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日中大手、電動車の拡充続く自動車展開幕、ホンダがEV投入

インドネシアの首都ジャカルタで13日、自動車展示・販売会「インドネシア国際モーターショー(IIMS)2025」が開幕した。ホンダはインドネシアで初の電気自動車(EV)「e:N1」を発売し、トヨタ自動車はハイブリッド車(HV)2車種などを投入した。中国EV最大手の比亜迪(BYD)は「シーライオン7」を発売した。2024年に大台の100万台を大きく割った新車市場は低迷を抜け出せておらず、各社はイスラム教の断食月(ラマダン)の商戦期を前にIIMSで販売に弾みをつける構えだ。

ホンダは「インドネシア国際モーターショー(IIMS)2025」で、インドネシアで初めて投入するEV「e:N1」を発売。数量限定で展開する=13日、ジャカルタ特別州(NNA撮影)

ホンダのインドネシア四輪製販法人ホンダ・プロスペクト・モーター(HPM)が初めて発売するEVのe:N1は、中国から完成車(CBU)を輸入する。販売価格などの詳細は近く発表する予定だが、300台限定で販売する。
HPMの浅岡亮取締役(商品企画・営業マーケティング担当)はNNAに、「HVとEVの両方で電動化を進めていく中で、まず、ホンダのEVを体験してもらうためのモデルだ」と投入の狙いを説明した。HPMは、HVではこれまでにスポーツタイプ多目的車(SUV)「CR—V e:HEV」と中型セダンのHV「アコード e:HEV」を販売してきた。今後の計画について、浅岡氏は「今年は現地生産とCBUの両方でHVのラインアップを増やしてきたいと考えている」と明らかにした。今年から条件を満たした現地生産HVに対して奢侈(しゃし)税の恩典が導入されたこともあり、「できるだけ早く投入できるように検討していきたい」と意欲を示した。
一方、スズキのインドネシア販売会社スズキ・インドモービル・セールス(SIS)はSUVのEV「eビターラ」を26年に投入する計画を発表した。eビターラはスズキ初となるEV。

トヨタ・アストラ・モーター(TAM)は、「カローラ・クロス」と「カムリ」のHV2車種で新型モデルを発表した=13日、ジャカルタ特別州(NNA撮影)

市場シェア首位のトヨタ自動車のインドネシア現地販売会社トヨタ・アストラ・モーター(TAM)は、SUV「カローラ・クロス」と中型セダンの「カムリ」のHV2車種で新型モデルを発表した。いずれもCBUをタイから輸入する。
ジャカルタでのオンザロード(OTR)価格は、カローラ・クロスが6億350万ルピア(約566万円)から、カムリが9億7,330万ルピアから。
HVを中心に電動車をそろえるトヨタだが、発売済みのEV「bZ4X」についてTAMの大出浩之マーケティングディレクターは「改良モデルの投入検討を行っている」と明らかにした。
トヨタはさらに、ガソリン車でエントリー小型ハッチバック「アギア」に新タイプ「アギア・スタイリックス」を追加した。「ローコスト・グリーンカー(LCGC)」政策適合モデルのアギアにスポーツカー仕様のパーツなどを使用したモデルとなる。LCGCとして価格を抑えながらもスポーティーな外観に仕上げた。大出氏は「特に若い世代の取り込みを狙ったものだ」と説明した。
■BYD、5車種目を発売
BYDの現地法人BYDモーター・インドネシアは、SUVのEV「シーライオン7」を発売した。「プレミアム」と「パフォーマンス」の2グレードを用意し、ジャカルタのOTR価格はそれぞれ6億2,900万ルピア、7億1,900万ルピア。航続距離は欧州の測定基準「NEDC」で542~567キロメートル。プレミアムSUVとして位置付ける。

BYDモーター・インドネシアは、SUVのEV「シーライオン7」を発売した=13日、ジャカルタ特別州(NNA撮影)

BYDは24年にインドネシア市場に参入し、同年のEV販売で首位となった。シーライオン7は24年7月に発表した3列シートの多目的車(MPV)「M6」に続く、5車種目(高級ブランドのDENZAを除く)となる。BYDは現在、輸入販売しているが、西ジャワ州スバン県にある「スバン・スマートポリタン」で工場を建設しており、26年にも稼働を開始する予定だ。
BYDは25年にディーラーを計80店舗にまで拡大する計画だ。

SGMWモーター・インドネシアは、「エア ev」(左)と「クラウドEV」の新型モデルを投入した=13日、ジャカルタ特別州(NNA撮影)

■五菱汽車、EV2車種を刷新
中国・上汽通用五菱汽車(SGMW)のインドネシア法人SGMWモーター・インドネシアは、EVの小型車「エア ev」と中型ハッチバック「クラウドEV」の新型モデルを発表。新カラーを追加し、内装などを刷新した。特別価格として、エア evは1億8,400万ルピアから、クラウドEVは3億6,500万ルピアからに設定した。
同社は西ジャワ州チカラン工場でEVバッテリー「MAGICバッテリー」の生産ラインを設けており、3月までにクラウドEVと小型ハッチバック「ビンゴEV」に搭載して出荷する予定だ。
また、コンセプトカー「ライト・オブ・ASEAN」を中国国外で初めて披露した。発売時期は未定。

