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NTT、データセンター拡大電力容量60MWに、環境にも配慮

NTTグループのNTTグローバルデータセンターは、マレーシアでデータセンター事業の拡大を目指す。スランゴール州サイバージャヤのデータセンターでは、電力容量を現在の約20メガワットから最大60メガワットに拡大する予定だ。市場の拡大とともに競争の激化が見込まれる中で、ネットワークの接続性を強みに、環境に配慮したデータセンター運営を行っていく。【笹沼帆奈望】

NTTグループは10月、サイバージャヤに6カ所目となるデータセンターを開設した=スランゴール州(NTTグローバルデータセンター・ホールディングアジア提供)

NTTグループの海外事業は、今年7月からNTTデータグループが統括している。その傘下にあるNTTグローバルデータセンターは同10月、サイバージャヤに6カ所目となるデータセンターを開設した。7階建てで、電力容量は7メガワット、床面積は4,890平方メートル。これにより、NTTのデータセンター全体の電力容量は約20メガワットとなった。
同社はサイバージャヤに10万1,058平方メートルの土地を保有しており、このうち6万1,951平方メートルを現在、活用している。今後3万9,107平方メートルの用地においても、電力容量最大40メガワット分のデータセンターなどの建設を検討中だ。
さらに、マレーシアのデータセンターの拠点の一つであるジョホール州にも事業拡大を検討しているという。NTTグローバルデータセンターの東南アジア地域責任者である木村武史マネジングディレクターは、ジョホール州はシンガポールに隣接することから、既にデータセンターが多数あるが、バックアップ用に利用する顧客の需要が見込まれると指摘。「シンガポールではデータセンターの建設が停滞している。(サービスの提供範囲から)こぼれた顧客がジョホール州のデータセンターを利用する可能性もある」と話す。
マレーシアのデータセンター事業は、マハティール元首相の肝いりで、1990年代から「マルチメディアスーパーコリドー(MSC)」としてIT産業の誘致が進められたサイバージャヤが中心となってきた。しかし近年、立地は多様化しつつあり、シンガポールと国境を接するジョホール州が注目を集めている。
一方、懸念されるのは競争の激化だ。データセンターの整備には、土地と電力の供給源を押さえたり、通信環境を整えたりする必要がある。ただ、これらを確保するためのハードルは下がっており、競合事業者の増加が見込まれる。NTTグローバルデータセンターによると、現在、マレーシア全体のデータセンターの電力容量は約200メガワットとなっているが、2027年までに700メガワットになる見通しだ。
木村氏は、価格競争への対応が必要になると指摘。加えてESG(環境・社会・企業統治)の観点から、電力をいかに調達するかがポイントになると説明する。NTTが他社と差別化できる点として、グローバルな標準の仕様のサービスを提供できることや、海底ケーブルを活用したネットワークの接続性を挙げる。
「NTTグループは世界中にデータセンターを展開していることから、相互にノウハウを活用できるほか、通信やデータセンターといったインフラだけでなく、システムを統合したソリューションを付加価値として提供することが可能だ」と話す。
■環境配慮がポイントに
データセンター業界で省エネ化や再生可能エネルギーを使用することへの要望が強まる中、世界のNTTグループでは、太陽光や水素、水力を使った電力を調達している。
マレーシアは米国やインドに比べると再エネの取り組みは遅れているものの、まずは太陽光を活用した電力調達を目指している。また、データを格納する機械は温度が高いと壊れてしまうため、空調設備で冷やす必要があるが、電力を効率よく活用することを目指し、電力使用効率(PUE)の向上にも取り組んでいる。

木村氏は、データセンター業界でも最近は環境に優しい設計が求められていると明かした(NTTグローバルデータセンター・ホールディングアジア提供)

木村氏は、高温多湿なマレーシアでは、地球に優しい運営をより強く意識して事業を進めていかなければならないと指摘。データセンターの運営コストは電力の調達が約3分の1を占めるといい、「管理においては電力調達をどう行うかが重要なポイントになる」と述べた。

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NTTグループの海外事業は、今年7月からNTTデータグループが統括している。その傘下にあるNTTグローバルデータセンターは同10月、サイバージャヤに6カ所目となるデータセンターを開設した。7階建てで、電力容量は7メガワット、床面積は4,890平方メートル。これにより、NTTのデータセンター全体の電力容量は約20メガワットとなった。
同社はサイバージャヤに10万1,058平方メートルの土地を保有しており、このうち6万1,951平方メートルを現在、活用している。今後3万9,107平方メートルの用地においても、電力容量最大40メガワット分のデータセンターなどの建設を検討中だ。
さらに、マレーシアのデータセンターの拠点の一つであるジョホール州にも事業拡大を検討しているという。NTTグローバルデータセンターの東南アジア地域責任者である木村武史マネジングディレクターは、ジョホール州はシンガポールに隣接することから、既にデータセンターが多数あるが、バックアップ用に利用する顧客の需要が見込まれると指摘。「シンガポールではデータセンターの建設が停滞している。(サービスの提供範囲から)こぼれた顧客がジョホール州のデータセンターを利用する可能性もある」と話す。
マレーシアのデータセンター事業は、マハティール元首相の肝いりで、1990年代から「マルチメディアスーパーコリドー(MSC)」としてIT産業の誘致が進められたサイバージャヤが中心となってきた。しかし近年、立地は多様化しつつあり、シンガポールと国境を接するジョホール州が注目を集めている。
一方、懸念されるのは競争の激化だ。データセンターの整備には、土地と電力の供給源を押さえたり、通信環境を整えたりする必要がある。ただ、これらを確保するためのハードルは下がっており、競合事業者の増加が見込まれる。NTTグローバルデータセンターによると、現在、マレーシア全体のデータセンターの電力容量は約200メガワットとなっているが、2027年までに700メガワットになる見通しだ。
木村氏は、価格競争への対応が必要になると指摘。加えてESG(環境・社会・企業統治)の観点から、電力をいかに調達するかがポイントになると説明する。NTTが他社と差別化できる点として、グローバルな標準の仕様のサービスを提供できることや、海底ケーブルを活用したネットワークの接続性を挙げる。
「NTTグループは世界中にデータセンターを展開していることから、相互にノウハウを活用できるほか、通信やデータセンターといったインフラだけでなく、システムを統合したソリューションを付加価値として提供することが可能だ」と話す。
■環境配慮がポイントに
データセンター業界で省エネ化や再生可能エネルギーを使用することへの要望が強まる中、世界のNTTグループでは、太陽光や水素、水力を使った電力を調達している。
マレーシアは米国やインドに比べると再エネの取り組みは遅れているものの、まずは太陽光を活用した電力調達を目指している。また、データを格納する機械は温度が高いと壊れてしまうため、空調設備で冷やす必要があるが、電力を効率よく活用することを目指し、電力使用効率(PUE)の向上にも取り組んでいる。[caption id="attachment_16564" align="aligncenter" width="620"]木村氏は、データセンター業界でも最近は環境に優しい設計が求められていると明かした(NTTグローバルデータセンター・ホールディングアジア提供) [/caption]
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