職場では当然、仕事の話だけに限らず、時にはプライベートな話を交えたり、お互いのオフの時間について語り合い、関係を深めることが大切だと誰もが理解しているでしょう。しかし、これが思ったよりも難しく感じるのは、きっと私だけではないはずです。特に管理者と末端のスタッフの間では、年齢の差が広がるにつれ、社会的な経験や地位、さらには趣味の違いも大きくなり、共通の話題を見つけることがますます難しくなっています。さらに、情報社会の進展に伴い、対面でのコミュニケーションが減り、メールやチャットでのやり取りが主流になると、特に若い世代では感情表現がより難しくなる傾向が見られます。加えて、コロナ禍以降、在宅勤務が広く浸透したことで、社内のコミュニケーションは業務に限定されることが多くなり、社員同士の人間関係を深める機会自体が減少しているのが現状です。残念ながら、これが「ニューノーマル」として定着しつつあることに、戸惑いを感じる人も少なくないでしょう。
仕事以外の話題でスタッフや同僚に声をかけるとき、どのように話し始めるかは意外と難しいですよね。例えば「最近どう?」や「何か楽しいことあった?」といった定番のフレーズはよく使われますが、実は答えるのが難しいことが多いです。「最近どう?」という問いかけには、仕事、プライベート、健康など、幅広い解釈が含まれており、相手がどの範囲で答えればよいか迷ってしまうことがあります。また、挨拶として軽く投げかけることも多いため、真剣に答えるべきなのか、軽く流してもよいのか判断がつかない場合もあります。さらに「最近いいことあった?」という質問も難しいですよね。「いいこと」の定義が曖昧であり、何をもって「いい」とするかは人それぞれです。また、「いいこと」というのは基本的に感覚的なものですが、その感覚を具体的な出来事として説明しようとすると、頭の中で「楽しい」「嬉しい」と感じたことを思い出し、それを言語化しなければならないため、意外と労力を要します。よほど印象的な出来事がなければ、なかなか答えづらい質問になってしまうのです。
私は、人が自分自身の情報を伝える方法には、大きく二つの種類があると考えています。それは、英語で言う「profess」と「confess」です。「Profess」は、「プロフェッショナル(professional)」の語源にもなっており、多くの人の前で何かを宣言するという意味を持ちます。一方、「Confess」は、自分の過ちや他者に知られたくないことを告白することを指します。つまり、Professは自信を持って自分の話を伝え、ある種の誇りや自慢を含むものです。一方で、Confessは、自分の困っていることや葛藤を正直に打ち明けるものです。この二つのシンプルな情報の伝え方を活用することで、自分自身の壁を取り壊し、相手に心を開いてもらうことができます。また、それによって助けを求めたり、お互いに支え合う関係を築くことも可能になります。このように、お互いがProfessとConfessを活用しながら対話を重ねていけば、自然と助け合い、支え合う関係が生まれます。相手が困っているときには手を差し伸べ、相手が得意なことを発揮したときには褒めたり、認めたりすることで、より良いコミュニケーションのキャッチボールが生まれるのではないでしょうか。
この二つの概念、professとconfessを日本語で表現する場合、「最近自慢したことはありますか?」や「最近誇れることは何ですか?」といった問いかけになります。一方、confessに該当する表現としては、「困っていることは何ですか?」などが適しています。日本語ではこれらの質問は比較的理解しやすく、日常会話でも気軽に使えるものです。しかし、ベトナム語では適切な言葉を選ぶのが難しいと感じることがあります。そこで、私なりに考え、professに対しては「Khoe」(自慢する)、confessに対しては「kể khổ」(困っている)を対応させることを提案しています。もちろん、訳し方はいくつか考えられますが、ここではあえて発音が近い「KH」を選び、覚えやすく使いやすいようにしています。どちらも動詞であり、これらを意識して会話することで、相手の思考を刺激し、形容詞の「良いこと」「楽しいこと」よりも、具体的な出来事に焦点を当てやすくなるのではないでしょうか。
