マレーシア・首都圏スランゴール州の投資誘致機関インベスト・スランゴールは、8~11日の日程で首都クアラルンプールで投資促進イベント「スランゴール州スマートシティー・デジタル経済コンベンション(SDEC)2025」を開催している。同イベントの一環である「マレーシア半導体採用説明会」には、日本企業を含め半導体関連企業30社が出展。連邦政府の半導体産業の振興策「国家半導体戦略(NSS)」の下、業界の人材確保と育成促進を図る。
マレーシア半導体採用説明会の様子=8日、クアラルンプール(NNA撮影)
半導体採用説明会には、日本からITソリューションプロバイダーのNSWが参加。マレーシアでの拠点設立を視野に、現地で半導体業界に関心を持つ新卒者や中途採用希望者との交流を図った。
イベント初日からNSWのブースには多くの来場者が訪れ、面談や企業説明に熱心に耳を傾ける姿が見られた。NSWの執行役員の黒木和昭デバイス事業部長は、「初日にしては想定以上の反響」と手応えを示した。
黒木氏によると、日本では半導体産業の技術者が不足しており、関連分野を学ぶ若者も減少しているという。一方、マレーシアでは国家半導体戦略に基づく半導体エンジニア育成などが積極的に進められていることから、同国での人材採用に注目していると述べた。
マレーシアは現在、半導体のパッケージングや検査といった後工程で世界シェアの13%を占めている現状から、半導体の回路部分を作る前工程への移行に取り組んでいる。こうした動きを踏まえ、黒木氏は「今後、ローカル人材を活用しながら、デザインサービス展開を積極的に進めたい」との展望を示した。
同採用説明会では、参加企業がその場で候補者と面接できる特設面接室が設けられている。マレーシア工科大学(UTM)電気工学部4年生のガブリエルさんは、半導体業界の動向を探り、卒業後の就職先を見据えて会場を訪れたという。「多くの企業が採用に積極的だと感じた。良い手応えを得られた」と前向きに語る一方で、「一部の企業では経験者を重視する傾向も見られた」と話した。
一方、コンピューターサイエンス学部出身で数年の職務経験を持つナビラさんは、半導体分野への転職を検討している。複数の企業ブースを回り、「未経験の分野ではあるが、研修プログラムを提供している企業が多いので挑戦しやすい」と話した。「給与や待遇を比較して、より良い条件があれば転職を考えたい」との意向を示した。
NSWのブースを訪れる来場者=8日、クアラルンプール(NNA撮影)
■IC設計拠点2カ所目、11月開業へ
スランゴール州政府系のスランゴール州情報技術・デジタルエコノミー公社(SIDEC)は11月6日、同州サイバージャヤに2カ所目となる集積回路(IC)設計拠点「マレーシア半導体ICデザインパーク2」を開業する。開業式典には、アンワル・イブラヒム首相も出席する予定だ。
マレーシアを半導体の世界的な研究開発(R&D)ハブにするという国家半導体戦略に基づく取り組みの一環で、昨年8月には東南アジア最大規模の「マレーシア半導体ICデザインパーク」を同州プチョンに開設した。
マレーシアの電気・電子機器の2024年の輸出額は6,010億リンギ(約21兆8,040億円)で、輸出額全体の40%を占めた。このうち半導体の輸出額は3,130億リンギだった。25年1~6月の半導体輸出は15.7%増加し、輸出全体の伸び率(3.8%)を上回った。
■単独で知名度向上へ
SDEC2025は、クアラルンプール中心部の展示場「クアラルンプール・コンベンション・センター(KLCC)」で開催されている投資促進イベント「スランゴール州インターナショナル・ビジネス・サミット(SIBS)2025」下のイベントの一つ。SIBSでは、SDECをはじめ、航空宇宙サミットや投資・産業パークエキスポなど計6つの関連イベントが同時開催されており、4日間で約5万人の来場が見込まれている。
スランゴール州は24年のマレーシアの国内総生産(GDP)の26.2%を占めており、マレーシア経済の基盤となっている。
一方で、SIDECのスタートアップ&デジタリゼーション部門長のサルマン・アフマド氏は、「他国の主要都市と比べると、スランゴール州はまだ単独での知名度が十分ではない」と指摘。今回のイベントを通じて、同州が推進するデジタルや航空宇宙、半導体、電気・電子製品といった分野の拠点としての地位を確立し、国際的な存在感の向上を図るとしている。
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黒木氏によると、日本では半導体産業の技術者が不足しており、関連分野を学ぶ若者も減少しているという。一方、マレーシアでは国家半導体戦略に基づく半導体エンジニア育成などが積極的に進められていることから、同国での人材採用に注目していると述べた。
マレーシアは現在、半導体のパッケージングや検査といった後工程で世界シェアの13%を占めている現状から、半導体の回路部分を作る前工程への移行に取り組んでいる。こうした動きを踏まえ、黒木氏は「今後、ローカル人材を活用しながら、デザインサービス展開を積極的に進めたい」との展望を示した。
同採用説明会では、参加企業がその場で候補者と面接できる特設面接室が設けられている。マレーシア工科大学(UTM)電気工学部4年生のガブリエルさんは、半導体業界の動向を探り、卒業後の就職先を見据えて会場を訪れたという。「多くの企業が採用に積極的だと感じた。良い手応えを得られた」と前向きに語る一方で、「一部の企業では経験者を重視する傾向も見られた」と話した。
一方、コンピューターサイエンス学部出身で数年の職務経験を持つナビラさんは、半導体分野への転職を検討している。複数の企業ブースを回り、「未経験の分野ではあるが、研修プログラムを提供している企業が多いので挑戦しやすい」と話した。「給与や待遇を比較して、より良い条件があれば転職を考えたい」との意向を示した。
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■IC設計拠点2カ所目、11月開業へ
スランゴール州政府系のスランゴール州情報技術・デジタルエコノミー公社(SIDEC)は11月6日、同州サイバージャヤに2カ所目となる集積回路(IC)設計拠点「マレーシア半導体ICデザインパーク2」を開業する。開業式典には、アンワル・イブラヒム首相も出席する予定だ。
マレーシアを半導体の世界的な研究開発(R&D)ハブにするという国家半導体戦略に基づく取り組みの一環で、昨年8月には東南アジア最大規模の「マレーシア半導体ICデザインパーク」を同州プチョンに開設した。
マレーシアの電気・電子機器の2024年の輸出額は6,010億リンギ(約21兆8,040億円)で、輸出額全体の40%を占めた。このうち半導体の輸出額は3,130億リンギだった。25年1~6月の半導体輸出は15.7%増加し、輸出全体の伸び率(3.8%)を上回った。
■単独で知名度向上へ
SDEC2025は、クアラルンプール中心部の展示場「クアラルンプール・コンベンション・センター(KLCC)」で開催されている投資促進イベント「スランゴール州インターナショナル・ビジネス・サミット(SIBS)2025」下のイベントの一つ。SIBSでは、SDECをはじめ、航空宇宙サミットや投資・産業パークエキスポなど計6つの関連イベントが同時開催されており、4日間で約5万人の来場が見込まれている。
スランゴール州は24年のマレーシアの国内総生産(GDP)の26.2%を占めており、マレーシア経済の基盤となっている。
一方で、SIDECのスタートアップ&デジタリゼーション部門長のサルマン・アフマド氏は、「他国の主要都市と比べると、スランゴール州はまだ単独での知名度が十分ではない」と指摘。今回のイベントを通じて、同州が推進するデジタルや航空宇宙、半導体、電気・電子製品といった分野の拠点としての地位を確立し、国際的な存在感の向上を図るとしている。"
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