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6月PMIも節目割れ一段と2カ月連続、さらに悪化の懸念も

米金融情報サービス大手のS&Pグローバルが1日発表した、ミャンマーの2022年6月の製造業購買管理者指数(PMI)は48.2となった。景気判断の節目となる50を再び割り込んだ5月実績からさらに悪化している。原材料や電力不足で企業の生産や受注が一段と落ち込んだことが影響した。専門家は、他のアジア諸国が中国のロックダウンの影響でも50を維持したことから、ミャンマー製造業の受注減の影響は他国比で大きく、一層悪化する懸念があると厳しい見方を示した。
S&Pグローバルは22年2月に英調査会社のIHSマークイットと合併。IHSマークイットが実施していたPMI調査を引き継いでいる。
S&Pグローバルは6月の製造業の動向として、「生産高」と「新規受注」がともに減少したと指摘した。需要の落ち込みや原材料、電力の不足が背景にあるとしている。新規受注は、取引先の資金難などが影響し、2カ月連続で落ち込んだ。減少幅は3月以降で最も大きかった。
生産高は、企業の間で資材の在庫が減少したことに加え、従業員の離職率が高かったことから、減少した。輸送の遅れもあって、原材料の調達に要する期間が過去2番目の長さとなり、製造業の足を引っ張った。
資材については、企業による購入手控えの動きが広がった。売上高の低迷と原材料価格の上昇が重荷になった格好だ。この結果、手持ちの資材を消費しながらの製品づくりが拡大し、生産前と生産後の在庫がともに急減した。
雇用創出率は7カ月ぶりの低水準だった。新規採用の動きが6月も続いたものの、従業員の離職率が高かったためだ。
PMIは20年9月から50を割り込み続け、国軍によるクーデターが発生した21年2月には20台まで低下。7月以降は連続して前月超えとなり21年12月には49.0まで改善したものの、今年に入って再び前月割れが続いていた。4月に50.4を記録して、PMIの3大項目である「新規受注」「生産高」「雇用」がいずれも緩やかに拡大したものの、5月には50を再び割り込んだ。
■スタグフレーション懸念が影響か
S&Pグローバルのエコノミストのマリアム・バルーチ氏は6月のPMIについて、「生産高と新規受注はともに減少速度が速く、購買活動も打撃を受け、雇用の伸びも鈍化した」と指摘。需要環境の悪化などのマイナス材料が引き続き製造業にのしかかった上、世界的なエネルギー危機と原材料不足が、企業の直面する問題をさらに悪化させたと述べた。
シンガポールに駐在する三井住友銀行のエコノミストの阿部良太氏は、「世界では物価高騰からスタグフレーション(景気後退と物価高の同時進行)への懸念が高まっており、ミャンマーの購買力も相応に影響を受けている可能性が高い」と分析。ミャンマーでの製造業による受注減少が一段と悪化する恐れがあるとの見方を示した。
阿部氏はまた、台湾を除くアジア諸国でPMIがおおむね50を超えていることに言及し、ミャンマーの製造業の業況は他国より悪いと指摘。「7月も50を下回るようであれば、トレンドとして製造業が弱含んでいる状況がはっきりと確認できる」と警戒感を示した。

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■スタグフレーション懸念が影響か
S&Pグローバルのエコノミストのマリアム・バルーチ氏は6月のPMIについて、「生産高と新規受注はともに減少速度が速く、購買活動も打撃を受け、雇用の伸びも鈍化した」と指摘。需要環境の悪化などのマイナス材料が引き続き製造業にのしかかった上、世界的なエネルギー危機と原材料不足が、企業の直面する問題をさらに悪化させたと述べた。
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