繊維商社のヤギ(大阪市)は、ベトナムで生地の在庫をあらかじめ用意しておく備蓄販売を試験的に開始する。グループ会社の生地商社イチメン(東京都渋谷区)と連携し、まず4品番で運用する。需要を見極めながら品番数を順次拡大する計画だ。短納期や小ロット需要に対応し、ベトナム国内での販売比率の引き上げと米欧市場開拓を狙う。
備蓄販売を始める生地の4品番=7日、ホーチミン市
ヤギの現地法人ヤギベトナムは、ベトナム国内に一定量の汎用(はんよう)性の高いイチメンの生地を置き、現地アパレルメーカーが短期間で製品化できる体制を整えた。初期在庫はシャツ、ブラウス、スカート向けの4品番で、複数の色柄をそろえる。需要や市場反応を見ながら品番数を順次増やし、2026年から本格展開する計画だ。
備蓄販売の狙いは、アパレル業界が求める「小ロット・短サイクル・迅速納品」のニーズに応え、発注から製品納入までの期間を短縮すること。イチメンはベトナムに拠点を持たないが、ヤギベトナムが生産面と現地ハンドリングを担う形で連携する。
ヤギは16年にイチメンを買収。翌17年設立のヤギベトナムは、これまで主にスポーツユニホームなど日本向けの相手先ブランドによる生産(OEM)製品の生産管理を手がけてきた。
備蓄販売では、ベトナム国内の一貫生産体制を活用し、原料の一部にヤギ独自の環境配慮型素材ブランド「UNITO(ユナ・イト)」 シリーズを採用する。ユナイトは24年4月末のヤギグループ総合展で紹介され、取引先から高い関心が寄せられたという。
■内販の割合を5割に
ヤギベトナムは従来、製品の大半を日本向けに輸出しており、現在の国内販売比率は20~30%程度。備蓄販売をてこに50%程度まで高めるとともに、米国や欧州市場への輸出も視野に入れる。ヤギベトナムの市野裕之社長はNNAに「米国市場はトランプ政権の追加関税の影響もあり、中国一辺倒からの供給先分散が進んでいる。その流れを追い風にしたい」と話す。
ベトナム市場はまだ中間層が薄く、アパレル消費も成熟していない。中国と比べてアパレルメーカーの小ロット・多品種への対応力も十分ではなく、「柔軟な生産体制が求められる分野ではまだ課題が多い」(市野社長)。こうした市場環境を踏まえ、ヤギベトナムは備蓄販売でメーカーの短納期対応を後押しし差別化を図る構えだ。
市野社長は「短納期対応が可能になれば現地メーカーにとっての利便性が高まる。5年後には内販事業が生産管理と並ぶ柱になることを目指す」と話した。
内販の比率を5割に引き上げたいと話す市野社長=7日、ホーチミン市
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備蓄販売の狙いは、アパレル業界が求める「小ロット・短サイクル・迅速納品」のニーズに応え、発注から製品納入までの期間を短縮すること。イチメンはベトナムに拠点を持たないが、ヤギベトナムが生産面と現地ハンドリングを担う形で連携する。
ヤギは16年にイチメンを買収。翌17年設立のヤギベトナムは、これまで主にスポーツユニホームなど日本向けの相手先ブランドによる生産(OEM)製品の生産管理を手がけてきた。
備蓄販売では、ベトナム国内の一貫生産体制を活用し、原料の一部にヤギ独自の環境配慮型素材ブランド「UNITO(ユナ・イト)」 シリーズを採用する。ユナイトは24年4月末のヤギグループ総合展で紹介され、取引先から高い関心が寄せられたという。
■内販の割合を5割に
ヤギベトナムは従来、製品の大半を日本向けに輸出しており、現在の国内販売比率は20~30%程度。備蓄販売をてこに50%程度まで高めるとともに、米国や欧州市場への輸出も視野に入れる。ヤギベトナムの市野裕之社長はNNAに「米国市場はトランプ政権の追加関税の影響もあり、中国一辺倒からの供給先分散が進んでいる。その流れを追い風にしたい」と話す。
ベトナム市場はまだ中間層が薄く、アパレル消費も成熟していない。中国と比べてアパレルメーカーの小ロット・多品種への対応力も十分ではなく、「柔軟な生産体制が求められる分野ではまだ課題が多い」(市野社長)。こうした市場環境を踏まえ、ヤギベトナムは備蓄販売でメーカーの短納期対応を後押しし差別化を図る構えだ。
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