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《日系進出》タクシー運転手を日本へ徳島の教習所、年300人育成

徳島県の自動車教習所大手、広沢自動車学校(徳島市)は、ベトナム南部ドンタップ省人民委員会と連携し、日本で働くベトナム人のタクシー運転手の育成を2025年夏から開始する。年間300人規模を当面の目標に掲げ徳島県をはじめ日本全国に継続的に送り出す構想だ。日本政府が24年3月に外国人向け在留資格「特定技能1号」の対象に運送業のドライバーを加えたことを受け、人材不足が深刻な日本全国のタクシー業界に派遣する。安全運転技術の指導のノウハウは、ベトナム全土の教習所や日本の他の教習所などとも共有し、日本のドライバー不足の解消に向けて業界全体をリードすることを目指す。

広沢自動車学校グループは、徳島県と南部ドンタップ省の経済・文化協力に向けて協議を重ねている=5日、ドンタップ省(広沢自動車学校グループ提供)

■グループ3社で協力
広沢自動車学校は、徳島県とドンタップ省の経済・文化交流の一環として日本向けのタクシー人材育成プロジェクトを始動した。広沢の関連会社で、特定技能人材受け入れの登録支援機関でもある2社、シンクスリー(徳島市)とテトラ・シフト(東京都港区)もプロジェクトに参画する。西日本の受け入れ企業に対してはシンクスリーが、東日本の企業にはテトラ・シフトが主な窓口となる。
既に四国の大手タクシー会社など複数の問い合わせを受けており、送り出しに向けて調整を開始している。

日本での就労希望者には、まず現地で日本語を学び、運転免許を取得してもらう。日本語能力試験(難易度の高い順からN1~N5でレベル分けされる)のN4レベル検定と、現地教習所の講習で合格させた上で、日本に送り出す。日本で2種免許への切り替えや必要な研修などを受けてもらい、日本各地のタクシー会社に就業してもらう計画だ。
広沢自動車グループは、登録支援機関および教習所として、日本水準の安全運転トレーニング、日本免許への切り替え支援、日本語会話の訓練、タクシー会社の就労支援と日本での生活サポートなどを行う。
ベトナムなどで運転手育成に乗り出す日本企業は増えているが、広沢自動車グループの特徴は教習所主導である点だ。広沢自動車学校の祖川嗣朗社長は「ドライバー人材の輩出において最も重要な、安全運転の技能の訓練を担う教習所が主体となることには大きな意義がある」と自信を示している。
■タクシー運転手、10年で4割減
広沢自動車グループがベトナムで運転手を育成する背景に、日本でのタクシー運転手不足の深刻化がある。国土交通省の統計によれば、タクシー運転手数は22年時点で24万人と、過去5年で2割、過去10年で4割減少した。

運転手の数は減少する一方で、急増するインバウンド観光客や高齢者の移動の足としてタクシーの需要は高い。22年のタクシー利用者数は前年比12%増とコロナ禍から回復が進んでおり需給が逼迫(ひっぱく)している。
■地方都市間の経済協力目指す
広沢自動車グループの取り組みを日越の地方行政も後押ししている。省民の就労機会の拡大を目指すドンタップ省と、地域の社会経済の振興を目指す徳島県の狙いが一致しているためだ。
ドンタップ省の人口は徳島県の2倍を超える約170万人。24年までに約2,000人の人材を海外に送り出しており、25年は2,500人を目標としている。
一方で徳島県は人口が25年2月までの6年間で人口が7%減少しており、高齢化や過疎化に悩む地域も多い。徳島県は、今回の取り組みを通じてタクシー運転手人材を確保するとともにドンタップ省と幅広く人的な交流を進める方針だ。
ドンタップ省から商業都市の南部ホーチミン市へは約150キロメートルで、徳島県から大阪府への距離とほぼ同じ。祖川氏は「ドンタップ省と徳島県は親和性が高い」と説明する。
■ベトナム、日本全国に展開を目指す
広沢自動車学校グループは、将来的にベトナム全国での人材育成と日本全国への運転手の輩出も視野に入れる。
自社のノウハウを日越の他の企業にも共有し、業界一丸となって運転手の人材育成の輪を広げていく方針だ。
3日には埼玉県の自動車教習所で外国人の教習に力を入れている羽生モータースクール(埼玉県羽生市)と、ベトナム全国15カ所(建設予定を含む)で教習所を運営する地場バンタイングループと協力し、日本で運転手としての就業を目指すベトナム人の育成を請け負うサービスを開発すると発表している。

