9月29日に公布された「国務院発行[2023]第36号」にて、ビザ免除措置の再開が観光政策の一環として盛り込まれましたが、残念ながら現時点(2023年10月26日)では日本に対するビザ免除は再開されておりません。したがい、日本人が出張目的で中国を訪問するためには、事前に商用ビザ(Mビザ)を取得するのが一般的な方法ですが、以前MCH会員様向けの会報で解説したその他の方法について、最新状況をふまえて整理しました。
【参考】
国務院発行[2023]第36号原文
https://www.gov.cn/zhengce/content/202309/content_6907051.htm
2023年10月8日時点で中国とビザ免除協定を締結している国家リスト
http://cs.mfa.gov.cn/gyls/lsgz/fwxx/202110/t20211029_10403855.shtml
1. APECカード(APEC Business Travel Card)
MCH会員様には会報第282号で詳細を解説しておりますが、APECカードでの入国も検討できます。
APECカードは有効期限が5年と長いこと(パスポートの残存期間が短い場合はパスポートに準じる)、1回の滞在が60日間(中国の場合)と比較的長いというメリットもあり、申請が急増しているようです。
申請方法については、一定の条件を満たすことを前提に、外務省経済局アジア太平洋経済協力(APEC)室ABTC班まで必要書類を郵送する郵送申請となります。
詳細は外務省HPを参照ください。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/apec/btc/index.html#section2
2. 到着ビザ(アライバルビザ)
到着ビザは、ビザなしで渡航し、中国到着後に訪問目的に沿ったビザを申請・取得することとなります。急な出張などにも対応できるということで、その発給状況や関連手続について問い合わせが増えております。
外国人に対する到着ビザは発給されており、Mビザの滞在期限は30日間、訪問場所に制限はありません。上海企業が事前にオンライン申請のうえ、「外国人口岸ビザ受理通知単」を取得し、出張者は上海企業が社印を押印した同通知単と他の必要資料を持参し、上海口岸でMビザを申請・取得することになります。
(1)広州白雲空港
以前、広州白雲空港ではMビザの発給は難易度が高い状況でしたが、現在は入国1週間前に、関連資料を白雲空港審査科の指定アドレスに送信することで申請ができます。
審査科が許可した場合、許可書類が発行され、これを入国者が白雲空港で提出してMビザを申請することができます。Mビザの有効期限は最大で30日間となります。
(2)深セン羅湖皇崗・蛇口
現時点では、羅湖皇崗ではMビザやFビザの申請は受理しておらず、旅行ビザのみ受け付けているとのことです。なお、蛇口では訪問目的によってMビザやFビザ、さらに旅行ビザの申請も受理されています。
上記旅行ビザの滞在期間は5日間であり、訪問場所は深セン市内に限定されます。
(3)珠海市の拱北・横琴
拱北ではMビザやFビザの申請は受理しておらず、旅行ビザのみ受け付けているとのことです。横琴では訪問目的によってMビザやFビザ、さらに旅行ビザの申請も受理されています。
上記旅行ビザの滞在期間は3日間であり、訪問場所は珠海市内に限定されます。
広東省における到着ビザについては、各地通関地で発給可能なビザの種類が頻繁に変更されている状況です。またMビザを申請する場合は、中国国内の招聘者の招聘状や営業許可証コピー、法定代表人身分証明書コピーなどの事前準備も必要となります。
3. トランジットビザ
2023年1月29日、国家移民管理局のサイトにて、日本人に対するアライバルビザと72時間・144時間トランジットビザの発給再開が公告されています。
原則的にはパスポートと乗り継ぎ航空券があれば申請ができ、また実際に取得に成功した実例も報告されていますので、短期の出張であればひとつの選択肢となります。
また10月1日には、上記サイトにてトランジットビザの申請条件についての解説が公開されています。その主な内容は以下の通りです。
(1)72時間・144時間トランジットビザの発給対象国民であること
全部で53か国がリストアップされており、アジアでは日本、韓国、シンガポール、ブルネイ、UAE、カタールの6か国が該当します。
(2)有効期限が3か月以上のパスポートの所持および第三国・地域への入境条件を満たすこと
(3)申請時間(72・144時間)以内の搭乗日および座席の確定した第三国・地域への乗り継ぎ航空券または関連証明資料、臨時入境外国人入境カードへ記入したうえ、入国審査官の質問に回答すること
注意点として、トランジットビザを申請できる通関地と通関地ごとの滞在可能地が限定されています。
・72時間トランジットビザ申請地
長沙黄花国際空港・桂林両江国際空港・ハルビン太平国際空港
・144時間トランジットビザ申請地