具体的に言うと、「Có gì khoe kể nghe đi?」は「何か自慢することがある?」という意味になり、「Có gì khổ kể nghe đi?」は「困ったことがあれば聞かせてよ」という意味になります。私のベトナム語の感覚では、これらの質問は不自然ではなく、なおかつ答えやすいと感じます。少し考えさせられる質問ではありますが、どちらかというと答えやすい部類に入るのではないでしょうか。
私が長年悩んできた概念の一つに、日本語の「こだわり」がベトナム語に適切な訳がないことがあります。この概念がベトナム語に存在しないため、私はいつも意訳して説明しています。「こだわり」とは、自分がどうしても譲れない、自分なりの基準を持つことです。そして、その基準そのものが「こだわり」と呼ばれます。しかし、どんなに言葉の意味を解説しても、その概念が一つの単語に凝縮されていなければ、理解し行動に落とし込むことが難しいのが現実です。
ここで注目したいのが、「khoe(自慢する)」という言葉です。これは幼少期によく使われる言葉ですが、日本やベトナムを含むアジア諸国では、住環境や文化的影響から謙遜が重視されるため、大人になるにつれて使わなくなる傾向があります。その結果、社会に出ると「khoe」がほぼ死語になってしまいます。
「こだわり」とは、自分の基準を守り、それを乗り越えて成長していく過程を指します。一方で、「khoe(自慢する)」は、個人の枠を超え、周囲との関係の中で「相手の基準をどう超えるか」という視点に立つものです。つまり、基準を超えた喜びを自分だけで味わうのではなく、周囲と共有する行為とも言えます。この違いを整理すると、「こだわり」は自分自身の満足を追求するものであり、「khoe」はその達成を周囲と分かち合うものであるという対比が生まれます。こうした概念を意識することで、成長の過程は単なる目標達成(KPIの達成)ではなく、「それを超えて乗り越える」という発想へと変わっていきます。その結果、これが習慣化されていけば、「こだわらない」とされるベトナム人であっても、「khoe」したいことにはこだわりを持つようになるのではないでしょうか。
私自身も含め、大いに反省すべきことがあります。それは、自分の「khoe(自慢)」を積極的にせず、また「khổ(困っていること)」も十分に共有できていないことです。まずは、「今日の自慢できること」と「今日困っていること」を振り返り、それを周囲に積極的に伝えることが大切だと思います。そうすることで、自然と周囲の人も「今日の自慢」と「今日の困りごと」を共有し合うようになり、互いの距離が縮まり、より良い人間関係が築かれていくのではないでしょうか。機会があれば、ぜひ皆さんの「khoe」や「khổ」について聞かせてもらいたいですし、私の話も聞いてもらえたら嬉しいです。
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仕事以外の話題でスタッフや同僚に声をかけるとき、どのように話し始めるかは意外と難しいですよね。例えば「最近どう?」や「何か楽しいことあった?」といった定番のフレーズはよく使われますが、実は答えるのが難しいことが多いです。「最近どう?」という問いかけには、仕事、プライベート、健康など、幅広い解釈が含まれており、相手がどの範囲で答えればよいか迷ってしまうことがあります。また、挨拶として軽く投げかけることも多いため、真剣に答えるべきなのか、軽く流してもよいのか判断がつかない場合もあります。さらに「最近いいことあった?」という質問も難しいですよね。「いいこと」の定義が曖昧であり、何をもって「いい」とするかは人それぞれです。また、「いいこと」というのは基本的に感覚的なものですが、その感覚を具体的な出来事として説明しようとすると、頭の中で「楽しい」「嬉しい」と感じたことを思い出し、それを言語化しなければならないため、意外と労力を要します。よほど印象的な出来事がなければ、なかなか答えづらい質問になってしまうのです。
私は、人が自分自身の情報を伝える方法には、大きく二つの種類があると考えています。それは、英語で言う「profess」と「confess」です。「Profess」は、「プロフェッショナル(professional)」の語源にもなっており、多くの人の前で何かを宣言するという意味を持ちます。一方、「Confess」は、自分の過ちや他者に知られたくないことを告白することを指します。つまり、Professは自信を持って自分の話を伝え、ある種の誇りや自慢を含むものです。一方で、Confessは、自分の困っていることや葛藤を正直に打ち明けるものです。この二つのシンプルな情報の伝え方を活用することで、自分自身の壁を取り壊し、相手に心を開いてもらうことができます。また、それによって助けを求めたり、お互いに支え合う関係を築くことも可能になります。このように、お互いがProfessとConfessを活用しながら対話を重ねていけば、自然と助け合い、支え合う関係が生まれます。相手が困っているときには手を差し伸べ、相手が得意なことを発揮したときには褒めたり、認めたりすることで、より良いコミュニケーションのキャッチボールが生まれるのではないでしょうか。