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既に四国の大手タクシー会社など複数の問い合わせを受けており、送り出しに向けて調整を開始している。

日本での就労希望者には、まず現地で日本語を学び、運転免許を取得してもらう。日本語能力試験(難易度の高い順からN1~N5でレベル分けされる)のN4レベル検定と、現地教習所の講習で合格させた上で、日本に送り出す。日本で2種免許への切り替えや必要な研修などを受けてもらい、日本各地のタクシー会社に就業してもらう計画だ。
広沢自動車グループは、登録支援機関および教習所として、日本水準の安全運転トレーニング、日本免許への切り替え支援、日本語会話の訓練、タクシー会社の就労支援と日本での生活サポートなどを行う。
ベトナムなどで運転手育成に乗り出す日本企業は増えているが、広沢自動車グループの特徴は教習所主導である点だ。広沢自動車学校の祖川嗣朗社長は「ドライバー人材の輩出において最も重要な、安全運転の技能の訓練を担う教習所が主体となることには大きな意義がある」と自信を示している。
■タクシー運転手、10年で4割減
広沢自動車グループがベトナムで運転手を育成する背景に、日本でのタクシー運転手不足の深刻化がある。国土交通省の統計によれば、タクシー運転手数は22年時点で24万人と、過去5年で2割、過去10年で4割減少した。

運転手の数は減少する一方で、急増するインバウンド観光客や高齢者の移動の足としてタクシーの需要は高い。22年のタクシー利用者数は前年比12%増とコロナ禍から回復が進んでおり需給が逼迫(ひっぱく)している。
■地方都市間の経済協力目指す
広沢自動車グループの取り組みを日越の地方行政も後押ししている。省民の就労機会の拡大を目指すドンタップ省と、地域の社会経済の振興を目指す徳島県の狙いが一致しているためだ。
ドンタップ省の人口は徳島県の2倍を超える約170万人。24年までに約2,000人の人材を海外に送り出しており、25年は2,500人を目標としている。
一方で徳島県は人口が25年2月までの6年間で人口が7%減少しており、高齢化や過疎化に悩む地域も多い。徳島県は、今回の取り組みを通じてタクシー運転手人材を確保するとともにドンタップ省と幅広く人的な交流を進める方針だ。
ドンタップ省から商業都市の南部ホーチミン市へは約150キロメートルで、徳島県から大阪府への距離とほぼ同じ。祖川氏は「ドンタップ省と徳島県は親和性が高い」と説明する。
■ベトナム、日本全国に展開を目指す
広沢自動車学校グループは、将来的にベトナム全国での人材育成と日本全国への運転手の輩出も視野に入れる。
自社のノウハウを日越の他の企業にも共有し、業界一丸となって運転手の人材育成の輪を広げていく方針だ。
3日には埼玉県の自動車教習所で外国人の教習に力を入れている羽生モータースクール(埼玉県羽生市)と、ベトナム全国15カ所(建設予定を含む)で教習所を運営する地場バンタイングループと協力し、日本で運転手としての就業を目指すベトナム人の育成を請け負うサービスを開発すると発表している。" ["post_title"]=> string(87) "《日系進出》タクシー運転手を日本へ徳島の教習所、年300人育成" ["post_excerpt"]=> string(0) "" ["post_status"]=> string(7) "publish" ["comment_status"]=> string(4) "open" ["ping_status"]=> string(4) "open" ["post_password"]=> string(0) "" ["post_name"]=> string(198) "%e3%80%8a%e6%97%a5%e7%b3%bb%e9%80%b2%e5%87%ba%e3%80%8b%e3%82%bf%e3%82%af%e3%82%b7%e3%83%bc%e9%81%8b%e8%bb%a2%e6%89%8b%e3%82%92%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%b8%e5%be%b3%e5%b3%b6%e3%81%ae%e6%95%99%e7%bf%92" ["to_ping"]=> string(0) "" ["pinged"]=> string(0) "" ["post_modified"]=> string(19) "2025-03-13 04:00:03" ["post_modified_gmt"]=> string(19) "2025-03-12 19:00:03" ["post_content_filtered"]=> string(0) "" ["post_parent"]=> int(0) ["guid"]=> string(34) "https://nnaglobalnavi.com/?p=25323" ["menu_order"]=> int(0) ["post_type"]=> string(4) "post" ["post_mime_type"]=> string(0) "" ["comment_count"]=> string(1) "0" ["filter"]=> string(3) "raw" }
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