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新韓銀、日系市場に参入事業仲介、駐在員向け個人金融も

韓国金融大手の新韓銀行はベトナムで日本企業の顧客開拓に乗り出す。現地子会社で外資系銀行としては随一の拠点数を誇る新韓ベトナム銀行はこのほどジャパンデスクを設置。業務提携を結んだ東京きらぼしフィナンシャルグループ(FG)傘下のベトナム法人とともにコンサルティング型アプローチによる伴走支援を展開する。ベトナムに進出した韓国大手企業を長年支えてきた経験とノウハウ、ネットワークをもとに、日韓越のビジネスマッチングや駐在員向けサービスも提供する。新韓ベトナム銀の姜圭遠(カン・ギュウォン)最高経営責任者(CEO)はNNAに、中堅・中小企業を照準に日系との取引を拡大する意向を明らかにした。

きらぼし銀に強い信頼を寄せる姜CEO=7月25日、ホーチミン市

姜CEOとの一問一答は以下の通り。
——きらぼしビジネスコンサルティングベトナムとの業務提携の目的は。
新韓金融グループと東京きらぼしFGは以前からデジタルやIT、グローバル戦略分野で連携してきた。今回のベトナム法人との協定締結は、日本企業への支援強化が目的だ。
特に、きらぼし側が「コンサルティング」という切り口で企業にアプローチしている点に魅力を感じている。現地に直接銀行として進出するのではなく、まずはコンサル機能を前面に出して企業課題に入り込むスタイルは、既存の銀行とは異なる価値をもたらすと考えている。
——新韓ベトナム内に設けるジャパンデスクはどのような役割を担うのか。
日本企業向けのワンストップ窓口だ。問い合わせ対応にとどまらず、ニーズに応じたソリューション提案、日越間のビジネス慣習や法制度のギャップを埋める調整役も担う。これまで韓国企業支援で培ったノウハウを、日本企業支援にも応用していく。
■「サブバンク」にニーズ
——日本企業のニーズをどう捉えているか。
大手はメガバンクと取引しているが、ベトナム各地に広がる中堅・中小企業の中には、日々の金融ニーズにきめ細かく対応できる支援を求める声も多い。決済や給与振り込み、現地従業員向けローンといった運用面で、新韓ベトナムは「副取引銀行(サブバンク)」としての役割を果たせると考えている。
当行は2009年にベトナムで法人化し、全国に外国系銀行としては最多となる55の支店を持つ。韓国系投資企業とローカル顧客の両輪で事業を展開しており、サムスン電子やLG、現代自動車を中心としたサプライチェーン(供給網)対応で得た知見は、日系企業にも十分応用できるはずだ。
——日韓越の3カ国の企業連携でどのような分野に可能性を見ているか。
注目している分野は3つある。1つ目は先端技術・半導体、2つ目はグリーンエネルギーや環境・社会・企業統治(ESG)関連、3つ目はデジタルトランスフォーメーション(DX)やスマートソリューションだ。日韓企業の高い技術力や品質管理力と、ベトナムの若く柔軟な労働力・コスト優位性をかけ合わせたビジネス展開に期待が持てる。
■POSで日本食店とも連携

新韓銀のアプリ「SHINHAN SOL」は英韓越の3カ国語に対応する。

——日本人駐在員に対するサービスはどうか。
口座開設、モバイルバンキング、給与送金、クレジットカードなど、外国人向けの基本的な金融サービスを提供する。アプリ「SHINHAN SOL」では英語・韓国語・ベトナム語の3言語対応を提供しており、利便性は高い。現地大手企業や他行の支店長もユーザーになっている例があるほどで、外国人駐在員の生活支援に役立っている。
——今後注力していく分野は何か。
販売時点情報管理(POS)やキャッシュマネジメントサービス(CMS)といった中小企業向けの決済ソリューションを強化している。ベトナム国内の小規模事業者にも金融サービスの基盤を広げており、日本の流通業や飲食業とも連携の可能性を探っている。こうした仕組みを通じて、企業の売り上げや資金管理を支援しつつ、銀行としてのエコシステム(生態系)構築につなげていきたい。(聞き手=坂部哲生)

きらぼしベトナムの紺野由祐社長(左)と握手する姜法人長=7月25日、ホーチミン市

<プロフィル>
新韓ベトナム銀行:韓国・新韓金融グループの海外拠点として1993年にベトナム進出。2009年に現地法人化した。全国で55支店を展開し、法人融資・リテール・決済サービスを提供。法人顧客の約4割を韓国系、6割を地場などが占め、両者のニーズに対応する体制を築いている。

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姜CEOとの一問一答は以下の通り。
——きらぼしビジネスコンサルティングベトナムとの業務提携の目的は。
新韓金融グループと東京きらぼしFGは以前からデジタルやIT、グローバル戦略分野で連携してきた。今回のベトナム法人との協定締結は、日本企業への支援強化が目的だ。
特に、きらぼし側が「コンサルティング」という切り口で企業にアプローチしている点に魅力を感じている。現地に直接銀行として進出するのではなく、まずはコンサル機能を前面に出して企業課題に入り込むスタイルは、既存の銀行とは異なる価値をもたらすと考えている。
——新韓ベトナム内に設けるジャパンデスクはどのような役割を担うのか。
日本企業向けのワンストップ窓口だ。問い合わせ対応にとどまらず、ニーズに応じたソリューション提案、日越間のビジネス慣習や法制度のギャップを埋める調整役も担う。これまで韓国企業支援で培ったノウハウを、日本企業支援にも応用していく。
■「サブバンク」にニーズ
——日本企業のニーズをどう捉えているか。
大手はメガバンクと取引しているが、ベトナム各地に広がる中堅・中小企業の中には、日々の金融ニーズにきめ細かく対応できる支援を求める声も多い。決済や給与振り込み、現地従業員向けローンといった運用面で、新韓ベトナムは「副取引銀行(サブバンク)」としての役割を果たせると考えている。
当行は2009年にベトナムで法人化し、全国に外国系銀行としては最多となる55の支店を持つ。韓国系投資企業とローカル顧客の両輪で事業を展開しており、サムスン電子やLG、現代自動車を中心としたサプライチェーン(供給網)対応で得た知見は、日系企業にも十分応用できるはずだ。
——日韓越の3カ国の企業連携でどのような分野に可能性を見ているか。
注目している分野は3つある。1つ目は先端技術・半導体、2つ目はグリーンエネルギーや環境・社会・企業統治(ESG)関連、3つ目はデジタルトランスフォーメーション(DX)やスマートソリューションだ。日韓企業の高い技術力や品質管理力と、ベトナムの若く柔軟な労働力・コスト優位性をかけ合わせたビジネス展開に期待が持てる。
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——日本人駐在員に対するサービスはどうか。
口座開設、モバイルバンキング、給与送金、クレジットカードなど、外国人向けの基本的な金融サービスを提供する。アプリ「SHINHAN SOL」では英語・韓国語・ベトナム語の3言語対応を提供しており、利便性は高い。現地大手企業や他行の支店長もユーザーになっている例があるほどで、外国人駐在員の生活支援に役立っている。
——今後注力していく分野は何か。
販売時点情報管理(POS)やキャッシュマネジメントサービス(CMS)といった中小企業向けの決済ソリューションを強化している。ベトナム国内の小規模事業者にも金融サービスの基盤を広げており、日本の流通業や飲食業とも連携の可能性を探っている。こうした仕組みを通じて、企業の売り上げや資金管理を支援しつつ、銀行としてのエコシステム(生態系)構築につなげていきたい。(聞き手=坂部哲生)
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