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製造業の欠員率は3.1%少子化背景に、労働省が初の調査

台湾労働部(労働省)が8日発表した工業・サービス業の欠員状況調査によると、2025年3月末時点の欠員数は計27万5,817人で、必要定員に対する比率は3.1%だった。業種別では製造業の欠員が約9万2,466人と全体の約34%を占め最多だった。台湾政府は外国人労働者の受け入れ拡大を進めているが、人手不足を解消するには至っていないもようだ。
労働部が人手に関する全体調査を実施するのは初めて。これまで台湾では少子高齢化による人手不足が深刻化しているとされてきたが、それを裏付ける公式な資料はなかった。経済部は今後も四半期ごとに調査を続け、労働市場における欠員状況の変化を把握していくと説明した。
3月末時点の工業・サービス業の欠員率は3.1%。工業部門の欠員数は11万3,935人で欠員率は3.2%、サービス業部門の欠員数は16万1,882人で欠員率は3.1%だった。
業種別の欠員数は製造業が9万2,466人で最多。欠員率は3.1%だった。欠員数はこのほか卸売・小売業、宿泊・飲食業、建設業、医療保険・社会サービス業の順に多かった。上位3位の欠員数の合計は16万3,963人で、全体の約6割を占めた。
3月末時点の工業・サービス業の欠員数のうち、フルタイムは25万3,059人、パートタイムは2万2,758人だった。
フルタイムの欠員数を職種別にみると、専門人員が6万5,000人で25.7%を占め最多。以下、技術機械設備操作・組み立て人員が6万人(23.8%)、技術員・助手専門人員が5万3,000人(20.8%)で続いた。
■募集時間、建設業など長く
3月末時点の工業・サービス業のフルタイム従業員の平均募集時間は3.5カ月だった。業種別では建設業と運輸・倉庫業、その他サービス業がいずれも4.4カ月で最長だった。
業種別の欠員率とフルタイム従業員の平均募集時間をみると、宿泊業がいずれも比較的高水準だった。労働部は、宿泊業は人材流動性が高くフルタイム従業員の平均募集時間が長いため欠員率が高くなっている可能性があると分析した。

専門・科学・技術サービス業は、欠員率が2.9%と低い一方、フルタイム従業員の平均募集時間は3.9カ月と長かった。人材流動性が低いものの、いったん欠員が出ると補充に長い時間を要するとみられる。
飲食業は欠員率が高いものの、フルタイム従業員の平均募集時間は短かった。労働部は、飲食業に従事することを望む人は多いが離職する人も多いことが欠員率の高さにつながっている可能性があるとの見方を示した。
卸売・小売業は欠員率が2.6%、フルタイム従業員の平均募集時間が3.0カ月とどちらも比較的低水準だった。
製造業は欠員率とフルタイム従業員の平均募集時間のいずれも全体の平均に近かった。労働部は、製造業の人材の流動性は低く、人材構成は比較的安定していると指摘した。
■外国人労働者、82万人に
台湾では少子高齢化が急速に進んでいることから、人手不足は今後も拡大するとみられている。台湾の国家発展委員会(国発会)はかねて、台湾の人手不足が30年に40万人規模に拡大するとの予測を示していた。
台湾政府は人手不足に対応するため、外国人労働者の受け入れ拡大を進めている。自由時報によると、台湾の外国人労働者の数は25年1月末時点で81万8,467人に上った。このうち製造業などに従事する労働者は56万8,308人、看護・ホームヘルプサービスに従事する労働者は25万159人。外国人労働者が既に台湾の社会と経済を支える重要な労働力となっていることが見て取れる。
製造業などに従事する外国人労働者が台湾の従業員数に占める割合は24年11月時点で5.55%。業種別では、製造業が15.38%、建設業が4.25%、農林漁業が19.49%だった。

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■募集時間、建設業など長く
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■外国人労働者、82万人に
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