当社では、台湾における日系企業の進出支援を長年行ってまいりました。
そのなかでも進出検討段階の企業様よりよく頂くご質問が、
「現地法人と支店って何が違うの?」「駐在員事務所では何ができるのか?」といった、進出形態の選定に関するご相談です。
本記事では、台湾進出における主な選択肢である「現地法人」「支店」「駐在員事務所」の違いをわかりやすく整理し、さらに税務・法務・規制・コスト面での実務上のポイントも踏まえてご紹介します。
進出形態別の特徴比較
現地法人は独立した法人格を持ち、商取引・契約・雇用などすべての活動が可能です。支店は日本本社の一部として登記され、営業活動は可能ですが法人格はありません。駐在員事務所は市場調査・情報収集などに限定され、営業行為は一切できません。
尚、支店や駐在員事務は本社の一部であることから、社名の最初に「○○商」という文字を必ず使用します。これはどの国から出資されているかを意味し、日本本社であれば「日商」、アメリカ本社であれば「美商」、香港本社であれば「香港商」という形になります。
設立期間や初期費用、税務申告義務、信用力の面でもそれぞれ違いがあります。
税務と再投資の違い
現地法人は課税所得に対して20%の法人税が課され、配当送金時には日台租税条約適用後5~10%の源泉税が発生します。利益を社内に留保して台湾国内で再投資(設備投資、人材採用、関連会社設立等)に充てることが可能であり、会社法上も法人格を持つ独立企業として資本の自由な運用が認められています。したがって、現地法人は内部留保の活用や他法人との合弁設立(JV)、M&Aへの参画など、広範な資金戦略が実行できる点が特徴です。
一方で支店も同様に法人税20%が課税されます。また支店は会社法上、本社の一部として位置づけられ、独立した法人格を持たないため、利益を内部で留保しても台湾国内での出資・資本取引(たとえば子会社設立やJV参画)は原則できません。再投資として認められるのはオフィス設備更新や人件費支出など、営業活動の一部に限定される傾向があり、現地法人に比べて戦略の幅は狭まります。
駐在員事務所は台湾会社法上「商業登記対象外」の機関であり、法人格も営業主体性も認められていません。あくまでも市場調査・技術連絡・情報収集など非営利目的の拠点に限定されるため、収益行為(契約・請求・販売)を行った場合は、恒久的施設(PE)と見なされて課税対象となるリスクがあります。加えて、利益を得る前提の活動が許されていないため、税務上の再投資という概念そのものが存在せず、資金運用や商業活動を伴う戦略展開は不可とされています。
支店と駐在員事務所の併存は不可
台湾では、一企業が支店と駐在員事務所を同時に持つことはできません。
たとえば駐在員事務所を設置した後に支店へ移行する場合は、事前に駐在員事務所を登録(登記)抹消する必要があります。
このため、進出形態を選ぶ際には将来的な営業展開や投資戦略を見据えた判断が重要です。
業種・業態による規制上の留意点
台湾では、業種や業態によっては進出形態と同時に各種許認可(ライセンス)の有無の確認が必要です。
例えば飲食業は保健局による衛生許可が必要で、教育関連は教育部への登録、美容医療は衛生福利部の許認可が求められます。
不動産、金融、通信、メディアなどもそれぞれの主管官庁による事前認可が必要です。
このように、業種ごとの規制を確認した上で進出準備を行うことが求められます。
進出形態は“将来の展開可能性”から逆算を
台湾への進出にあたっては、将来的な展開や取引構想を見据えて進出形態を選ぶことが不可欠です。
例えば、将来現地企業とのジョイントベンチャーを組む場合、支店は法人格を持たないため出資主体にはなれません。その場合は日本本社からの出資、または新たに現地法人を設立し直す必要があり、手間とコストがかかります。
また、支店の利益を台湾国内に再投資する際にも制限があり、柔軟な資本戦略を取りにくい点にも注意が必要です。
現地法人であれば、契約、出資、M&A、利益留保などあらゆる面で自由度が高く、台湾での中長期的な展開を見据える企業には最も適した選択肢と言えるでしょう。
進出形態の選択は、「今できること」ではなく「数年後に何をしたいか」から逆算して判断することをお勧めします。
当社のご支援体制
当社では、台湾での日系企業の進出支援を専門とし、以下のようなサービスをワンストップでご提供しております。
– 現地法人・支店・駐在員事務所の設立登記および外資申請手続き
– 各種許認可(飲食、教育、医療、金融、不動産など)の取得サポート
– 就業許可・居留証(ARC)取得支援(※就業服務ライセンス取得済)
– 会計記帳、税務申告、給与計算、労務管理などのアウトソーシング
– 登記住所提供・ビジネスセンター(レンタルオフィス)の運営
制度解釈から実行支援、進出後の運営まで、現地に根差した専門家チームが一貫してサポートいたします。初回相談は無料ですので、台湾進出をご検討中の際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
経済部商業司 – 商業登記制度(現地法人・支店)
https://gcis.nat.gov.tw
台湾財政部 – 所得税法全文
https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawAll.aspx?pcode=G0340003
財政部 – 日台租税協定関連
https://www.dot.gov.tw
