インドの自動車や関連技術の国際展示会の開幕を翌日に控えた16日、スズキは首都ニューデリーで日本の報道陣向けに会見を開き、鈴木俊宏社長が質疑に答えた。スズキは国際展示会で同社初の電気自動車(EV)「eビターラ」を公開する。西部グジャラート州の工場で25年春から生産を開始し、インドをはじめ欧州や日本にも輸出するグローバルモデル(世界戦略車)となる。EVの生産をインドに一極集中するとともに輸出のハブ機能も強化。輸出を含めたインドのEV出荷台数でシェア首位を目指す。主なやりとりは以下のとおり。
スズキの鈴木俊宏社長は同社初の電気自動車「eビターラ」のインド公開を控え、「バッテリーは当初輸入対応になるが、将来的には電池セルからインドで手がけていきたい」と語った=16日、首都ニューデリー(NNA撮影)
——インドのEV市場は既に地場タタ・モーターズが約6割のシェアを持つ。この機会でEV投入となったのはなぜか。
他社が先行してEVを投入するなかで、さまざまな課題が見えてきた。それら課題を走行距離や専用車台(プラットフォーム)に落とし込み、顧客のニーズからも学び、「スズキが描くEV」を示せるのがこのタイミングだった。
——スズキ初のEV「eビターラ」はどの程度、現地化されたモデルなのか。
搭載する蓄電池は電池パックの形で中国のEVメーカー大手の比亜迪(BYD)から輸入する。当初は技術を蓄積し、いずれは電池セルからインドで製造していきたい。
——「eビターラ」は欧州や日本へも輸出する。輸出拠点としてインドをどう位置付けているのか。
スズキのグローバル市場でインドは(地理的に)中心に位置する。為替などを念頭に世界の各拠点でそれぞれ生産するより、インド事業の強みであるスケールメリットを生かし、一極集中で生産、輸出を担うのが効率的だと考えている。(スズキの子会社の)マルチ・スズキの2024年の輸出台数(四輪)は32万6,000台と、前年度から21%増え、輸出拠点のハブになりつつある。他社に先駆けて輸出を伸ばし、インドの外貨を稼ぎ、インドの発展に貢献していく。

——昨年8月に小型スポーツタイプ多目的車(SUV)「フロンクス」の日本向け輸出を開始した。インド製に対する日本の消費者の受け止め方はどうか。
月販目標台数に対して3倍の受注があり、好調だ。顧客にとって生産国がどこかではなく、どこのメーカーのものかが重要となる。
(16年にインドから日本に輸出した)小型ハッチバック「バレーノ」はハイオクガソリン版で、日本の消費者が求める仕様(レギュラー版)とかみ合わなかった。フロンクス投入では、この教訓を生かした。
——EVだけでなく、ハイブリッド車や圧縮天然ガス(CNG)車、バイオ燃料車などを地域・市場ごとに組み合わせて投入していく「マルチパスウェイ」を重視している。インドではどのような選択肢で環境を配慮した動力源の移行に取り組んでいくのか。
マルチパスウェイは、二酸化炭素(CO2)をいかに削減し、カーボンニュートラル(炭素中立)を実現するかを目的とした取り組みだ。インドは農村部の発展段階や各地域によって求められる製品が異なり、用途に合った原動機を「適所適材」で投入していく。
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——スズキ初のEV「eビターラ」はどの程度、現地化されたモデルなのか。
搭載する蓄電池は電池パックの形で中国のEVメーカー大手の比亜迪(BYD)から輸入する。当初は技術を蓄積し、いずれは電池セルからインドで製造していきたい。
——「eビターラ」は欧州や日本へも輸出する。輸出拠点としてインドをどう位置付けているのか。
スズキのグローバル市場でインドは(地理的に)中心に位置する。為替などを念頭に世界の各拠点でそれぞれ生産するより、インド事業の強みであるスケールメリットを生かし、一極集中で生産、輸出を担うのが効率的だと考えている。(スズキの子会社の)マルチ・スズキの2024年の輸出台数(四輪)は32万6,000台と、前年度から21%増え、輸出拠点のハブになりつつある。他社に先駆けて輸出を伸ばし、インドの外貨を稼ぎ、インドの発展に貢献していく。

——昨年8月に小型スポーツタイプ多目的車(SUV)「フロンクス」の日本向け輸出を開始した。インド製に対する日本の消費者の受け止め方はどうか。
月販目標台数に対して3倍の受注があり、好調だ。顧客にとって生産国がどこかではなく、どこのメーカーのものかが重要となる。
(16年にインドから日本に輸出した)小型ハッチバック「バレーノ」はハイオクガソリン版で、日本の消費者が求める仕様(レギュラー版)とかみ合わなかった。フロンクス投入では、この教訓を生かした。
——EVだけでなく、ハイブリッド車や圧縮天然ガス(CNG)車、バイオ燃料車などを地域・市場ごとに組み合わせて投入していく「マルチパスウェイ」を重視している。インドではどのような選択肢で環境を配慮した動力源の移行に取り組んでいくのか。
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