韓国のLGグループが電気自動車(EV)関連事業の見直しに着手した。バッテリー大手のLGエナジーソリューションは、インドネシアで進めていた12兆ウォン(約1兆1,900億円)規模のバッテリー向けサプライチェーン(供給網)の構築事業から撤退。LG電子は新事業として育成してきたEV充電器の子会社を清算する。世界でEV市場が停滞する中、事業ポートフォリオを改革して主力事業に投資を集中させる考えだ。
インドネシアにあるLGエナジーソリューションと現代自動車のバッテリー工場はそのまま運営を継続する(現代自動車提供)
LGエナジーの広報担当者によると、インドネシアで参画していたEVバッテリーのサプライチェーン構築を目指すコンソーシアム(企業連合)から撤退する。市場状況や投資環境などさまざまな点を考慮して撤退を決めたという。
同社は2022年4月、同コンソーシアムを通じ、現地でニッケル鉱石の加工から前駆体、バッテリーセルまでの生産を手がける拠点を立ち上げると発表していた。一方、24年7月に現代自動車と合弁で設立したインドネシア初となるバッテリー工場の運営は継続する。
米国や欧州でのEV需要の低迷を受け、LGエナジーの世界シェアは低下傾向にある。韓国調査会社SNEリサーチによると、世界の車載電池市場における24年のLGエナジーのシェアは10.8%と前年比2.7ポイント下落した。半面、最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)を含める中国勢は底堅い国内需要に支えられ、世界シェアの拡大を続けている。
LGエナジーとしては、EV普及に時間がかかる東南アジア市場よりも、現地生産化が進む米国市場に投資を集中させて中国勢に対抗する構えのようだ。
■充電器撤退でエアコンに注力
LG電子はEVの充電器事業から撤退する。EV充電器を製造する子会社HiEV チャージャー(旧アップルマンゴー)を清算して、関連業務を担ってきた社員はLG電子の別組織に配置転換する。ただし、事業終了後も供給先を対象とした維持保守サービスは行うという。
LG電子は22年に地場のアップルマンゴー(当時)を買収してEV充電器事業に進出。大型スーパーマーケットのEマートに緩速・急速充電器を設置するなど国内事業を展開する一方、24年には米国市場にも参入していた。同事業部は今後、家庭用・商業用エアコンやヒートポンプなど、暖房・換気・エアコン(HVAC)事業に注力する。
■「選択と集中」に本腰
LGグループのEV関連事業の見直しは「選択と集中」を掲げた成長戦略の一環だ。同グループの具光謨(ク・グァンモ)会長は今年3月に開かれた幹部会議で、「経営環境の変化は予想よりはるかに速かったが、LGグループの事業構造の変化は適切に行われない部分があった」と指摘。とりわけ「持続可能な『競争優位』に事業の力点を置き、資本投入や実行の優先順位を一致させなければならない」と強調している。
最近では、LG電子がベトナムとインドネシア、ポーランドで進めていた家電工場の増設計画を全面中止し、北米市場での生産増強に乗り出した。化学大手のLG化学も、分離膜(セパレーター)事業の構造改革に着手。すでに生産工場の人員整理を進め、米国進出やハンガリー合弁工場への追加投資計画なども白紙化したとされる。
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米国や欧州でのEV需要の低迷を受け、LGエナジーの世界シェアは低下傾向にある。韓国調査会社SNEリサーチによると、世界の車載電池市場における24年のLGエナジーのシェアは10.8%と前年比2.7ポイント下落した。半面、最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)を含める中国勢は底堅い国内需要に支えられ、世界シェアの拡大を続けている。
LGエナジーとしては、EV普及に時間がかかる東南アジア市場よりも、現地生産化が進む米国市場に投資を集中させて中国勢に対抗する構えのようだ。
■充電器撤退でエアコンに注力
LG電子はEVの充電器事業から撤退する。EV充電器を製造する子会社HiEV チャージャー(旧アップルマンゴー)を清算して、関連業務を担ってきた社員はLG電子の別組織に配置転換する。ただし、事業終了後も供給先を対象とした維持保守サービスは行うという。
LG電子は22年に地場のアップルマンゴー(当時)を買収してEV充電器事業に進出。大型スーパーマーケットのEマートに緩速・急速充電器を設置するなど国内事業を展開する一方、24年には米国市場にも参入していた。同事業部は今後、家庭用・商業用エアコンやヒートポンプなど、暖房・換気・エアコン(HVAC)事業に注力する。
■「選択と集中」に本腰
LGグループのEV関連事業の見直しは「選択と集中」を掲げた成長戦略の一環だ。同グループの具光謨(ク・グァンモ)会長は今年3月に開かれた幹部会議で、「経営環境の変化は予想よりはるかに速かったが、LGグループの事業構造の変化は適切に行われない部分があった」と指摘。とりわけ「持続可能な『競争優位』に事業の力点を置き、資本投入や実行の優先順位を一致させなければならない」と強調している。
最近では、LG電子がベトナムとインドネシア、ポーランドで進めていた家電工場の増設計画を全面中止し、北米市場での生産増強に乗り出した。化学大手のLG化学も、分離膜(セパレーター)事業の構造改革に着手。すでに生産工場の人員整理を進め、米国進出やハンガリー合弁工場への追加投資計画なども白紙化したとされる。"
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