北京首都国際空港、北京大興国際空港、北京西駅、天津浜海国際空港、上海虹橋国際空港、上海浦東国際空港、上海海港口岸、上海鉄路口岸、その他
通関地のリストと滞在可能地の詳細はこちらを参照してください。https://www.nia.gov.cn/n741440/n741577/c1601850/content.html
また、パスポートの有効期限が残り3か月未満の場合や、中国のビザ発給拒否のスタンプが押されている場合、5年以内に不法出入国、不法滞在、不法就労の記録がある場合は申請が認められません。
以上
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【参考】
国務院発行[2023]第36号原文
https://www.gov.cn/zhengce/content/202309/content_6907051.htm
2023年10月8日時点で中国とビザ免除協定を締結している国家リスト
http://cs.mfa.gov.cn/gyls/lsgz/fwxx/202110/t20211029_10403855.shtml
1. APECカード(APEC Business Travel Card)
MCH会員様には会報第282号で詳細を解説しておりますが、APECカードでの入国も検討できます。
APECカードは有効期限が5年と長いこと(パスポートの残存期間が短い場合はパスポートに準じる)、1回の滞在が60日間(中国の場合)と比較的長いというメリットもあり、申請が急増しているようです。
申請方法については、一定の条件を満たすことを前提に、外務省経済局アジア太平洋経済協力(APEC)室ABTC班まで必要書類を郵送する郵送申請となります。
詳細は外務省HPを参照ください。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/apec/btc/index.html#section2
2. 到着ビザ(アライバルビザ)
到着ビザは、ビザなしで渡航し、中国到着後に訪問目的に沿ったビザを申請・取得することとなります。急な出張などにも対応できるということで、その発給状況や関連手続について問い合わせが増えております。
外国人に対する到着ビザは発給されており、Mビザの滞在期限は30日間、訪問場所に制限はありません。上海企業が事前にオンライン申請のうえ、「外国人口岸ビザ受理通知単」を取得し、出張者は上海企業が社印を押印した同通知単と他の必要資料を持参し、上海口岸でMビザを申請・取得することになります。
(1)広州白雲空港
以前、広州白雲空港ではMビザの発給は難易度が高い状況でしたが、現在は入国1週間前に、関連資料を白雲空港審査科の指定アドレスに送信することで申請ができます。
審査科が許可した場合、許可書類が発行され、これを入国者が白雲空港で提出してMビザを申請することができます。Mビザの有効期限は最大で30日間となります。
(2)深セン羅湖皇崗・蛇口
現時点では、羅湖皇崗ではMビザやFビザの申請は受理しておらず、旅行ビザのみ受け付けているとのことです。なお、蛇口では訪問目的によってMビザやFビザ、さらに旅行ビザの申請も受理されています。
上記旅行ビザの滞在期間は5日間であり、訪問場所は深セン市内に限定されます。
(3)珠海市の拱北・横琴
拱北ではMビザやFビザの申請は受理しておらず、旅行ビザのみ受け付けているとのことです。横琴では訪問目的によってMビザやFビザ、さらに旅行ビザの申請も受理されています。
上記旅行ビザの滞在期間は3日間であり、訪問場所は珠海市内に限定されます。
広東省における到着ビザについては、各地通関地で発給可能なビザの種類が頻繁に変更されている状況です。またMビザを申請する場合は、中国国内の招聘者の招聘状や営業許可証コピー、法定代表人身分証明書コピーなどの事前準備も必要となります。
3. トランジットビザ
2023年1月29日、国家移民管理局のサイトにて、日本人に対するアライバルビザと72時間・144時間トランジットビザの発給再開が公告されています。
原則的にはパスポートと乗り継ぎ航空券があれば申請ができ、また実際に取得に成功した実例も報告されていますので、短期の出張であればひとつの選択肢となります。
また10月1日には、上記サイトにてトランジットビザの申請条件についての解説が公開されています。その主な内容は以下の通りです。
(1)72時間・144時間トランジットビザの発給対象国民であること
全部で53か国がリストアップされており、アジアでは日本、韓国、シンガポール、ブルネイ、UAE、カタールの6か国が該当します。
(2)有効期限が3か月以上のパスポートの所持および第三国・地域への入境条件を満たすこと
(3)申請時間(72・144時間)以内の搭乗日および座席の確定した第三国・地域への乗り継ぎ航空券または関連証明資料、臨時入境外国人入境カードへ記入したうえ、入国審査官の質問に回答すること
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ビザ・入出届法務進出設立