花王、新竹に精密洗浄拠点半導体関連事業の成長目指す

花王は半導体分野での成長を目指し、台湾北部の新竹県に海外初の化学品精密洗浄センターを開設する。半導体業界では製造プロセスの微細化が進む中、洗浄工程の難易度も高まっている。花王は半導体工場が集積する新竹に拠点を設けることで、パートナー企業と連携し、洗浄工程の課題解決やソリューション提案の強化を図る。同様の拠点は和歌山工場に続き２カ所目。2026年初頭の稼働を見込む。

花王は新竹県に海外初の化学品精密洗浄センターを開設する＝26日（花王提供）

精密洗浄センターは花王の台湾法人、花王（台湾）が新竹県湖口郷に設ける研究所内に位置する。周辺にはＩＴ企業が集まる工業団地の新竹科学園区（竹科）があり、ファウンドリー（半導体の受託製造）世界最大手の台湾積体電路製造（ＴＳＭＣ）が本社や回路線幅２ナノ（１ナノは10億分の１）メートルの先端製造プロセス工場を構える。
花王は1890年に高級化粧石鹸（せっけん）を発売して以来、日用品から産業用途まで幅広く洗浄分野を手がけてきた。洗浄の対象は服や肌、髪に加え、自動車部品や半導体パッケージ、ウエハーなど多岐にわたる。強みになるのは物質の界面（境界）をナノレベルで制御する「ナノ界面制御技術」だ。
半導体の製造工程向けでは、前工程はウエハーの表面を平たんにする「ＣＭＰ工程」の添加剤、後工程はＴＢＤＢ洗浄剤（仮固定材剥離洗浄剤）、はんだ付けの補助材であるフラックスの残さを除去する際に使われるフラックス洗浄剤などを手がけている。花王はこのフラックス洗浄剤で世界トップクラスのシェアを持つという。
同社ケミカル事業部門の山崎征人・情報材料事業部長は26日に現地で開いた説明会で「130年以上培った技術を、台湾の最先端技術に携わる顧客やパートナー企業に提供していく」と精密洗浄センターに期待を込めた。
花王の24年の売上高は１兆6,284億円で、このうちケミカル事業部門が占める割合は25％。山崎氏によると、ケミカル事業は同社における成長ドライバーと位置付けられている。中でも半導体関連は世界的に需要が急増しており大きな成長が期待されている分野だけに、会社として資源を集中していく方針だという。
■強みは界面制御技術

花王ケミカル事業部門の山崎征人・情報材料事業部長＝26日（ＮＮＡ撮影）

精密洗浄センターには、フルパネルサイズまでの大型サンプルに対応する水平搬送型、スプレー型フラックス洗浄機、微細空間の洗浄を想定した隙間対応型洗浄機など顧客の実機と同等の洗浄設備を各種設置。電子顕微鏡などで洗浄評価と結果検証を行い、パートナー企業と新しい洗浄プロセスを開発するなどして課題解決を図る。
具体的には、花王の最新の界面制御技術を駆使して狭ピッチ洗浄性能の向上を目指すほか、洗浄対象物や用途に応じた幅広いソリューション提案を行う計画だ。
花王（台湾）の山瀬実律副総経理は、世界で最先端の半導体・エレクトロニクス業界をけん引する台湾で、最先端技術を有する顧客・パートナーとのコミュニケーションを通じて難易度の高い洗浄工程における課題解決とソリューション提案を創出していくと説明した。
台湾でも同センターの設立を足掛かりに、半導体分野の成長を目指す考えを示した。

花王（台湾）の山瀬実律副総経理＝26日（ＮＮＡ撮影）

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花王は1890年に高級化粧石鹸（せっけん）を発売して以来、日用品から産業用途まで幅広く洗浄分野を手がけてきた。洗浄の対象は服や肌、髪に加え、自動車部品や半導体パッケージ、ウエハーなど多岐にわたる。強みになるのは物質の界面（境界）をナノレベルで制御する「ナノ界面制御技術」だ。

半導体の製造工程向けでは、前工程はウエハーの表面を平たんにする「ＣＭＰ工程」の添加剤、後工程はＴＢＤＢ洗浄剤（仮固定材剥離洗浄剤）、はんだ付けの補助材であるフラックスの残さを除去する際に使われるフラックス洗浄剤などを手がけている。花王はこのフラックス洗浄剤で世界トップクラスのシェアを持つという。

同社ケミカル事業部門の山崎征人・情報材料事業部長は26日に現地で開いた説明会で「130年以上培った技術を、台湾の最先端技術に携わる顧客やパートナー企業に提供していく」と精密洗浄センターに期待を込めた。

花王の24年の売上高は１兆6,284億円で、このうちケミカル事業部門が占める割合は25％。山崎氏によると、ケミカル事業は同社における成長ドライバーと位置付けられている。中でも半導体関連は世界的に需要が急増しており大きな成長が期待されている分野だけに、会社として資源を集中していく方針だという。

■強みは界面制御技術

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精密洗浄センターには、フルパネルサイズまでの大型サンプルに対応する水平搬送型、スプレー型フラックス洗浄機、微細空間の洗浄を想定した隙間対応型洗浄機など顧客の実機と同等の洗浄設備を各種設置。電子顕微鏡などで洗浄評価と結果検証を行い、パートナー企業と新しい洗浄プロセスを開発するなどして課題解決を図る。

具体的には、花王の最新の界面制御技術を駆使して狭ピッチ洗浄性能の向上を目指すほか、洗浄対象物や用途に応じた幅広いソリューション提案を行う計画だ。

花王（台湾）の山瀬実律副総経理は、世界で最先端の半導体・エレクトロニクス業界をけん引する台湾で、最先端技術を有する顧客・パートナーとのコミュニケーションを通じて難易度の高い洗浄工程における課題解決とソリューション提案を創出していくと説明した。

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