インド半導体産業の勃興に合わせ、日立ハイテクが半導体製造装置の販売拡大を目指す。同社は特に、半導体の回路線幅を測定する「測長SEM」など、計測・検査装置に強みを持つ。日立ハイテクグループが100%出資する日立ハイテクインドの上月直基(こうづき・なおき)社長がNNAの単独取材に応じ、「当社のコア技術と商社機能に加え、日立グループ全体の総合力を生かしたい」と事業拡大に意欲を示した。【鈴木健太】
半導体産業の展示会「セミコン・インディア2025」(9月2~4日)で設けた日立ハイテクなどのブース=9月、インドの首都ニューデリー(NNA撮影)
日立ハイテクは、首都ニューデリーで開かれた半導体産業の展示会「セミコン・インディア2025」(9月2~4日)で、日立ハイレルと共同出展。測長SEMや電子顕微鏡、イオンミリング装置、半導体製造を支援する製造実行システムソリューション、半導体材料を説明するパネルを展示した。
測長SEMは、電子顕微鏡の技術を応用した前工程(ウエハー表面上に電子回路を形成)向け検査装置。ウエハー上に作られた電子回路の線幅や穴径の寸法を高速で測る。半導体の最終製品が優れているかは測長SEMの性能が鍵を握る。日立ハイテクはこの測長SEMで高い世界シェアを持つ。茨城県ひたちなか市の工場で生産しており、インドで納入が決まった場合は日本からインドへ輸出する。
半導体の回路線幅を測定する「測長SEM」の説明パネル=9月、「セミコン・インディア2025」会場(NNA撮影)
セミコン・インディアへの出展は2024年9月の初開催に続き2回目。上月氏は「インド半導体産業に対し、当社のコア技術と商社機能に加え、日立グループ全体の総合力で貢献したいと思い、出展した」と言及。産業の発展に合わせ、「測長SEMをはじめ各装置の販売を伸ばしたい。成長市場であるインドで事業拡大を図り、高付加価値ソリューションを提供する」と述べた。
半導体を含む電気・電子産業やバイオ産業の急成長を受け、日立ハイテクは分析・解析装置を中心にデモンストレーション環境や保守サービス体制をインドで強化中だ。5月、西部ムンバイのオフィス兼デモ施設をリニューアルオープン。X線分析装置や熱分析装置のデモ環境を本格整備した。7月には南部ベンガルールでオフィスを新設。10月に同じ施設で電子顕微鏡やイオンミリング装置のデモができる拠点を開設した。
■東南アジア超えを「期待」
上月氏はインド半導体産業の強みについて、世界最多の人口や高い経済成長率、内需の拡大、メーク・イン・インディア(インド政府の製造業振興スローガン)を挙げ、「今後、インド半導体産業は伸びる。将来的な市場拡大に期待したい」とコメント。インドが東南アジアを超える半導体製造拠点になるかについても「期待値は高い」と語った。
NNAの単独取材に応じる日立ハイテクインドの上月直基社長=9月、ニューデリー(NNA撮影)

<メモ>
日立ハイテクは1947年4月、日立製作所の直系会社、日之出商会として設立。同年10月に社名を日製産業に改め、理化学機器や工業計器、産業機器を主な販売製品とし、先端産業の専門商社として発展した。2001年10月、日製産業が日立製作所の計測器と半導体製造装置事業を承継し、日立ハイテクノロジーズが誕生した。20年2月には社名を日立ハイテクに変えた。
日立ハイテクは現在、半導体製造装置のほか、臨床検査用自動分析装置や電子顕微鏡を生産販売。創業期から得意とする商事ビジネスも展開している。25年3月期の売上高は7,565億円。同年3月末時点のグループ従業員数は1万5,016人。
半導体関連では、測長SEMや電子顕微鏡に加え、FIB—SEM(集束イオンビームと電子顕微鏡の複合装置)、X線分析装置、分光光度計を生産販売。商社機能としては半導体関連の先端材料を扱う。
インドでは1988年にニューデリー出張所を開設。2007年にインド支店へと拡張し、半導体や自動車関連部品をインドに輸入販売してきた。13年4月にはインド支店を法人化し、日立ハイテクインドを北部グルガオンで設置。今は北部のデリー、グルガオン、西部ムンバイ、南部ベンガルールの拠点を軸に、電子顕微鏡や分析装置の販売・サービス、商事ビジネスを手がける。