中華民国公司法 – 外資登記に関する条項
https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawAll.aspx?pcode=J0080001
各種主管官庁(保健局、教育部、衛福部等)
https://www.mohw.gov.tw(衛生福利部)
https://www.edu.tw(教育部)
※本記事は2025年7月時点の情報をもとに作成しています。制度改正や運用の変更が行われる可能性があるため、必ず最新の法令・公的発表をご確認ください。
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本記事では、台湾進出における主な選択肢である「現地法人」「支店」「駐在員事務所」の違いをわかりやすく整理し、さらに税務・法務・規制・コスト面での実務上のポイントも踏まえてご紹介します。
進出形態別の特徴比較
現地法人は独立した法人格を持ち、商取引・契約・雇用などすべての活動が可能です。支店は日本本社の一部として登記され、営業活動は可能ですが法人格はありません。駐在員事務所は市場調査・情報収集などに限定され、営業行為は一切できません。
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税務と再投資の違い
現地法人は課税所得に対して20%の法人税が課され、配当送金時には日台租税条約適用後5~10%の源泉税が発生します。利益を社内に留保して台湾国内で再投資(設備投資、人材採用、関連会社設立等)に充てることが可能であり、会社法上も法人格を持つ独立企業として資本の自由な運用が認められています。したがって、現地法人は内部留保の活用や他法人との合弁設立(JV)、M&Aへの参画など、広範な資金戦略が実行できる点が特徴です。
一方で支店も同様に法人税20%が課税されます。また支店は会社法上、本社の一部として位置づけられ、独立した法人格を持たないため、利益を内部で留保しても台湾国内での出資・資本取引(たとえば子会社設立やJV参画)は原則できません。再投資として認められるのはオフィス設備更新や人件費支出など、営業活動の一部に限定される傾向があり、現地法人に比べて戦略の幅は狭まります。
駐在員事務所は台湾会社法上「商業登記対象外」の機関であり、法人格も営業主体性も認められていません。あくまでも市場調査・技術連絡・情報収集など非営利目的の拠点に限定されるため、収益行為(契約・請求・販売)を行った場合は、恒久的施設(PE)と見なされて課税対象となるリスクがあります。加えて、利益を得る前提の活動が許されていないため、税務上の再投資という概念そのものが存在せず、資金運用や商業活動を伴う戦略展開は不可とされています。
支店と駐在員事務所の併存は不可
台湾では、一企業が支店と駐在員事務所を同時に持つことはできません。
たとえば駐在員事務所を設置した後に支店へ移行する場合は、事前に駐在員事務所を登録(登記)抹消する必要があります。
このため、進出形態を選ぶ際には将来的な営業展開や投資戦略を見据えた判断が重要です。
業種・業態による規制上の留意点
台湾では、業種や業態によっては進出形態と同時に各種許認可(ライセンス)の有無の確認が必要です。
例えば飲食業は保健局による衛生許可が必要で、教育関連は教育部への登録、美容医療は衛生福利部の許認可が求められます。
不動産、金融、通信、メディアなどもそれぞれの主管官庁による事前認可が必要です。
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進出形態は“将来の展開可能性”から逆算を
台湾への進出にあたっては、将来的な展開や取引構想を見据えて進出形態を選ぶことが不可欠です。
例えば、将来現地企業とのジョイントベンチャーを組む場合、支店は法人格を持たないため出資主体にはなれません。その場合は日本本社からの出資、または新たに現地法人を設立し直す必要があり、手間とコストがかかります。
また、支店の利益を台湾国内に再投資する際にも制限があり、柔軟な資本戦略を取りにくい点にも注意が必要です。
現地法人であれば、契約、出資、M&A、利益留保などあらゆる面で自由度が高く、台湾での中長期的な展開を見据える企業には最も適した選択肢と言えるでしょう。
進出形態の選択は、「今できること」ではなく「数年後に何をしたいか」から逆算して判断することをお勧めします。
当社のご支援体制
当社では、台湾での日系企業の進出支援を専門とし、以下のようなサービスをワンストップでご提供しております。
- 現地法人・支店・駐在員事務所の設立登記および外資申請手続き
- 各種許認可(飲食、教育、医療、金融、不動産など)の取得サポート
- 就業許可・居留証(ARC)取得支援(※就業服務ライセンス取得済)
- 会計記帳、税務申告、給与計算、労務管理などのアウトソーシング
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制度解釈から実行支援、進出後の運営まで、現地に根差した専門家チームが一貫してサポートいたします。初回相談は無料ですので、台湾進出をご検討中の際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
経済部商業司 – 商業登記制度(現地法人・支店)
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