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24年の女性役員比率25%超上場100社、1年前倒しで目標達成

シンガポールの上場企業上位100社の女性役員比率が2024年12月時点で25.1%となったことが、社会・家庭発展省傘下の役員会多様化評議会(CBD)の調べで分かった。13年末の7.5%から3倍超に拡大し、評議会が掲げる「25年までに25%」の目標を1年前倒しで達成した。シンガポール取引所(SGX)が23年に社外取締役任期の上限を設ける措置を導入したことで、新規起用される取締役が増えたことが女性役員登用を後押ししたとみられる。30年までに30%に引き上げることを目指す。

シンガポールの上場企業上位100社の女性役員比率は2024年12月時点で25.1%となったことが分かった=シンガポール中心部(NNA撮影)

役員会多様化評議会は、シンガポール取引所に上場する企業や法定機関、国内の公益団体(IPC)など1,360社・団体超を対象に調査を実施。女性役員の登用状況をまとめた。
これによると、シンガポール取引所に上場する企業の24年12月時点の女性役員比率は、時価総額上位100社が25.1%となり、上場企業全体(18.1%)、上位100社以外の上場企業(16.1%)をいずれも上回った。23年12月時点の23.7%から1.4ポイント上昇して初めて25%を超え、評議会が目標としていた「25年までに25%」を早期達成した。
13年12月時点では上位100社以外の上場企業が8.3%で、上位100社(7.5%)、上場企業全体(8.1%)をいずれも上回っていた。16年ごろから上位100社の女性役員比率の上昇が加速。22年12月時点では21.7%と初めて20%を超え、上場企業全体(14.7%)、上位100社以外の上場企業(12.9%)を大きく引き離していた。
24年12月時点の上位100社の女性役員比率を業種別に見ると、テクノロジーと基礎材料がそれぞれ33%で最も高かった。これに工業(29%)、不動産(25%)、金融(25%)、消費財(生活必需品、23%)、消費財(景気連動型商品、21%)が続いた。
上場企業全体では、学術関連・教育サービスが25%で最も高かった。金融は24%、消費財(生活必需品)は21%、医療は19%だった。
法定機関の女性上級幹部比率は24年12月時点で34.3%。18年12月時点からは11.0ポイント上昇した。大手公益団体100団体の女性上級幹部比率は24年12月時点で31.8%となり、18年12月時点から4.2ポイントの上昇となった。
取締役会会長や監査役、指名委員会(取締役会の中に設置され、取締役の選任・解任を議論する委員会)メンバーといった重要ポストを担う女性の割合も増加基調にある。上場上位100社のうち、女性が重要ポストに就いている企業の割合は24年に17%となり、18年の9%から大幅に上昇した。
■男女ともに新規起用が多数
24年に上場企業全体で新たに起用された役員310人(女性88人、男性222人)については、上場企業での役員経験がない人が全体の48%を占めた。新規起用された役員数は15年以来、最も多かった。
上場上位100社では、新たに起用された役員のうち上場企業での役員経験がない人の比率が62%に上った。役員の平均任期は20年の6.8年から24年は6.4年に短縮した。
評議会は「役員の多様化が進み人材プールが充実しつつある」と指摘。シンガポール取引所の規制業務統括部門シンガポール・エクスチェンジ・レギュレーション(SGX RegCo)が23年、社外取締役の任期を最長9年と定める規定を導入したことで役員を新規起用する動きが加速し、取締役会の人員構成のバランスが改善されつつあると付け加えた。同規定は24年4月までに順守することが求められていた。
海外との比較では、評議会が女性役員比率を比較した12カ国・地域のうち最も高かったのはノルウェーで、25年3月時点の上場全232社の平均は44.1%だった。シンガポールの25.1%は、アジアではマレーシア(33.1%)を下回ったものの、日本(22.0%)、インド(21.3%)、香港(19.6%)、中国(14.0%)を上回り、世界平均の23.3%を超える水準となった。
評議会は今後の女性役員比率の目標として、「30年までに30%」を掲げている。上場企業はSGXの規定で多様性に関する社内ポリシーや計画の公表などが義務付けられていることから、評議会は「企業内で自主的に女性役員を登用する動きが今後さらに広がる」との見解を表明。目標設定を通じて、単に女性役員の数を増やしたりコンプライアンス(法令順守)を順守したりするだけでなく、全ての個人の能力を最大化する企業文化の醸成につなげたいとしている。

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これによると、シンガポール取引所に上場する企業の24年12月時点の女性役員比率は、時価総額上位100社が25.1%となり、上場企業全体(18.1%)、上位100社以外の上場企業(16.1%)をいずれも上回った。23年12月時点の23.7%から1.4ポイント上昇して初めて25%を超え、評議会が目標としていた「25年までに25%」を早期達成した。
13年12月時点では上位100社以外の上場企業が8.3%で、上位100社(7.5%)、上場企業全体(8.1%)をいずれも上回っていた。16年ごろから上位100社の女性役員比率の上昇が加速。22年12月時点では21.7%と初めて20%を超え、上場企業全体(14.7%)、上位100社以外の上場企業(12.9%)を大きく引き離していた。
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法定機関の女性上級幹部比率は24年12月時点で34.3%。18年12月時点からは11.0ポイント上昇した。大手公益団体100団体の女性上級幹部比率は24年12月時点で31.8%となり、18年12月時点から4.2ポイントの上昇となった。
取締役会会長や監査役、指名委員会(取締役会の中に設置され、取締役の選任・解任を議論する委員会)メンバーといった重要ポストを担う女性の割合も増加基調にある。上場上位100社のうち、女性が重要ポストに就いている企業の割合は24年に17%となり、18年の9%から大幅に上昇した。
■男女ともに新規起用が多数
24年に上場企業全体で新たに起用された役員310人(女性88人、男性222人)については、上場企業での役員経験がない人が全体の48%を占めた。新規起用された役員数は15年以来、最も多かった。
上場上位100社では、新たに起用された役員のうち上場企業での役員経験がない人の比率が62%に上った。役員の平均任期は20年の6.8年から24年は6.4年に短縮した。
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海外との比較では、評議会が女性役員比率を比較した12カ国・地域のうち最も高かったのはノルウェーで、25年3月時点の上場全232社の平均は44.1%だった。シンガポールの25.1%は、アジアではマレーシア(33.1%)を下回ったものの、日本(22.0%)、インド(21.3%)、香港(19.6%)、中国(14.0%)を上回り、世界平均の23.3%を超える水準となった。
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