなら施術を受けてみたいが料金はいくらか」と関心を寄せていた。別の女性は「シャンプーはジャカルタに売っていないのか」「日本のサロンはどこにあるのか。日本へ旅行に行く友人に買ってきてもらうように頼む」と積極的に尋ねていた。
東京・恵比寿にあるkikkaのサロンでは地肌改善シャンプーなどヘアケア用品も販売している。冨樫氏は「サロンでできるアドバイスはケア全体の2割で、8割は毎日の手入れが大切」と話す。「インドネシアの人たちは頭皮ケアの知識が足りない。まずは基本的なケアの情報を啓発することが何よりも大事だ」(冨樫氏)と力を込める。
ただインドネシアでは宗教上の規制にも配慮しなければならない。日本で人気のヒト幹細胞培養液を配合した頭皮ケア用スカルプシャンプーは、インドネシアのイスラム教徒には「ハラル(イスラム教の戒律で許されたもの)ではない」とみなされるため、販売しづらい事情がある。
今回の展示会では、美容クリニック経営者や医師も多くブースに来場し、「頭皮診断をぜひ教えてほしい」という要望も数多く受けた。冨樫氏は、現地で頭皮診断できる人材を育て、将来的には美容室やエステサロン、ピラティススタジオなどに導入したいと意気込みを話した。

Rikkaカンパニーがジャカルタの展示会やデモンストレーションの場で、頭皮診断ケアの参加者に配布したパンフレットはインドネシア語での説明も加えた(パンフレットの一部より)

■日本の美容品、イノベーションに期待
インドネシアで美容クリニックへのニーズは高まっている。ドイツの市場調査会社スタティスタのデータによれば、美容・パーソナルケア市場の売上高は2024年に91億7,000万米ドル(約1兆3,905億円)になる見込み。24~29年に年平均4.02%成長し、29年には111億7,000万米ドルに拡大すると予想されている。
インドネシア美容エステティック協会(APKEI)のムフィアナ会長はNNAに対し「あらゆる年齢層の男女が、健康でよく手入れされた肌の重要性を認識し、生活必需品よりも大事だと考えている」と指摘。健康な肌を持つことの重要性から、若者の間では「輝いていなければリスペクトされないという格言すらある」と述べた。
またムフィアナ氏は「インドネシアの美容起業家には、韓国ブランドの美容商品が依然として人気が高い」と認めつつも、日本のブランドは高品質で技術力が高く、美容製品のイノベーションに卓越性があることで長い間知られてきたと指摘した。
日本のブランドが韓国ブランドと競争できる美容技術や科学に基づいた、アンチエイジングやスキンケア、美白、髪と頭皮のケアなどで、消費者のニーズに配慮したイノベーションに引き続き注力することを期待していると述べた。

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コスモボーテではブースの来場者に、出展の翌週にはジャカルタ北部のピラティススタジオで受講者に頭皮診断のデモンストレーションを行った。計約100人に対し、マイクロスコープを用いて頭皮をチェックし、頭皮や毛髪の状態などを診断した。
冨樫氏は「インドネシアの女性の多くはフケや薄毛に悩んでいるが、その原因が分からなくて人知れず悩んでいる」と話す。イスラム教徒の女性がヒジャブ(頭髪を覆うスカーフ)を、洗髪後に髪を乾かさずにそのままかぶったり、2~3日おきにしか洗髪しなかったりする人が多いこと、砂糖や油を多く使った食習慣などが髪や頭皮のトラブルを招いているとの見方を示した。
頭皮診断を受けた女性は、マイクロスコープで映し出された頭皮の画像や「辛い食べ物や油っぽい食べ物を控えて」との診断結果を見て、日頃の習慣に思い当たることがあるのか納得した様子だった。
このほか、美容サロンを経営しているという女性は「こんな頭皮診断は受けたことがない。もしインドネシアにあるなら施術を受けてみたいが料金はいくらか」と関心を寄せていた。別の女性は「シャンプーはジャカルタに売っていないのか」「日本のサロンはどこにあるのか。日本へ旅行に行く友人に買ってきてもらうように頼む」と積極的に尋ねていた。
東京・恵比寿にあるkikkaのサロンでは地肌改善シャンプーなどヘアケア用品も販売している。冨樫氏は「サロンでできるアドバイスはケア全体の2割で、8割は毎日の手入れが大切」と話す。「インドネシアの人たちは頭皮ケアの知識が足りない。まずは基本的なケアの情報を啓発することが何よりも大事だ」(冨樫氏)と力を込める。
ただインドネシアでは宗教上の規制にも配慮しなければならない。日本で人気のヒト幹細胞培養液を配合した頭皮ケア用スカルプシャンプーは、インドネシアのイスラム教徒には「ハラル(イスラム教の戒律で許されたもの)ではない」とみなされるため、販売しづらい事情がある。
今回の展示会では、美容クリニック経営者や医師も多くブースに来場し、「頭皮診断をぜひ教えてほしい」という要望も数多く受けた。冨樫氏は、現地で頭皮診断できる人材を育て、将来的には美容室やエステサロン、ピラティススタジオなどに導入したいと意気込みを話した。
[caption id="attachment_23740" align="aligncenter" width="620"]Rikkaカンパニーがジャカルタの展示会やデモンストレーションの場で、頭皮診断ケアの参加者に配布したパンフレットはインドネシア語での説明も加えた(パンフレットの一部より) [/caption]
■日本の美容品、イノベーションに期待
インドネシアで美容クリニックへのニーズは高まっている。ドイツの市場調査会社スタティスタのデータによれば、美容・パーソナルケア市場の売上高は2024年に91億7,000万米ドル(約1兆3,905億円)になる見込み。24~29年に年平均4.02%成長し、29年には111億7,000万米ドルに拡大すると予想されている。
インドネシア美容エステティック協会(APKEI)のムフィアナ会長はNNAに対し「あらゆる年齢層の男女が、健康でよく手入れされた肌の重要性を認識し、生活必需品よりも大事だと考えている」と指摘。健康な肌を持つことの重要性から、若者の間では「輝いていなければリスペクトされないという格言すらある」と述べた。
またムフィアナ氏は「インドネシアの美容起業家には、韓国ブランドの美容商品が依然として人気が高い」と認めつつも、日本のブランドは高品質で技術力が高く、美容製品のイノベーションに卓越性があることで長い間知られてきたと指摘した。
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