この二つの概念、professとconfessを日本語で表現する場合、「最近自慢したことはありますか?」や「最近誇れることは何ですか?」といった問いかけになります。一方、confessに該当する表現としては、「困っていることは何ですか?」などが適しています。日本語ではこれらの質問は比較的理解しやすく、日常会話でも気軽に使えるものです。しかし、ベトナム語では適切な言葉を選ぶのが難しいと感じることがあります。そこで、私なりに考え、professに対しては「Khoe」(自慢する)、confessに対しては「kể khổ」(困っている)を対応させることを提案しています。もちろん、訳し方はいくつか考えられますが、ここではあえて発音が近い「KH」を選び、覚えやすく使いやすいようにしています。どちらも動詞であり、これらを意識して会話することで、相手の思考を刺激し、形容詞の「良いこと」「楽しいこと」よりも、具体的な出来事に焦点を当てやすくなるのではないでしょうか。
具体的に言うと、「Có gì khoe kể nghe đi?」は「何か自慢することがある?」という意味になり、「Có gì khổ kể nghe đi?」は「困ったことがあれば聞かせてよ」という意味になります。私のベトナム語の感覚では、これらの質問は不自然ではなく、なおかつ答えやすいと感じます。少し考えさせられる質問ではありますが、どちらかというと答えやすい部類に入るのではないでしょうか。
私が長年悩んできた概念の一つに、日本語の「こだわり」がベトナム語に適切な訳がないことがあります。この概念がベトナム語に存在しないため、私はいつも意訳して説明しています。「こだわり」とは、自分がどうしても譲れない、自分なりの基準を持つことです。そして、その基準そのものが「こだわり」と呼ばれます。しかし、どんなに言葉の意味を解説しても、その概念が一つの単語に凝縮されていなければ、理解し行動に落とし込むことが難しいのが現実です。
ここで注目したいのが、「khoe(自慢する)」という言葉です。これは幼少期によく使われる言葉ですが、日本やベトナムを含むアジア諸国では、住環境や文化的影響から謙遜が重視されるため、大人になるにつれて使わなくなる傾向があります。その結果、社会に出ると「khoe」がほぼ死語になってしまいます。
「こだわり」とは、自分の基準を守り、それを乗り越えて成長していく過程を指します。一方で、「khoe(自慢する)」は、個人の枠を超え、周囲との関係の中で「相手の基準をどう超えるか」という視点に立つものです。つまり、基準を超えた喜びを自分だけで味わうのではなく、周囲と共有する行為とも言えます。この違いを整理すると、「こだわり」は自分自身の満足を追求するものであり、「khoe」はその達成を周囲と分かち合うものであるという対比が生まれます。こうした概念を意識することで、成長の過程は単なる目標達成(KPIの達成)ではなく、「それを超えて乗り越える」という発想へと変わっていきます。その結果、これが習慣化されていけば、「こだわらない」とされるベトナム人であっても、「khoe」したいことにはこだわりを持つようになるのではないでしょうか。
私自身も含め、大いに反省すべきことがあります。それは、自分の「khoe(自慢)」を積極的にせず、また「khổ(困っていること)」も十分に共有できていないことです。まずは、「今日の自慢できること」と「今日困っていること」を振り返り、それを周囲に積極的に伝えることが大切だと思います。そうすることで、自然と周囲の人も「今日の自慢」と「今日の困りごと」を共有し合うようになり、互いの距離が縮まり、より良い人間関係が築かれていくのではないでしょうか。機会があれば、ぜひ皆さんの「khoe」や「khổ」について聞かせてもらいたいですし、私の話も聞いてもらえたら嬉しいです。"
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