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小袋入りヨーグルトが人気おやつ感覚、食品各社が開発競争

インドネシアで新たな包装形態のヨーグルトが人気を集めている。吸い口から絞り出す「スクイーズタイプ」や、小袋入りの「スラープタイプ」など、従来のカップ入りと異なる形状で、ヨーグルト飲料でもない新たな商品が発売されると、日系企業の出資会社を含む大手食品メーカーが追随する形で商品を開発し競争が激化。主に子どもや若者が、軽食代わりのおやつ感覚で好んで食べているようだ。【山本麻紀子】

ジャカルタのスーパーマーケットの乳製品売り場には、種類豊富なヨーグルト商品が陳列されている=ジャカルタ特別州(NNA撮影)

三井物産とインドネシアの食品大手ABCグループが出資する乳製品メーカー、ABCコーゲン・デイリーは2021年7月、インドネシアで初めてスラープタイプのヨーグルトを発売した。パッケージには、ディズニー映画のキャラクターの絵柄をプリントし、子どもを販売ターゲットに設定した。
同社は17年11月にドリンクタイプのヨーグルトの販売を開始し、その後も常温保存できる超高温殺菌(UHT)のボトル入り牛乳や、冷蔵用の1リットル入りパック牛乳を販売してきたが、子どもに特化した商品を投入したのはこれが初めてだった。
スラープタイプのヨーグルトは、ヨーグルトドリンクに比べてしっかりした食感が特徴。酸味が苦手なインドネシア人消費者の嗜好(しこう)を考慮して甘めの味にした。容量は45グラムで、価格は3,500ルピア(約33円)。売れ行きは好調で、ある大手ミニマーケットではヨーグルト商品で3分の1ほどのシェアを握る。1万~2万ルピアで販売されるカップ入りよりも低価格に抑えたことも、好調な売り上げの要因のようだ。今年2月には少し大きめの50グラム入りサイズにした、大人用の商品も投入した。
いずれも冷蔵商品だが、個人商店のいわゆる「パパママショップ」など小売市場の7割を占めるとされる伝統市場でも取り扱えるように、今後は常温流通・保管にも対応できる商品の投入を目指している。

ABCコーゲン・デイリーが、インドネシアで初めて投入したスラープタイプのヨーグルト(NNA撮影)

■先行ブランドとは違う形状で
ABCコーゲンがスラープタイプのヨーグルトの開発に着手したのは19年後半。当初は1年後の上市を目指していた。だがその後、「チモリー」ブランドの乳製品を生産販売する業界最大手チサルア・マウンテン・デイリー(チモリー)が「スクイーズタイプ」のヨーグルトを先行投入して高い人気を得たこともあり、新型コロナウイルス禍の影響などで遅れていたABCコーゲンの新商品開発の加速につながった。
チモリーの後を追う形で、シンガポール・豪系乳業大手グリーンフィールズ・デーリー・インドネシアも23年2月、スクイーズタイプのヨーグルトを発売した。110グラム入りで販売価格は1万2,900ルピア。
一方で、チモリーは同年3月、ABCコーゲンと同じスラープタイプのヨーグルトを販売し始めた。チモリーの商品を一般家庭などの顧客に配達する女性販売員「ミスチモリー」を通じた販売だけに限定しており、小売店では流通していない。価格は2,500ルピアと、ABCコーゲンよりも低めに設定している。
スクイーズタイプやスラープタイプは、「カップ入りと違い、スプーンなしで手軽に食べられる」(ABCコーゲン関係者)ため、軽食代わりのおやつ感覚で人気を集めているようだ。そのため、店頭のヨーグルト商品の種類は増えているものの、「(健康食品という)機能性よりも嗜好品という捉えられ方のほうがいまだ主流だ」と見る業界関係者もいる。

業界最大手チサルア・マウンテン・デイリー(チモリー)が販売するスクイーズタイプ(左)と、スラープタイプのヨーグルト(NNA撮影)

■ヤクルト、新商品でさらに健康訴求
ここ数年で急速に増えたヨーグルト商品が嗜好品として人気なのに対し、インドネシアで30年以上の販売実績がある乳酸菌飲料「ヤクルト」は、同国の健康飲料として不動の存在だ。22年10月には低カロリータイプの「ヤクルトライト」が発売された。容量は従来のヤクルトと同じ65ミリリットル入りで、ジャワ島での価格は5本入りパックで1万3,000ルピア。
現地法人インドネシアヤクルトの川口博史社長は、新商品の投入理由について「インドネシアでは糖尿病の患者数が世界で5番目に多く、砂糖の摂取し過ぎを気にするなど消費者の低カロリーへの意識が高まってきた」と説明する。
顧客との対話を重ねて着実に売り上げる営業スタイルは、新商品でも受け継がれている。発売時には2カ月間かけて、小売店店頭での宣伝活動に注力した。インドネシアで「SPG」(セールスプロモーションガールの略)と呼ばれる販売スタッフを、ヤクルト専属の契約社員として200人ほどを常に確保し、週末に大都市のスーパーで客に試飲してもらい、商品に対する理解を深めてもらうなどの販促活動を展開した。
発売当初はジャワ島とバリ島の限定販売だったが、今年1月からは全国に展開している。

