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電動バイクのレンタルが続々充電不要のバッテリー交換で勝負

タイで電動バイクのレンタルサービスが広がろうとしている。タイ政府系製油・給油所運営会社バンチャーク・コーポレーションと国営石油PTTの大手が参入。充電が不要なバッテリー交換式のサービスが売りとなる。交換作業は数分で完了する。インフラが十分に整えば、利用者の拡大が見込めそうだ。

ウィンノーニーの電動バイクではバッテリー交換は数分で完了する=16日、タイ・バンコク(NNA撮影)

バンチャークから分社化したウィンノーニー(Winnonie)は、中国製の高級電動スクーターを2,000台保有し、レンタル事業を展開している。最高速度が80キロ。フル充電したバッテリーで80~100キロメートル走行できる。
ウィンノーニーは現在、バンコクに100カ所のバッテリー交換ステーションを設置。利用者は携帯アプリを通じて最寄りのステーションを検索し、バッテリーの交換を予約できる。
同社のポーンルディー・マネジング・ディレクターによると、ガソリンバイクを1カ月レンタルする場合の費用は、レンタル料金やメンテナンス費、ガソリン代を含めて1カ月9,500~1万2,000バーツ(約3万8,000~4万8,000円)。同社サービスを利用する場合の費用はその半分で済むという。これまで1,500人以上が同社サービスを利用した。
ウィンノーニーは今後、親会社であるバンチャークの資本力を背景に、積極的なインフラ投資を行っていく。まずは、バッテリー交換ステーションを年内までにバンコク郊外を含めて300カ所まで拡大する。中国の別のブランドや地場企業が製造した電動バイクの導入も検討中だ。ポーンルディー氏は「3年以内に損益分岐点を超える」と強気だ。
■追うPTT

ワップ・アンド・ゴーは中国から電動バイクを調達=19日、タイ・バンコク(NNA撮影)

ウィンノーニーを追いかけるのが、タイ国営石油PTTが100%出資するスワップ・アンド・ゴー(Swap and Go)だ。電動バイクとバッテリーは、PTTが出資する中国のスタートアップから調達している。電動バイクの最高速度は50キロで、フル充電したバッテリーで60キロ走行できる。
現在、コンビニエンスストア「セブン—イレブン」やPTTの小売事業会社PTTオイル・アンド・リテール・ビジネス(PTTOR)が運営するガソリンスタンドなど22カ所でバッテリー交換ステーションを運営している。利用者は宅配ドライバーが多く、毎月5,000バーツのレンタル料を払えば、無制限にバッテリーを交換できる。シンガポールの新興電動バイクメーカー、スリークEVやタイの電動バイクメーカーのアイモーター・アンド・スタリオンとも業務提携を結び、自社バッテリー交換ステーションを利用できるようにした。
スワップ・アンド・ゴーは現在、第2世代となる電動バイクを開発中だ。時速100キロで、1回の充電で走れる距離を90キロに延ばす。ウィンノーニーの電動バイクに対抗する。同社関係者は「来年12月までには1,000台まで増やしたい」と意気込む。
■Hセムはグラブと提携
配達向けなどの商用電動バイクの製造・販売・レンタルサービスを手がけるタイのHセム・モーターは、シンガポールの配車サービス大手グラブのタイ法人グラブ・タイランドと提携し、電動バイクを購入する資金力のないドライバー向けにレンタルサービスを開始した。料金は1カ月4,500バーツで、54カ所あるバッテリー交換ステーションを無制限に利用できる。Hセム関係者によると、ドライバーは1カ月に平均240回のペースでバッテリーを交換しているという。
毎月のレンタル料金には、家庭用の充電器も含まれている。3~4時間で電動バイクをフル充電できる。

Hセム・モーターはタイ法人グラブ・タイランドに電動バイクを供給=19日、タイ・バンコク(NNA撮影)

タイ工業連盟(FTI)自動車部会のスラポン広報担当(FTI副会長)はNNAの取材に対し、「カシコン銀行も1日90~200バーツで電動バイクをレンタルしている。メンテナンスの心配もないため、電動バイクを購入するよりもレンタルを選択する消費者は今後増えていくだろう」とコメントした。
■異業種も参入
タイ政府は、2050年に温室効果ガス排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラル、65年に温室効果ガスと大気中から除去される温室効果ガスが同量となるネットゼロエミッションの達成を目標に掲げている。
目標達成に向けては、モビリティーの電動化が重要な鍵を握る。タイでは、現在約2,200万台のガソリンバイクが登録されている状況だ。政府は、35年までに電動バイクの登録台数をレンタル用を含め900万台に増やす計画だ。
現在、タイの電動バイク市場のシェアトップはメーク・トゥー・ウィン・ホールディング傘下のデコ・グリーン・エナジー。22年に新規登録された同社製品は2,848台と、シェアは28.8%を占めた。23年1~2月には1,394台を新規登録し、シェア40%を超えた。第2半期(4~6月)には2億5,000万バーツを投じて現在建設中の新工場が完成し、7月以降に本格稼働に入る見通しだ。
タイ政府の方針に呼応しようと、EV市場への参入を目指す企業も増えている。コンタクトセンター事業を手がけるワン・トゥー・ワン・コンタクツ(OTO)は23年2月、電動バイク・部品を輸入、組み立て、製造、販売する子会社を設立したと発表した。
タイメディアによると、ロンガン(竜眼)の抽出液を利用した健康飲料事業や飛行機のチャーターサービス事業などを「P80」ブランドで展開しているPMグループは、電動バイクの製造・販売に向け準備を開始した。電動バイクの新ブランドは「P80ゴー」となる見込みだという。
スラポン広報担当は今年の電動バイクの生産台数について「前年比で3割拡大する見込み。来年はさらに拡大していくだろう」と述べた。

