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【メガシティー構想】GTXが間もなく開通ソウル駅の建設現場ルポ

3月末に一部路線が開通する首都圏広域急行鉄道(GTX)。韓国国土交通省は13日、A路線のメインステーションとなる「GTX・ソウル駅」の建設現場を韓国内外のメディアに公開するプレスツアーを開いた。工事は構造物の造成作業がほぼ終わり、年内の営業開始に向けた施工の最終段階に突入している。首都ソウル市と近郊の主要都市を結び、「ソウル一極集中」を解消する鍵とするGTXが、間もなく産声を上げようとしている。【清水岳志】

ソウル駅前のバス乗換センターの地下60メートルに「GTX・ソウル駅」が建設されている=韓国・ソウル、2024年3月13日(NNA撮影)

GTXは、ソウル市と首都圏の主要都市の間を30分以内で移動できるようにする、一般の地下鉄と韓国高速鉄道(KTX)の中間に位置する急行鉄道。2019年に建設が始まり、すでに着工したA・B・C路線に加え、D・E・F路線の敷設も決まった。
今月末には、A路線(総延長82.3キロメートル)のうち水西駅(ソウル市江南区)発の高速鉄道「SRT」の軌道を利用した水西—東灘(京畿道華城市)区間(34.9キロメートル)が開通する。さらに24年下半期には、A路線のソウル—雲井(京畿道坡州市)間の32.4キロメートルが運行を開始する予定だ。
ソウル市内を縦断する残りのソウル—水西の区間は、三成駅(ソウル市江南区)の地下空間複合開発を経て28年中の開通を目指している。
■地下60メートルにプラットホーム
そんな中、韓国国交省は13日に国内外のメディアを招待したGTX・ソウル駅のプレスツアーを開催。建設中の待合室やプラットホームの工事の進捗(しんちょく)状況のほか、今後の建設計画などを紹介した。
月末に開通する水西—東灘間は既存の軌道を活用するが、ソウル駅から雲井駅を結ぶ区間は新たに一から敷設した軌道を使用する。とりわけ、ソウル都心部は複数の地下鉄路線が張り巡らされていることから、そのさらに下にGTXの軌道を敷設する必要がある。
そのため、A路線とB路線(30年開通予定)のメインステーションとなるソウル駅のプラットホームは地下約60メートルと非常に深い場所に位置する。これは日本で一番深い駅である都営大江戸線の六本木駅(1番線ホーム・約42.3メートル)よりもさらに20メートル深いことになる。
GTX・ソウル駅は、地下鉄1・4号線と空港鉄道、KTXのソウル駅と直接つながる予定で、地下深いGTXとの乗り換え時間を短縮するために高速エレベーターを設置する予定という。

地下60メートルに位置する「GTX・ソウル駅」のプラットホーム。年末までの開通に向けて急ピッチで工事が進む=韓国・ソウル、2024年3月13日(NNA撮影)

■TBM工法で都心の岩盤掘削
韓国国交省は、40メートル以深の「大深度地下」を掘削することで私有地への干渉などの障害を最小化することができるだけでなく、高速化に必要な直線の軌道を敷設することができるメリットがあるとしている。
実際に、ソウル駅を含む都心区間は景福宮などの文化財や市庁舎、オフィスビルの地下を走るため、新たな鉄道建設のためには大深度地下を活用するのが最も有効だ。
このため、都心区間の掘削には円盤状のカッターヘッドを回転させて岩盤を削る「全断面トンネル掘進機(トンネルボーリングマシン=TBM)」工法が採用された。都心を走る約4キロメートルの区間をTBM工法で掘削した。
A路線の施工を担うDL E&Cの関係者はプレスツアーでのブリーフィングで、「TBM工法は他の掘削手段に比べて騒音や振動が小さく、掘削速度も速いため工事期間の短縮が可能」と説明した。
■メガシティー構想への第一歩
GTXは、韓国政府がソウルへの一極集中を解消する要として国を挙げて力を入れているインフラ事業だ。
韓国国交省によると、首都圏に住む人の通勤時間は平均133分を要しており、経済協力開発機構(OECD)の加盟国平均(28分)を大きく上回る。
韓国政府は、GTXの開通によってソウルまでの通勤時間を短縮できれば、近郊に住居を置く人が増えて首都への人口集中の緩和され、さらにはソウルに拠点を構えていた企業がGTX駅の周辺に拠点を移すケースも増えると期待している。
ソウルに集中していた人口や企業が京畿道や仁川市に広がることで、首都圏全体を1つの「メガシティー」とすることが、政府が描く構想だ。

