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病院大手がミキハウスと協業産科と小児科で安心と高品質訴求

タイの首都バンコクの大手私立病院が、日本の高級子ども服ブランド「ミキハウス」とコラボレーションした産婦人科、小児科病棟を開業する。壁にはミキハウスの動物キャラクターが描かれ、新生児はメード・イン・ジャパンの肌着を着用する。タイでは経済成長の一方で少子化が進み、高所得層を中心に高品質で安心できる出産の場を求める人が増加。人気の日本発ブランド導入で差別化を図り、国内外から利用者を呼び込みたい考えだ。

ミキハウスの動物キャラクターが壁面に描かれた産婦人科=5月8日、バンコク(NNA撮影)

ミキハウスブランドの衣服を製造販売する三起商行(大阪府八尾市)と協業するのは、タイ証券取引所(SET)に上場するラムカムヘン・ホスピタル。ファミリー事業の一環でミキハウスとタイでの代理店契約を結んでいる。
■「幸せになる場所」打ち出す
国内外に保有する傘下30余りの医療機関のうち、バンコク東部に新設するラムカムヘン第2病院(全560床)の産婦人科(8階全フロア)、小児科(1階全フロア)、小児科入院施設(12階全フロア、大型のVIPルーム含め32室)の計3フロアでミキハウスブランドを取り入れる。タイでは、子ども関連のブランドと提携する医療機関は前例がない。企業間取引(BtoB)事業の一環として、日本国内の産婦人科医院と商材開発や院内デザイン導入を手がけてきたミキハウスにとっても、海外で初めての大規模な取り組みとなる。
産婦人科と小児科のフロアは、診察室、授乳室、新生児室などを含む壁面全体に、ウサギやクマが宇宙を旅したり、バスや汽車に乗ったりする様子が描かれ、幼稚園のよう。子どもたちにとって、病院は怖い存在でなく、元気になる、幸せになるための場だというイメージを打ち出すという。親が付き添い宿泊できる入院部屋はタオルや寝具がミキハウスブランド製で、洗面所やミニキッチンにもキャラクターをかたどった備品を置く。
新生児用の肌着は、現場の看護師の意見も取り入れてカスタマイズした。タイでは木綿の上着とパンツを着せるのが一般的だが、子どもの手足の動きや着心地を考え、縫い目のない1枚仕立てにしている。伸縮性と軽量さが特徴の生地「フライス」を使った日本製で、常夏の気候にあわせて重ね着せずに使えるタイ仕様。タイで知名度の高いクマのキャラクターの刺しゅうを入れており、退院時に贈呈する。約1,000枚がこれまでに納品された。
経済成長著しいタイだが、2020年以降の人口増加率は0.2%以下となり、女性1人が生涯に生む子どもの数を示す合計特殊出生率は21年までに日本とほぼ同水準の1.33まで低下した(世界銀行統計)。
■少子化時代の親に対応
ラムカムヘン・ホスピタルのルカギー・カンジャナピタク・マネジングディレクターは「(病院を選ぶ)若い世代は、一生に何度もない出産の機会に、高い品質のみならずより良い体験を求めており、先の世代と比べて出費もいとわない」と言う。「小児科、産婦人科は経営上、利益率が大きな分野ではない」とした上で、それでも「差別化のためにサービスの質を高め、その幅を広げることを決めた」と話した。

ラムカムヘン・ホスピタルのルカビー・マネジング・ディレクター=5月8日、バンコク(NNA撮影)

入院施設は年内に完工する予定だが、産婦人科と小児科の診療は昨年から既に受け入れを始めている。出産第1号となったブータン人の母親を含め、タイ内外からの27人が同院で子どもを産んだ。産前・産後のケアを含む出産パッケージの価格は5万~8万バーツ(約22万~33万円)。タイの一般的な公立病院でかかる出産費用(2万7,000バーツ程度から、民間保険大手調べ)の倍額となるものの、交流サイト(SNS)などを通じ、国内外に口コミで情報が広がっているようだ。
三起商行は、日本国内でも病院との企業間取引(BtoB)事業を強化している。施設内デザインのコラボレーションや、タオル、乳児用スタイ(よだれかけ)といった小物の共同開発での提携先は約150カ所に上る。また、自治体の子育て施策担当部署の記念品づくりも手がけ、東京都渋谷区とは「忠犬ハチ公」公式キャラクターのベビー用品づくりでコラボレーションした。

キャラクターが宇宙に出かける様子が描かれた小児科の一角。診察室や廊下にも宇宙旅行をイメージする壁画がある=5月8日、バンコク(NNA撮影)