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ウィンノーニーは現在、バンコクに100カ所のバッテリー交換ステーションを設置。利用者は携帯アプリを通じて最寄りのステーションを検索し、バッテリーの交換を予約できる。
同社のポーンルディー・マネジング・ディレクターによると、ガソリンバイクを1カ月レンタルする場合の費用は、レンタル料金やメンテナンス費、ガソリン代を含めて1カ月9,500~1万2,000バーツ(約3万8,000~4万8,000円)。同社サービスを利用する場合の費用はその半分で済むという。これまで1,500人以上が同社サービスを利用した。
ウィンノーニーは今後、親会社であるバンチャークの資本力を背景に、積極的なインフラ投資を行っていく。まずは、バッテリー交換ステーションを年内までにバンコク郊外を含めて300カ所まで拡大する。中国の別のブランドや地場企業が製造した電動バイクの導入も検討中だ。ポーンルディー氏は「3年以内に損益分岐点を超える」と強気だ。
■追うPTT
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ウィンノーニーを追いかけるのが、タイ国営石油PTTが100%出資するスワップ・アンド・ゴー(Swap and Go)だ。電動バイクとバッテリーは、PTTが出資する中国のスタートアップから調達している。電動バイクの最高速度は50キロで、フル充電したバッテリーで60キロ走行できる。
現在、コンビニエンスストア「セブン—イレブン」やPTTの小売事業会社PTTオイル・アンド・リテール・ビジネス(PTTOR)が運営するガソリンスタンドなど22カ所でバッテリー交換ステーションを運営している。利用者は宅配ドライバーが多く、毎月5,000バーツのレンタル料を払えば、無制限にバッテリーを交換できる。シンガポールの新興電動バイクメーカー、スリークEVやタイの電動バイクメーカーのアイモーター・アンド・スタリオンとも業務提携を結び、自社バッテリー交換ステーションを利用できるようにした。
スワップ・アンド・ゴーは現在、第2世代となる電動バイクを開発中だ。時速100キロで、1回の充電で走れる距離を90キロに延ばす。ウィンノーニーの電動バイクに対抗する。同社関係者は「来年12月までには1,000台まで増やしたい」と意気込む。
■Hセムはグラブと提携
配達向けなどの商用電動バイクの製造・販売・レンタルサービスを手がけるタイのHセム・モーターは、シンガポールの配車サービス大手グラブのタイ法人グラブ・タイランドと提携し、電動バイクを購入する資金力のないドライバー向けにレンタルサービスを開始した。料金は1カ月4,500バーツで、54カ所あるバッテリー交換ステーションを無制限に利用できる。Hセム関係者によると、ドライバーは1カ月に平均240回のペースでバッテリーを交換しているという。
毎月のレンタル料金には、家庭用の充電器も含まれている。3~4時間で電動バイクをフル充電できる。
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タイ工業連盟(FTI)自動車部会のスラポン広報担当(FTI副会長)はNNAの取材に対し、「カシコン銀行も1日90~200バーツで電動バイクをレンタルしている。メンテナンスの心配もないため、電動バイクを購入するよりもレンタルを選択する消費者は今後増えていくだろう」とコメントした。
■異業種も参入
タイ政府は、2050年に温室効果ガス排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラル、65年に温室効果ガスと大気中から除去される温室効果ガスが同量となるネットゼロエミッションの達成を目標に掲げている。
目標達成に向けては、モビリティーの電動化が重要な鍵を握る。タイでは、現在約2,200万台のガソリンバイクが登録されている状況だ。政府は、35年までに電動バイクの登録台数をレンタル用を含め900万台に増やす計画だ。
現在、タイの電動バイク市場のシェアトップはメーク・トゥー・ウィン・ホールディング傘下のデコ・グリーン・エナジー。22年に新規登録された同社製品は2,848台と、シェアは28.8%を占めた。23年1~2月には1,394台を新規登録し、シェア40%を超えた。第2半期(4~6月)には2億5,000万バーツを投じて現在建設中の新工場が完成し、7月以降に本格稼働に入る見通しだ。
タイ政府の方針に呼応しようと、EV市場への参入を目指す企業も増えている。コンタクトセンター事業を手がけるワン・トゥー・ワン・コンタクツ(OTO)は23年2月、電動バイク・部品を輸入、組み立て、製造、販売する子会社を設立したと発表した。
タイメディアによると、ロンガン(竜眼)の抽出液を利用した健康飲料事業や飛行機のチャーターサービス事業などを「P80」ブランドで展開しているPMグループは、電動バイクの製造・販売に向け準備を開始した。電動バイクの新ブランドは「P80ゴー」となる見込みだという。
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