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四川・雲南の水力発電減、電力制限の恐れも

中国では今夏も全国的に電力需給が逼迫(ひっぱく)する見通しだ。電力の約8割を水力発電に頼る四川省、雲南省では現在、水不足を背景に水力発電量が減少しており、夏季の需要ピーク時に電力制限が前年に続いて再び実施される恐れもある。
国家統計局によると、四川の水力発電量は4月に前年同月比約12%減少。雲南の水力発電量は3月に約14.2%、4月に約41%それぞれ落ち込み、減少幅が広がっている。
電力大手の中国華能集団傘下で、雲南省の水力発電所を運営する華能瀾滄江水電は、1~3月の発電量が前年同期比11.4%減の156億1,000万キロワット時だった。昨年の増水期に水不足が発生した影響で、今年年初の揚水式水力発電所の発電量が減少したほか、今年1~3月に瀾滄江流域の水量が1割減ったことも影響した。
第一財経日報(電子版)によると、中国気象局風力・太陽光発電中心の科学主任である申彦波氏は12日、四川省成都市で開かれたフォーラムで登壇し、「今年の洪水期の四川省の気温は平年より高く、降水量が少ないため電力の供給状況は楽観できない」と述べた。記録的な猛暑と干ばつで深刻な電力不足に陥った昨年よりも状況は改善しているが、「地域的な干ばつが発生するのは明らかだ」と指摘した。
夏場の水力発電を確保するため、政府も対策に取り組んでいる。水利省は10日、長江流域の調整用ダムで合計870億立方メートルの貯水容量を確保したと発表。洪水期の制限水位よりも165億立方メートル分引き上げた。
昨年電力制限を実施した重慶市も、陝西からの石炭調達の強化や電力インフラの建設加速に動いている。
■全国的に電力需要逼迫か
中国証券報(電子版)によると、電力業界団体の中国電力企業聯合会(中電聯)統計・データセンターの王益ケン主任(ケン=火へんに亘)は13日、今夏の需要ピーク時に全国的に電力需給の逼迫が予想され、地域によっては電力不足が発生する恐れがあるとの見方を示した。
王氏によると、今年の全国の最大電力負荷は13億7,000万キロワット前後となり、前年より約8,000万キロワット増加する見通し。ただ、広範囲での高温の状況が長期間発生した場合、最大電力負荷は前年から約1億キロワット増える可能性があるという。
今夏は華東や華中などの地域で電力消費のピーク時に需給が逼迫し、電力不足が起こると予測。一方、東北や河北、西北の各地域は需給バランスが保たれるとみている。

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