第2営業本部法人営業2部の山門達矢部長は「親は、子どもに安心できる高い品質のものを与えたいという強い気持ちを持っている。ミキハウスのノウハウを役立てられる機会を店頭以外に広げ、新しいビジネスをつくりたい」と話す。
ミキハウスの海外店舗数は昨年までに100店を超えた。アジアでは高所得層を中心に人気ブランドとして浸透し、服に描かれる動物キャラクターを子どものころから知る世代が各国・地域で親になり始めている。
タイのラムカムヘン第2病院でのコラボレーションに関心を示す近隣国の取引先も出てきており、海外でも次の展開につなげたい考えだ。三起商行は、現在売上高全体のうち10%弱のBtoB事業を、中長期的には主要な柱事業とする目標を描いている。

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ミキハウスブランドの衣服を製造販売する三起商行(大阪府八尾市)と協業するのは、タイ証券取引所(SET)に上場するラムカムヘン・ホスピタル。ファミリー事業の一環でミキハウスとタイでの代理店契約を結んでいる。
■「幸せになる場所」打ち出す
国内外に保有する傘下30余りの医療機関のうち、バンコク東部に新設するラムカムヘン第2病院(全560床)の産婦人科(8階全フロア)、小児科(1階全フロア)、小児科入院施設(12階全フロア、大型のVIPルーム含め32室)の計3フロアでミキハウスブランドを取り入れる。タイでは、子ども関連のブランドと提携する医療機関は前例がない。企業間取引(BtoB)事業の一環として、日本国内の産婦人科医院と商材開発や院内デザイン導入を手がけてきたミキハウスにとっても、海外で初めての大規模な取り組みとなる。
産婦人科と小児科のフロアは、診察室、授乳室、新生児室などを含む壁面全体に、ウサギやクマが宇宙を旅したり、バスや汽車に乗ったりする様子が描かれ、幼稚園のよう。子どもたちにとって、病院は怖い存在でなく、元気になる、幸せになるための場だというイメージを打ち出すという。親が付き添い宿泊できる入院部屋はタオルや寝具がミキハウスブランド製で、洗面所やミニキッチンにもキャラクターをかたどった備品を置く。
新生児用の肌着は、現場の看護師の意見も取り入れてカスタマイズした。タイでは木綿の上着とパンツを着せるのが一般的だが、子どもの手足の動きや着心地を考え、縫い目のない1枚仕立てにしている。伸縮性と軽量さが特徴の生地「フライス」を使った日本製で、常夏の気候にあわせて重ね着せずに使えるタイ仕様。タイで知名度の高いクマのキャラクターの刺しゅうを入れており、退院時に贈呈する。約1,000枚がこれまでに納品された。
経済成長著しいタイだが、2020年以降の人口増加率は0.2%以下となり、女性1人が生涯に生む子どもの数を示す合計特殊出生率は21年までに日本とほぼ同水準の1.33まで低下した(世界銀行統計)。
■少子化時代の親に対応
ラムカムヘン・ホスピタルのルカギー・カンジャナピタク・マネジングディレクターは「(病院を選ぶ)若い世代は、一生に何度もない出産の機会に、高い品質のみならずより良い体験を求めており、先の世代と比べて出費もいとわない」と言う。「小児科、産婦人科は経営上、利益率が大きな分野ではない」とした上で、それでも「差別化のためにサービスの質を高め、その幅を広げることを決めた」と話した。[caption id="attachment_20087" align="aligncenter" width="620"]ラムカムヘン・ホスピタルのルカビー・マネジング・ディレクター=5月8日、バンコク(NNA撮影)[/caption]
入院施設は年内に完工する予定だが、産婦人科と小児科の診療は昨年から既に受け入れを始めている。出産第1号となったブータン人の母親を含め、タイ内外からの27人が同院で子どもを産んだ。産前・産後のケアを含む出産パッケージの価格は5万~8万バーツ(約22万~33万円)。タイの一般的な公立病院でかかる出産費用(2万7,000バーツ程度から、民間保険大手調べ)の倍額となるものの、交流サイト(SNS)などを通じ、国内外に口コミで情報が広がっているようだ。
三起商行は、日本国内でも病院との企業間取引(BtoB)事業を強化している。施設内デザインのコラボレーションや、タオル、乳児用スタイ(よだれかけ)といった小物の共同開発での提携先は約150カ所に上る。また、自治体の子育て施策担当部署の記念品づくりも手がけ、東京都渋谷区とは「忠犬ハチ公」公式キャラクターのベビー用品づくりでコラボレーションした。[caption id="attachment_20088" align="aligncenter" width="620"]キャラクターが宇宙に出かける様子が描かれた小児科の一角。診察室や廊下にも宇宙旅行をイメージする壁画がある=5月8日、バンコク(NNA撮影)[/caption]
第2営業本部法人営業2部の山門達矢部長は「親は、子どもに安心できる高い品質のものを与えたいという強い気持ちを持っている。ミキハウスのノウハウを役立てられる機会を店頭以外に広げ、新しいビジネスをつくりたい」と話す。
ミキハウスの海外店舗数は昨年までに100店を超えた。アジアでは高所得層を中心に人気ブランドとして浸透し、服に描かれる動物キャラクターを子どものころから知る世代が各国・地域で親になり始めている。
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