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韓国産コメ、続々日本へ上半期輸出量は過去最高416トン

日本国内のコメ不足を受けて、韓国からのコメの輸出が増えている。慶尚南道や江原道、全羅南道など全国各地から、2025年上半期(1~6月)に過去最高の計416トンのコメが日本に輸出された。日本と同じジャポニカ米であることや、物珍しさなどから日本の消費者にも受け入れられているもよう。韓国としてはこれを機に、日本をはじめとする世界に韓国米の輸出を拡大する考えだ。【清水岳志】

日本への輸出のためにトラックに積み荷される河東郡の「蟾津江米」(慶尚南道提供)

韓国南東部の慶南道河東郡は今年5月、農協インターナショナルを通じて日本に同地域のブランド米「蟾津江米」を輸出したと発表した。同月20日に40トンを輸出したのを皮切りに、6月半ばまでに追加で計120トンを日本に送った。同郡が日本にコメを輸出するのは、今回が初めてだ。
韓国関税庁の貿易統計によると、今年上半期に日本に輸出されたコメ(精米ベース)は計415.8トンだった。関連統計を取り始めた1990年以降、10トン台の輸出は何度かあったものの、3桁に達したことはなかった。
日本は輸入米に対して1キログラム当たり約340円の高関税を課している。しかし、日本のコメ価格が高騰したことで、高関税でも採算が合う状況になったことが、韓国のコメ輸出を後押しした。
また、韓国で生産されているコメは、日本で主に食されている品種と同じジャポニカ米。海外のコメという物珍しさも相まって、日本では購入する消費者も増えているという。
慶南道は年末までに、さらに120トンを日本に輸出する計画という。慶南道庁・農食品流通課の担当者はNNAに対し、「日本のコメ価格が安定してきていることもあり、具体的な輸出時期は農協インターナショナルと調整している最中」と話す。それでも、今回の日本へのコメ輸出が同道産のコメの世界市場への進出の足がかりになると期待している。
■韓国各地から日本へ
今回のコメ不足をきっかけに、日本への輸出という成果を上げたのは河東郡だけではない。これまでに、◇全南道海南郡◇同道康津郡◇江原道鉄原郡——などが日本へコメを輸出した。
南西部に位置する全南道の海南郡は4月に同郡の代表ブランドである「タンクッヘッサル」を日本に輸出。同郡によると、初期出荷の2トンはすぐに完売し、追加で20トンを輸出したという。北部の江原道では、鉄原郡のブランド米「五台米」が農協のサイトを通じて日本で販売されている。
■持続的な輸出の契機に
NH農協は日本への持続的な輸出に向けた方策を模索している。まず日本では、5月13~14日に東京で開催された韓国食品の商談会・見本市「Kフードフェア」に参加し、コメとコメ加工食品の広報を展開した。7月には現地のコメ価格や韓国米の流通状況、消費者の反応などを調査する視察団を派遣し、持続的なコメ輸出に向けた取り組みを本格化している。
韓国では食文化が多様化するにつれてコメの消費量が減少している。韓国統計庁によると、24年の国民1人当たりのコメの年間消費量は55.8キログラムで、前年比1.1%減少した。日本へのコメ輸出は、「余ったコメ」の新しい使い道としても注目される。
日本でのコメの消費量を考慮すれば、上半期の対日輸出量は決して大きいとは言えない。ただ、トランプ米政権の保護貿易主義によって輸出に打撃を受けている韓国としては、明るい材料とも言えそうだ。

東京で開催された「Kフードフェア」で韓国産のコメを試食する参加者(NH農協提供)
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日本は輸入米に対して1キログラム当たり約340円の高関税を課している。しかし、日本のコメ価格が高騰したことで、高関税でも採算が合う状況になったことが、韓国のコメ輸出を後押しした。
また、韓国で生産されているコメは、日本で主に食されている品種と同じジャポニカ米。海外のコメという物珍しさも相まって、日本では購入する消費者も増えているという。
慶南道は年末までに、さらに120トンを日本に輸出する計画という。慶南道庁・農食品流通課の担当者はNNAに対し、「日本のコメ価格が安定してきていることもあり、具体的な輸出時期は農協インターナショナルと調整している最中」と話す。それでも、今回の日本へのコメ輸出が同道産のコメの世界市場への進出の足がかりになると期待している。
■韓国各地から日本へ
今回のコメ不足をきっかけに、日本への輸出という成果を上げたのは河東郡だけではない。これまでに、◇全南道海南郡◇同道康津郡◇江原道鉄原郡——などが日本へコメを輸出した。
南西部に位置する全南道の海南郡は4月に同郡の代表ブランドである「タンクッヘッサル」を日本に輸出。同郡によると、初期出荷の2トンはすぐに完売し、追加で20トンを輸出したという。北部の江原道では、鉄原郡のブランド米「五台米」が農協のサイトを通じて日本で販売されている。
■持続的な輸出の契機に
NH農協は日本への持続的な輸出に向けた方策を模索している。まず日本では、5月13~14日に東京で開催された韓国食品の商談会・見本市「Kフードフェア」に参加し、コメとコメ加工食品の広報を展開した。7月には現地のコメ価格や韓国米の流通状況、消費者の反応などを調査する視察団を派遣し、持続的なコメ輸出に向けた取り組みを本格化している。
韓国では食文化が多様化するにつれてコメの消費量が減少している。韓国統計庁によると、24年の国民1人当たりのコメの年間消費量は55.8キログラムで、前年比1.1%減少した。日本へのコメ輸出は、「余ったコメ」の新しい使い道としても注目される。
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