ミャンマーで、観光市場の回復が遅れている。観光省は、新型コロナウイルス禍で急減した外国人観光客数が23年1~11月に「100万人超まで回復した」とアピールするが、繁忙期の乾期を迎えても最大都市ヤンゴンの観光地は静かだ。業界関係者は、「客足の戻りが鈍く、特に外国人団体客の姿を見ない」と説明する。中国の海外旅行市場は回復しつつあるが、春節(旧正月)の旅行需要の高まりもミャンマーが恩恵を受ける見込みは薄そうだ。【丹下詩織】
シュエダゴン・パゴダではミャンマー人参拝者の姿が多い=22日、ヤンゴン(NNA)
ヤンゴン随一の観光名所である仏塔「シュエダゴン・パゴダ」は平日でも参拝客でにぎわうが、現在は、その多くが伝統衣装「ロンジー」姿のミャンマー人だ。外国人入場の台帳には、中国や韓国、タイなどの国名が並ぶが、欧米はほとんど見られない。
同様に観光名所の一つで中心部に立つ重厚なれんが造りの「旧ビルマ政庁」も、史跡を除いた部分は改修され、商業施設や飲食店が入居するが、営業を休止しているテナントが多い。外国人の姿は少なく、建物をバックに自撮りをして楽しむ地元の若者たちがほとんどだ。この建造物は1905年に完成し、47年にアウンサン将軍が暗殺された歴史上重要な場所となっている。
■土産市場も人少なく、団体客消える
ヤンゴンの繁華街にある土産市場の「ボージョー・アウンサン市場」も閑散としている。木曜日という平日だったこともあるが、コロナ禍とクーデターという二重の打撃を受け、閉店した店も多いという。この市場には観光客向けの宝飾品や織物などの特産品店、ロンジーを仕立てる衣料店など、1,000店以上が軒を連ねている。
この市場で特産品の樹木「タナカ」を使った乳液などを売る化粧品店では、コロナ禍前から働く店員が、「近年、特に平日は客が来ない」と話した。外国人の客は中国や韓国、タイからが多いそう。同市場の入り口からすぐという好立地のテナントだが、その日は午後3時近くになってようやく初めての客が訪れたという。
翡翠(ひすい)などを使った装飾品を売る店の店員は、「外国人客が少なく、どの国から来ているのか分かりづらくなった」と話す。以前は中国やタイからの団体ツアー客が多く判別しやすかったが、今は個人客がほとんどだという。
■観光省、旅行客増をアピール
一方、ミャンマーの当局は観光市場の回復をアピールする。国営紙グローバル・ニュー・ライト・オブ・ミャンマーは24日、観光省の発表として、2023年1~11月の国内旅行者が885万人、外国人観光客が100万人(国境通行証による入国含む、以下同)を超えたと説明した。外国人の多くは中国とタイからだった。当局は20~22年にそれぞれ年間90万人、10万人、20万人と落ち込んだ外国人観光客数が回復したと強調したが、400万人を超えた19年比ではまだ少ない。
同省の高官は国営紙に、観光事業者や各自治体と観光促進で協力している上、ビザ(査証)取得の簡易化に向けても調整中で、今年はさらに旅行客数が回復する見通しだと語り、強気の姿勢を崩していない。
近隣諸国からの旅行者増を狙う観光省は、ラオスの首都ビエンチャンで今月22~27日に行われた「東南アジア諸国連合(ASEAN)観光フォーラム(ATF)」に参加。ミャンマーの旅行会社3社も出展し、各国の業界関係者にミャンマー観光を売り込んだ。同省が特に期待をかける中国からの旅行客については、観光相が同国の旅行会社やメディア、インフルエンサーなどによるミャンマーの視察旅行催行を計画しているという。
中国では春節の連休を控え、26日から旅行者の大移動が始まった。人気の海外旅行先は隣国タイだ。中国オンライン旅行会社(OTA)大手の携程集団(トリップドットコム・グループ)によると、中国発タイ行き旅行の予約件数は前年の春節期間比で35倍を超えた。日本やマレーシア、シンガポール、ベトナムなどが注目を集める旅先に並ぶが、ミャンマーの名前はない。中国の旅行需要が回復する中、恩恵がミャンマーに及ぶ可能性は低そうだ。
旧ビルマ政庁。若者たちが動画や写真を撮って遊ぶ=27日、ヤンゴン(NNA)
閑散とするボージョー・アウンサン市場。店を閉めているテナントもある=25日、ヤンゴン(NNA)
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同様に観光名所の一つで中心部に立つ重厚なれんが造りの「旧ビルマ政庁」も、史跡を除いた部分は改修され、商業施設や飲食店が入居するが、営業を休止しているテナントが多い。外国人の姿は少なく、建物をバックに自撮りをして楽しむ地元の若者たちがほとんどだ。この建造物は1905年に完成し、47年にアウンサン将軍が暗殺された歴史上重要な場所となっている。
■土産市場も人少なく、団体客消える
ヤンゴンの繁華街にある土産市場の「ボージョー・アウンサン市場」も閑散としている。木曜日という平日だったこともあるが、コロナ禍とクーデターという二重の打撃を受け、閉店した店も多いという。この市場には観光客向けの宝飾品や織物などの特産品店、ロンジーを仕立てる衣料店など、1,000店以上が軒を連ねている。
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翡翠(ひすい)などを使った装飾品を売る店の店員は、「外国人客が少なく、どの国から来ているのか分かりづらくなった」と話す。以前は中国やタイからの団体ツアー客が多く判別しやすかったが、今は個人客がほとんどだという。
■観光省、旅行客増をアピール
一方、ミャンマーの当局は観光市場の回復をアピールする。国営紙グローバル・ニュー・ライト・オブ・ミャンマーは24日、観光省の発表として、2023年1~11月の国内旅行者が885万人、外国人観光客が100万人(国境通行証による入国含む、以下同)を超えたと説明した。外国人の多くは中国とタイからだった。当局は20~22年にそれぞれ年間90万人、10万人、20万人と落ち込んだ外国人観光客数が回復したと強調したが、400万人を超えた19年比ではまだ少ない。
同省の高官は国営紙に、観光事業者や各自治体と観光促進で協力している上、ビザ(査証)取得の簡易化に向けても調整中で、今年はさらに旅行客数が回復する見通しだと語り、強気の姿勢を崩していない。
近隣諸国からの旅行者増を狙う観光省は、ラオスの首都ビエンチャンで今月22~27日に行われた「東南アジア諸国連合(ASEAN)観光フォーラム(ATF)」に参加。ミャンマーの旅行会社3社も出展し、各国の業界関係者にミャンマー観光を売り込んだ。同省が特に期待をかける中国からの旅行客については、観光相が同国の旅行会社やメディア、インフルエンサーなどによるミャンマーの視察旅行催行を計画しているという。
中国では春節の連休を控え、26日から旅行者の大移動が始まった。人気の海外旅行先は隣国タイだ。中国オンライン旅行会社(OTA)大手の携程集団(トリップドットコム・グループ)によると、中国発タイ行き旅行の予約件数は前年の春節期間比で35倍を超えた。日本やマレーシア、シンガポール、ベトナムなどが注目を集める旅先に並ぶが、ミャンマーの名前はない。中国の旅行需要が回復する中、恩恵がミャンマーに及ぶ可能性は低そうだ。
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ミャンマー・ラオス・カンボジア情報
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ビジネス全般人事労務