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スズキ、西部でEV生産開始HV用電池の電極国産化、首相賛辞

スズキは26日、インド西部グジャラート州でグループ初の電気自動車(EV)「eビターラ」の生産を開始したと発表した。日本を含む世界100カ国・地域に輸出する。また、東芝とデンソーと共同で運営するインドでのリチウムイオン電池の製造会社が電極とセルの生産を始めたことも明らかにした。ストロング・ハイブリッド車(HV)用電池に組み込まれる。インドにとって電極の国産化は初。同日に開催した記念式典にはモディ首相が出席し、「(子会社の)マルチ・スズキはインドの製造業振興策『メーク・イン・インディア』を体現するブランド大使となった」と話し、ともに喜びを分かち合った。

スズキ・グループ初のEV「eビターラ」の生産開始と出荷を記念して、合図を送るモディ首相(左)とスズキの鈴木俊宏社長=26日、西部ハンサルプール(マルチ・スズキ提供)

スズキは26日、インドの子会社マルチ・スズキが運営する西部グジャラート州ハンサルプールの工場でEVの生産・出荷を開始すると発表した。スズキ・グループ初のEV「eビターラ」を生産し、同州のムンドラ港から日本や欧州をはじめ、世界100カ国・地域に輸出する。2023年1月の自動車見本市「オート・エキスポ」で試作版を公開して以来、2年半越しにEV出荷を実現した。
スズキはまた、東芝とデンソー、スズキの3社による合弁会社、TDSリチウムイオンバッテリー・グジャラート(TDSG)が同日、同じくハンサルプールの生産拠点でリチウムイオン電池の基幹部品である電極とセルの生産を始めたことも明らかにした。モーターのみでも走行できるストロングHV用電池に使われる。インドでリチウムイオン電池の電極が生産されるのは初めて。スポーツタイプ多目的車(SUV)「グランドビターラ」に搭載し、順次、搭載モデルを増やしていく方針。
■7000億ルピーの投資表明
スズキの鈴木俊宏社長は同日にハンサルプール工場で開いた式典で、「スズキ・グループのEV生産を担うグジャラート工場は国内外の顧客にサービスを提供し、近く年産能力100万台を備えた世界最大級の生産拠点の一つとなる」と述べた。また、ストロングHVに搭載するリチウムイオン電池を電極とセルのレベル(単位)からの国産化を実現したことは重要な一里塚となったと強調した。正極材や負極材に使われるグラファイトやリチウムなどの原材料と一部の半導体部品のみ、日本からの輸入対応となる、と付け加えた。

TDSGはストロングHV用電池の構造を紹介。セル(左から2番目)を複数接続して電池パック(左から3番目以降)に組み立てる=26日、西部ハンサルプール(NNA撮影)

スズキは、EVだけでなく、ストロングHVや圧縮天然ガス(CNG)車、エタノール・フレックス燃料車などを地域・市場ごとに組み合わせて投入していく「マルチパスウェイ」を重視している。鈴木氏は同日、「今後5~6年間でインドに7,000億ルピー(約1兆1,800億円)超を投資する」と表明した。
■州首相時代のエピソードも、モディ氏
スズキの記念式典には、モディ首相が出席した。モディ氏は、自身がグジャラート州の州首相を務めていた12年にハンサルプールの土地をスズキに割り当てたエピソードを交え、「あれから十数年が経ち、(グジャラート州における)マルチ・スズキはきょう『ティーンエージ期(思春期)』の始まりを迎えた。10代がそうであるように、今後、新たな翼を広げ、熱意で高く飛翔していくことを確信している」と熱弁をふるった。
また、モディ氏は、日本のスズキがインドで生産した車両を日本に輸出している事例に触れて、「日印関係の強固さだけでなく、世界の企業がインドに抱く信頼の高まりを反映している」と言及。その上で、マルチ・スズキは「メーク・イン・インディア」のブランド大使にふさわしいと評した。
TDSGのリチウムイオン電池事業についても、「歴史的始動」と賛辞を贈った。モディ首相は「EVエコシステムで最も重要な要素はバッテリーだ」と指摘し、「数年前までインドのバッテリーは完全に輸入に依存していた」と述べた。TDSGがインドでリチウムイオン電池の電極、セルの製造を手がけることは、「インドの自給自足を強化する」と強調。EVのみならず、HV分野の成長加速にも期待を寄せた。

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スズキは26日、インドの子会社マルチ・スズキが運営する西部グジャラート州ハンサルプールの工場でEVの生産・出荷を開始すると発表した。スズキ・グループ初のEV「eビターラ」を生産し、同州のムンドラ港から日本や欧州をはじめ、世界100カ国・地域に輸出する。2023年1月の自動車見本市「オート・エキスポ」で試作版を公開して以来、2年半越しにEV出荷を実現した。
スズキはまた、東芝とデンソー、スズキの3社による合弁会社、TDSリチウムイオンバッテリー・グジャラート(TDSG)が同日、同じくハンサルプールの生産拠点でリチウムイオン電池の基幹部品である電極とセルの生産を始めたことも明らかにした。モーターのみでも走行できるストロングHV用電池に使われる。インドでリチウムイオン電池の電極が生産されるのは初めて。スポーツタイプ多目的車(SUV)「グランドビターラ」に搭載し、順次、搭載モデルを増やしていく方針。
■7000億ルピーの投資表明
スズキの鈴木俊宏社長は同日にハンサルプール工場で開いた式典で、「スズキ・グループのEV生産を担うグジャラート工場は国内外の顧客にサービスを提供し、近く年産能力100万台を備えた世界最大級の生産拠点の一つとなる」と述べた。また、ストロングHVに搭載するリチウムイオン電池を電極とセルのレベル(単位)からの国産化を実現したことは重要な一里塚となったと強調した。正極材や負極材に使われるグラファイトやリチウムなどの原材料と一部の半導体部品のみ、日本からの輸入対応となる、と付け加えた。
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■州首相時代のエピソードも、モディ氏
スズキの記念式典には、モディ首相が出席した。モディ氏は、自身がグジャラート州の州首相を務めていた12年にハンサルプールの土地をスズキに割り当てたエピソードを交え、「あれから十数年が経ち、(グジャラート州における)マルチ・スズキはきょう『ティーンエージ期(思春期)』の始まりを迎えた。10代がそうであるように、今後、新たな翼を広げ、熱意で高く飛翔していくことを確信している」と熱弁をふるった。
また、モディ氏は、日本のスズキがインドで生産した車両を日本に輸出している事例に触れて、「日印関係の強固さだけでなく、世界の企業がインドに抱く信頼の高まりを反映している」と言及。その上で、マルチ・スズキは「メーク・イン・インディア」のブランド大使にふさわしいと評した。
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