日立グループのインド事業は家庭用扇風機を1933年に輸出したのが始まり。現在は送配電や鉄道、エレベーター、金融、IT分野で事業を展開。インドでグループ会社28社があり、従業員約4万人を抱える。
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半導体産業の展示会「セミコン・インディア2025」(9月2~4日)で設けた日立ハイテクなどのブース=9月、インドの首都ニューデリー(NNA撮影)[/caption]
日立ハイテクは、首都ニューデリーで開かれた半導体産業の展示会「セミコン・インディア2025」(9月2~4日)で、日立ハイレルと共同出展。測長SEMや電子顕微鏡、イオンミリング装置、半導体製造を支援する製造実行システムソリューション、半導体材料を説明するパネルを展示した。
測長SEMは、電子顕微鏡の技術を応用した前工程(ウエハー表面上に電子回路を形成)向け検査装置。ウエハー上に作られた電子回路の線幅や穴径の寸法を高速で測る。半導体の最終製品が優れているかは測長SEMの性能が鍵を握る。日立ハイテクはこの測長SEMで高い世界シェアを持つ。茨城県ひたちなか市の工場で生産しており、インドで納入が決まった場合は日本からインドへ輸出する。
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半導体の回路線幅を測定する「測長SEM」の説明パネル=9月、「セミコン・インディア2025」会場(NNA撮影)[/caption]
セミコン・インディアへの出展は2024年9月の初開催に続き2回目。上月氏は「インド半導体産業に対し、当社のコア技術と商社機能に加え、日立グループ全体の総合力で貢献したいと思い、出展した」と言及。産業の発展に合わせ、「測長SEMをはじめ各装置の販売を伸ばしたい。成長市場であるインドで事業拡大を図り、高付加価値ソリューションを提供する」と述べた。
半導体を含む電気・電子産業やバイオ産業の急成長を受け、日立ハイテクは分析・解析装置を中心にデモンストレーション環境や保守サービス体制をインドで強化中だ。5月、西部ムンバイのオフィス兼デモ施設をリニューアルオープン。X線分析装置や熱分析装置のデモ環境を本格整備した。7月には南部ベンガルールでオフィスを新設。10月に同じ施設で電子顕微鏡やイオンミリング装置のデモができる拠点を開設した。
■東南アジア超えを「期待」
上月氏はインド半導体産業の強みについて、世界最多の人口や高い経済成長率、内需の拡大、メーク・イン・インディア(インド政府の製造業振興スローガン)を挙げ、「今後、インド半導体産業は伸びる。将来的な市場拡大に期待したい」とコメント。インドが東南アジアを超える半導体製造拠点になるかについても「期待値は高い」と語った。
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<メモ>
日立ハイテクは1947年4月、日立製作所の直系会社、日之出商会として設立。同年10月に社名を日製産業に改め、理化学機器や工業計器、産業機器を主な販売製品とし、先端産業の専門商社として発展した。2001年10月、日製産業が日立製作所の計測器と半導体製造装置事業を承継し、日立ハイテクノロジーズが誕生した。20年2月には社名を日立ハイテクに変えた。
日立ハイテクは現在、半導体製造装置のほか、臨床検査用自動分析装置や電子顕微鏡を生産販売。創業期から得意とする商事ビジネスも展開している。25年3月期の売上高は7,565億円。同年3月末時点のグループ従業員数は1万5,016人。
半導体関連では、測長SEMや電子顕微鏡に加え、FIB—SEM(集束イオンビームと電子顕微鏡の複合装置)、X線分析装置、分光光度計を生産販売。商社機能としては半導体関連の先端材料を扱う。
インドでは1988年にニューデリー出張所を開設。2007年にインド支店へと拡張し、半導体や自動車関連部品をインドに輸入販売してきた。13年4月にはインド支店を法人化し、日立ハイテクインドを北部グルガオンで設置。今は北部のデリー、グルガオン、西部ムンバイ、南部ベンガルールの拠点を軸に、電子顕微鏡や分析装置の販売・サービス、商事ビジネスを手がける。
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