TBM工法による掘削の特徴である円形のトンネル。40メートル以深の大深度地下を掘ることで都心での掘削期間を短縮することができたという=韓国・ソウル、2024年3月13日(NNA撮影)
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GTXは、ソウル市と首都圏の主要都市の間を30分以内で移動できるようにする、一般の地下鉄と韓国高速鉄道(KTX)の中間に位置する急行鉄道。2019年に建設が始まり、すでに着工したA・B・C路線に加え、D・E・F路線の敷設も決まった。
今月末には、A路線(総延長82.3キロメートル)のうち水西駅(ソウル市江南区)発の高速鉄道「SRT」の軌道を利用した水西—東灘(京畿道華城市)区間(34.9キロメートル)が開通する。さらに24年下半期には、A路線のソウル—雲井(京畿道坡州市)間の32.4キロメートルが運行を開始する予定だ。
ソウル市内を縦断する残りのソウル—水西の区間は、三成駅(ソウル市江南区)の地下空間複合開発を経て28年中の開通を目指している。
■地下60メートルにプラットホーム
そんな中、韓国国交省は13日に国内外のメディアを招待したGTX・ソウル駅のプレスツアーを開催。建設中の待合室やプラットホームの工事の進捗(しんちょく)状況のほか、今後の建設計画などを紹介した。
月末に開通する水西—東灘間は既存の軌道を活用するが、ソウル駅から雲井駅を結ぶ区間は新たに一から敷設した軌道を使用する。とりわけ、ソウル都心部は複数の地下鉄路線が張り巡らされていることから、そのさらに下にGTXの軌道を敷設する必要がある。
そのため、A路線とB路線(30年開通予定)のメインステーションとなるソウル駅のプラットホームは地下約60メートルと非常に深い場所に位置する。これは日本で一番深い駅である都営大江戸線の六本木駅(1番線ホーム・約42.3メートル)よりもさらに20メートル深いことになる。
GTX・ソウル駅は、地下鉄1・4号線と空港鉄道、KTXのソウル駅と直接つながる予定で、地下深いGTXとの乗り換え時間を短縮するために高速エレベーターを設置する予定という。[caption id="attachment_18912" align="aligncenter" width="620"]地下60メートルに位置する「GTX・ソウル駅」のプラットホーム。年末までの開通に向けて急ピッチで工事が進む=韓国・ソウル、2024年3月13日(NNA撮影)[/caption]
■TBM工法で都心の岩盤掘削
韓国国交省は、40メートル以深の「大深度地下」を掘削することで私有地への干渉などの障害を最小化することができるだけでなく、高速化に必要な直線の軌道を敷設することができるメリットがあるとしている。
実際に、ソウル駅を含む都心区間は景福宮などの文化財や市庁舎、オフィスビルの地下を走るため、新たな鉄道建設のためには大深度地下を活用するのが最も有効だ。
このため、都心区間の掘削には円盤状のカッターヘッドを回転させて岩盤を削る「全断面トンネル掘進機(トンネルボーリングマシン=TBM)」工法が採用された。都心を走る約4キロメートルの区間をTBM工法で掘削した。
A路線の施工を担うDL E&Cの関係者はプレスツアーでのブリーフィングで、「TBM工法は他の掘削手段に比べて騒音や振動が小さく、掘削速度も速いため工事期間の短縮が可能」と説明した。
■メガシティー構想への第一歩
GTXは、韓国政府がソウルへの一極集中を解消する要として国を挙げて力を入れているインフラ事業だ。
韓国国交省によると、首都圏に住む人の通勤時間は平均133分を要しており、経済協力開発機構(OECD)の加盟国平均(28分)を大きく上回る。
韓国政府は、GTXの開通によってソウルまでの通勤時間を短縮できれば、近郊に住居を置く人が増えて首都への人口集中の緩和され、さらにはソウルに拠点を構えていた企業がGTX駅の周辺に拠点を移すケースも増えると期待している。
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