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プロトンが低価格EV投入「e.MAS5」、現地生産へ

マレーシアの国民車メーカー、プロトン・ホールディングスは30日、自社ブランドの電気自動車(EV)「e.MAS5(イーマス5)」を正式に発売した。国内で販売されているEVの大半が10万リンギ(約370万円)を超える中、e.MAS5は5万9,800リンギからと低価格を売りにする。当初は中国で生産した完成車(CBU)を輸入販売するが、近く現地生産に切り替える予定だ。

プロトン・ホールディングスは、自社ブランドのEV「e.MAS5」を発売した=30日、クアラルンプール(NNA撮影)

e.MAS5はBセグメント(全長約3.75~4.2メートル程度の車両)のハッチバックで、「プライム」と「プレミアム」の2グレードを展開。DC(直流)急速充電器を使用した場合、21分で30~80%充電できる。航続距離(欧州の試験方法「WLTP」に基づく)は最長325キロメートル。Bセグメントのハッチバックでありながら、Cセグメント(全長約4.4~4.6メートル程度の車両)に匹敵する広さを備える。
マレー半島での税金や車両登録証の取得手数料などを含めたオンザロード(OTR)価格(保険料除く)は、プライムが5万9,800リンギ、プレミアムが7万2,800リンギで、東マレーシアのサバ州、サラワク州ではそれぞれ3,000リンギ追加となる。発売を記念して、今年末まで3,000リンギの割引を適用する。
手頃な価格であることから、新卒や新社会人など初めて自動車を購入する若年層や、セカンドカー(2台目の自家用車)としての需要を見込む。小型で小回りが利くため、運転免許証を取得したばかりの初心者にも適しているという。

かわいらしいボディーカラーもあり、女性陣の注目を集めていた=30日、クアラルンプール(NNA撮影)

正式発売に先立ち、プロトンのEV販売子会社プロトン・ニュー・エナジー・テクノロジー(PRO—NET)は、今月4日に予約受け付けを開始。予約台数は、わずか3週間で5,000台を突破した。
当初は、中国で生産したCBUを輸入販売するが、近くペラ州タンジュンマリムに開設したEV工場で、部品を輸入して現地で組み立てる完全ノックダウン(CKD)方式で生産する予定。ただ、現地生産に切り替える具体的な時期については、「現時点で明かすことはできない」(プロトンの広報担当者)とした。
プロトンは昨年12月、e.MASブランド1モデル目のスポーツタイプ多目的車(SUV)「e.MAS7(イーマス7)」を発売。今年1~9月の累計販売台数(輸出分含む)は6,655台に上った。国内のEV市場で年初から9カ月連続でトップシェアを獲得し、24%のシェアを誇る。発売から現在までの累計販売台数(輸出分含む)は7,168台に上る。新たにe.MAS5を投入し、トップシェア維持を目指す。
■タンジュンマリム工場では試験生産
プロトンは先月4日、タンジュンマリムにEV工場を開設した。同工場はプロトンの株主である中国の自動車大手、浙江吉利控股集団が、マレーシアのコングロマリット(複合企業)DRBハイコムと開発を計画する自動車産業集積地「オートモーティブ・ハイテク・バレー(AHTV)」内に位置。総工費は8,200万リンギで、第1期では4,700万リンギを投じた。
プロトンの広報担当者によると、開所式直後に生産を開始。ただ、まだ試験生産の段階で、商業生産ではないという。まずは、e.MAS7の生産を開始し、続いてe.MAS5の生産にも取りかかる予定だ。
国民車メーカーでは、新車市場でトップシェアを握るプロドゥアも、年内の発売に向けて自社初のEVの開発を進めている。価格は8万リンギ以下に抑えると示唆しており、国民車メーカーの間でEVの価格競争が予想される。

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e.MAS5はBセグメント(全長約3.75~4.2メートル程度の車両)のハッチバックで、「プライム」と「プレミアム」の2グレードを展開。DC(直流)急速充電器を使用した場合、21分で30~80%充電できる。航続距離(欧州の試験方法「WLTP」に基づく)は最長325キロメートル。Bセグメントのハッチバックでありながら、Cセグメント(全長約4.4~4.6メートル程度の車両)に匹敵する広さを備える。
マレー半島での税金や車両登録証の取得手数料などを含めたオンザロード(OTR)価格(保険料除く)は、プライムが5万9,800リンギ、プレミアムが7万2,800リンギで、東マレーシアのサバ州、サラワク州ではそれぞれ3,000リンギ追加となる。発売を記念して、今年末まで3,000リンギの割引を適用する。
手頃な価格であることから、新卒や新社会人など初めて自動車を購入する若年層や、セカンドカー(2台目の自家用車)としての需要を見込む。小型で小回りが利くため、運転免許証を取得したばかりの初心者にも適しているという。
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正式発売に先立ち、プロトンのEV販売子会社プロトン・ニュー・エナジー・テクノロジー(PRO—NET)は、今月4日に予約受け付けを開始。予約台数は、わずか3週間で5,000台を突破した。
当初は、中国で生産したCBUを輸入販売するが、近くペラ州タンジュンマリムに開設したEV工場で、部品を輸入して現地で組み立てる完全ノックダウン(CKD)方式で生産する予定。ただ、現地生産に切り替える具体的な時期については、「現時点で明かすことはできない」(プロトンの広報担当者)とした。
プロトンは昨年12月、e.MASブランド1モデル目のスポーツタイプ多目的車(SUV)「e.MAS7(イーマス7)」を発売。今年1~9月の累計販売台数(輸出分含む)は6,655台に上った。国内のEV市場で年初から9カ月連続でトップシェアを獲得し、24%のシェアを誇る。発売から現在までの累計販売台数(輸出分含む)は7,168台に上る。新たにe.MAS5を投入し、トップシェア維持を目指す。
■タンジュンマリム工場では試験生産
プロトンは先月4日、タンジュンマリムにEV工場を開設した。同工場はプロトンの株主である中国の自動車大手、浙江吉利控股集団が、マレーシアのコングロマリット(複合企業)DRBハイコムと開発を計画する自動車産業集積地「オートモーティブ・ハイテク・バレー(AHTV)」内に位置。総工費は8,200万リンギで、第1期では4,700万リンギを投じた。
プロトンの広報担当者によると、開所式直後に生産を開始。ただ、まだ試験生産の段階で、商業生産ではないという。まずは、e.MAS7の生産を開始し、続いてe.MAS5の生産にも取りかかる予定だ。
国民車メーカーでは、新車市場でトップシェアを握るプロドゥアも、年内の発売に向けて自社初のEVの開発を進めている。価格は8万リンギ以下に抑えると示唆しており、国民車メーカーの間でEVの価格競争が予想される。
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