低カロリータイプの「ヤクルトライト」の販売員は、青を基調としてデザインされた制服を着用している(NNA撮影)
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同社は17年11月にドリンクタイプのヨーグルトの販売を開始し、その後も常温保存できる超高温殺菌(UHT)のボトル入り牛乳や、冷蔵用の1リットル入りパック牛乳を販売してきたが、子どもに特化した商品を投入したのはこれが初めてだった。
スラープタイプのヨーグルトは、ヨーグルトドリンクに比べてしっかりした食感が特徴。酸味が苦手なインドネシア人消費者の嗜好(しこう)を考慮して甘めの味にした。容量は45グラムで、価格は3,500ルピア(約33円)。売れ行きは好調で、ある大手ミニマーケットではヨーグルト商品で3分の1ほどのシェアを握る。1万~2万ルピアで販売されるカップ入りよりも低価格に抑えたことも、好調な売り上げの要因のようだ。今年2月には少し大きめの50グラム入りサイズにした、大人用の商品も投入した。
いずれも冷蔵商品だが、個人商店のいわゆる「パパママショップ」など小売市場の7割を占めるとされる伝統市場でも取り扱えるように、今後は常温流通・保管にも対応できる商品の投入を目指している。
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■先行ブランドとは違う形状で
ABCコーゲンがスラープタイプのヨーグルトの開発に着手したのは19年後半。当初は1年後の上市を目指していた。だがその後、「チモリー」ブランドの乳製品を生産販売する業界最大手チサルア・マウンテン・デイリー(チモリー)が「スクイーズタイプ」のヨーグルトを先行投入して高い人気を得たこともあり、新型コロナウイルス禍の影響などで遅れていたABCコーゲンの新商品開発の加速につながった。
チモリーの後を追う形で、シンガポール・豪系乳業大手グリーンフィールズ・デーリー・インドネシアも23年2月、スクイーズタイプのヨーグルトを発売した。110グラム入りで販売価格は1万2,900ルピア。
一方で、チモリーは同年3月、ABCコーゲンと同じスラープタイプのヨーグルトを販売し始めた。チモリーの商品を一般家庭などの顧客に配達する女性販売員「ミスチモリー」を通じた販売だけに限定しており、小売店では流通していない。価格は2,500ルピアと、ABCコーゲンよりも低めに設定している。
スクイーズタイプやスラープタイプは、「カップ入りと違い、スプーンなしで手軽に食べられる」(ABCコーゲン関係者)ため、軽食代わりのおやつ感覚で人気を集めているようだ。そのため、店頭のヨーグルト商品の種類は増えているものの、「(健康食品という)機能性よりも嗜好品という捉えられ方のほうがいまだ主流だ」と見る業界関係者もいる。
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■ヤクルト、新商品でさらに健康訴求
ここ数年で急速に増えたヨーグルト商品が嗜好品として人気なのに対し、インドネシアで30年以上の販売実績がある乳酸菌飲料「ヤクルト」は、同国の健康飲料として不動の存在だ。22年10月には低カロリータイプの「ヤクルトライト」が発売された。容量は従来のヤクルトと同じ65ミリリットル入りで、ジャワ島での価格は5本入りパックで1万3,000ルピア。
現地法人インドネシアヤクルトの川口博史社長は、新商品の投入理由について「インドネシアでは糖尿病の患者数が世界で5番目に多く、砂糖の摂取し過ぎを気にするなど消費者の低カロリーへの意識が高まってきた」と説明する。
顧客との対話を重ねて着実に売り上げる営業スタイルは、新商品でも受け継がれている。発売時には2カ月間かけて、小売店店頭での宣伝活動に注力した。インドネシアで「SPG」(セールスプロモーションガールの略)と呼ばれる販売スタッフを、ヤクルト専属の契約社員として200人ほどを常に確保し、週末に大都市のスーパーで客に試飲してもらい、商品に対する理解を深めてもらうなどの販促活動を展開した。
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