SGMWモーター・インドネシアが披露したコンセプトカー「ライト・オブ・ASEAN」=13日、ジャカルタ特別州(NNA撮影)

IIMS2025は中央ジャカルタ・クマヨランの国際展示場ジャカルタ・インターナショナル・エキスポ(JIエキスポ)で23日まで開催される。二輪・四輪車56ブランド、アクセサリーなど関連産業を合わせて190ブランド以上が出展している。

「インドネシア国際モーターショー(IIMS)2025」の開幕式には、アグス産業相(右から3人目)、ラフマット国家開発企画庁(バペナス)長官(同2人目)、ママン中小企業相(右端)らが出席した=13日、ジャカルタ特別州(NNA撮影)
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ホンダのインドネシア四輪製販法人ホンダ・プロスペクト・モーター(HPM)が初めて発売するEVのe:N1は、中国から完成車(CBU)を輸入する。販売価格などの詳細は近く発表する予定だが、300台限定で販売する。
HPMの浅岡亮取締役(商品企画・営業マーケティング担当)はNNAに、「HVとEVの両方で電動化を進めていく中で、まず、ホンダのEVを体験してもらうためのモデルだ」と投入の狙いを説明した。HPMは、HVではこれまでにスポーツタイプ多目的車(SUV)「CR—V e:HEV」と中型セダンのHV「アコード e:HEV」を販売してきた。今後の計画について、浅岡氏は「今年は現地生産とCBUの両方でHVのラインアップを増やしてきたいと考えている」と明らかにした。今年から条件を満たした現地生産HVに対して奢侈(しゃし)税の恩典が導入されたこともあり、「できるだけ早く投入できるように検討していきたい」と意欲を示した。
一方、スズキのインドネシア販売会社スズキ・インドモービル・セールス(SIS)はSUVのEV「eビターラ」を26年に投入する計画を発表した。eビターラはスズキ初となるEV。
[caption id="attachment_24829" align="aligncenter" width="620"]トヨタ・アストラ・モーター(TAM)は、「カローラ・クロス」と「カムリ」のHV2車種で新型モデルを発表した=13日、ジャカルタ特別州(NNA撮影)[/caption]
市場シェア首位のトヨタ自動車のインドネシア現地販売会社トヨタ・アストラ・モーター(TAM)は、SUV「カローラ・クロス」と中型セダンの「カムリ」のHV2車種で新型モデルを発表した。いずれもCBUをタイから輸入する。
ジャカルタでのオンザロード(OTR)価格は、カローラ・クロスが6億350万ルピア(約566万円)から、カムリが9億7,330万ルピアから。
HVを中心に電動車をそろえるトヨタだが、発売済みのEV「bZ4X」についてTAMの大出浩之マーケティングディレクターは「改良モデルの投入検討を行っている」と明らかにした。
トヨタはさらに、ガソリン車でエントリー小型ハッチバック「アギア」に新タイプ「アギア・スタイリックス」を追加した。「ローコスト・グリーンカー(LCGC)」政策適合モデルのアギアにスポーツカー仕様のパーツなどを使用したモデルとなる。LCGCとして価格を抑えながらもスポーティーな外観に仕上げた。大出氏は「特に若い世代の取り込みを狙ったものだ」と説明した。
■BYD、5車種目を発売
BYDの現地法人BYDモーター・インドネシアは、SUVのEV「シーライオン7」を発売した。「プレミアム」と「パフォーマンス」の2グレードを用意し、ジャカルタのOTR価格はそれぞれ6億2,900万ルピア、7億1,900万ルピア。航続距離は欧州の測定基準「NEDC」で542~567キロメートル。プレミアムSUVとして位置付ける。
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BYDは24年にインドネシア市場に参入し、同年のEV販売で首位となった。シーライオン7は24年7月に発表した3列シートの多目的車(MPV)「M6」に続く、5車種目(高級ブランドのDENZAを除く)となる。BYDは現在、輸入販売しているが、西ジャワ州スバン県にある「スバン・スマートポリタン」で工場を建設しており、26年にも稼働を開始する予定だ。
BYDは25年にディーラーを計80店舗にまで拡大する計画だ。
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■五菱汽車、EV2車種を刷新
中国・上汽通用五菱汽車(SGMW)のインドネシア法人SGMWモーター・インドネシアは、EVの小型車「エア ev」と中型ハッチバック「クラウドEV」の新型モデルを発表。新カラーを追加し、内装などを刷新した。特別価格として、エア evは1億8,400万ルピアから、クラウドEVは3億6,500万ルピアからに設定した。
同社は西ジャワ州チカラン工場でEVバッテリー「MAGICバッテリー」の生産ラインを設けており、3月までにクラウドEVと小型ハッチバック「ビンゴEV」に搭載して出荷する予定だ。
また、コンセプトカー「ライト・オブ・ASEAN」を中国国外で初めて披露した。発売時期は未定。
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IIMS2025は中央ジャカルタ・クマヨランの国際展示場ジャカルタ・インターナショナル・エキスポ(JIエキスポ)で23日まで開催される。二輪・四輪車56ブランド、アクセサリーなど関連産業を合わせて190ブランド以上が出展している。
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