本日は、ベトナムで近年注目されている「雇用代行」を活用した進出方法について解説します。従来の進出形態と比較しながら、その特徴と活用のポイントを見ていきましょう。
1. 一般的な海外進出スキーム
海外進出の代表的な方法として、以下の3つが挙げられます。
1-1. 現地法人設立
独立した法人格を持ち、営業活動や売上の計上が可能であるため、最もスタンダードかつイメージしやすい形態です。
日本で行っているビジネスをほぼそのまま展開できる点がメリットですが、現地で税務・法務リスクを負うことや、設立までに多くのコスト・時間を要する点がデメリットです。
1-2. 海外支店
ベトナムでは一部業種を除いて設立が認められていないため、あまり一般的ではありません。法人格がないため、親会社がすべての法的責任を負います。
1-3. 駐在員事務所
法人格はなく、売上の計上や営業活動はできませんが、設立コストが比較的安価なため、本格的な進出前の調査や代理店との連携などで活用されています。
2. 第四の選択肢:雇用代行スキーム
近年、従来の3形態に加えて注目されているのが「雇用代行(Employer of Record:EOR)」による進出方法です。
このスキームでは、現地に法人や事務所を持たずに、ベトナムで人材を雇用・稼働させることができます。税務申告や人事手続きなどの多くを代行業者が担うため、設立・運営に伴う煩雑なプロセスを省略できるのが大きな特徴です。
2-1. スピード
法人や駐在員事務所の設立には、書類準備や申請、当局とのやりとりに数か月~1年かかることもあります。
一方、雇用代行を活用すれば、最短で数週間〜1か月程度で現地人材の稼働が可能です。スピード感が求められるビジネスでは、大きなアドバンテージになります。
2-2. コスト
オフィス賃料や管理費、専門家報酬など、拠点維持には多くの固定費が発生しますが、雇用代行ではこれらを抑えることができます。
必要なコストは、基本的には現地スタッフの人件費と雇用代行手数料程度に限定されます。
2-3. リスク
拠点を持つ場合、撤退時には清算手続きや税務調査が発生し、最悪の場合は完全撤退まで
10年近く要するケースもあります。
雇用代行であれば、撤退時も雇用の終了手続き程度で済み、負担を最小限に抑えることができます。
3. 雇用代行が適している事業とは?
このように多くのメリットがある雇用代行ですが、すべての業種・業態に適しているわけではありません。
例えば、小売業・飲食業など現地でサービスが発生する業態では、売上の現地計上が必要となるため不向きです。
一方で、契約を日本本社と海外企業間で締結できる業態や、テストマーケティング、調査・リサーチ活動などには非常に適しています。現地で活動する人材を確保できれば、短期間で事業を立ち上げることも可能です。
まとめ
「雇用代行」という手法は、スピード・コスト・リスクの観点から、現代の多様なビジネスニーズにフィットする新たな進出スキームといえるでしょう。
特に、スモールスタートや段階的な進出を検討している企業にとっては、有力な選択肢の一つです。
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海外進出の代表的な方法として、以下の3つが挙げられます。
1-1. 現地法人設立
独立した法人格を持ち、営業活動や売上の計上が可能であるため、最もスタンダードかつイメージしやすい形態です。
日本で行っているビジネスをほぼそのまま展開できる点がメリットですが、現地で税務・法務リスクを負うことや、設立までに多くのコスト・時間を要する点がデメリットです。
1-2. 海外支店
ベトナムでは一部業種を除いて設立が認められていないため、あまり一般的ではありません。法人格がないため、親会社がすべての法的責任を負います。
1-3. 駐在員事務所
法人格はなく、売上の計上や営業活動はできませんが、設立コストが比較的安価なため、本格的な進出前の調査や代理店との連携などで活用されています。
2. 第四の選択肢:雇用代行スキーム
近年、従来の3形態に加えて注目されているのが「雇用代行(Employer of Record:EOR)」による進出方法です。
このスキームでは、現地に法人や事務所を持たずに、ベトナムで人材を雇用・稼働させることができます。税務申告や人事手続きなどの多くを代行業者が担うため、設立・運営に伴う煩雑なプロセスを省略できるのが大きな特徴です。
2-1. スピード
法人や駐在員事務所の設立には、書類準備や申請、当局とのやりとりに数か月~1年かかることもあります。
一方、雇用代行を活用すれば、最短で数週間〜1か月程度で現地人材の稼働が可能です。スピード感が求められるビジネスでは、大きなアドバンテージになります。
2-2. コスト
オフィス賃料や管理費、専門家報酬など、拠点維持には多くの固定費が発生しますが、雇用代行ではこれらを抑えることができます。
必要なコストは、基本的には現地スタッフの人件費と雇用代行手数料程度に限定されます。
2-3. リスク
拠点を持つ場合、撤退時には清算手続きや税務調査が発生し、最悪の場合は完全撤退まで
10年近く要するケースもあります。
雇用代行であれば、撤退時も雇用の終了手続き程度で済み、負担を最小限に抑えることができます。
3. 雇用代行が適している事業とは?
このように多くのメリットがある雇用代行ですが、すべての業種・業態に適しているわけではありません。
例えば、小売業・飲食業など現地でサービスが発生する業態では、売上の現地計上が必要となるため不向きです。
一方で、契約を日本本社と海外企業間で締結できる業態や、テストマーケティング、調査・リサーチ活動などには非常に適しています。現地で活動する人材を確保できれば、短期間で事業を立ち上げることも可能です。
まとめ
「雇用代行」という手法は、スピード・コスト・リスクの観点から、現代の多様なビジネスニーズにフィットする新たな進出スキームといえるでしょう。
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