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《日系進出》介護ウェル、ビンGと提携北部に高齢者施設、日本式実践へ

関西で医療・介護事業を展開するウェルグループ(奈良県大和郡山市)は、ベトナムの複合企業ビングループと提携し、同国で高齢者向け介護サービスに乗り出す。ビングループが開発した集合住宅地区などに介護施設を共同で開設し、日本のヘルステック(医療とITを活用したサービス)を積極的に導入。ウェルの日本の施設で働いたベトナム人元技能実習生などに働く場を提供し、日本式高齢者サービスを普及させる。第1号となる最初の施設を年内に北部フンイエン省に開設する予定だ。

ビンホームズはウェルグループと協力して「オーシャンパーク2」に高齢者向け施設を建設する(ビンホームズ提供)

ウェルグループは今年3月、ビングループ傘下の病院運営大手ビンメックと先端医療分野の投資事業を手がけるビンメドテックの両社と覚書を締結し、ビングループの住宅開発会社ビンホームズがベトナム各地で手がける大型住宅開発地域でデイケアなどの介護施設や在宅介護サービスなどの共同事業化を進めることで合意した。
ビングループによれば、3社はまず、フンイエン省の「ビンホームズ・オーシャンパーク2」に健康管理やリハビリ、娯楽などを提供するデイケア施設を協力して開設する。オープンは2024年中を目指している。これを皮切りに、ビンホームズの他の開発地域でも高齢者向けサービスの展開を図る。
ウェルグループは人材の育成や施設の設計、機材の選定などを支援するとともに、情報通信技術(ICT)機能が付いた介護用品などの導入について助言する方針だ。例えば、高齢者がベッドから起き上がったことを感知して施設の職員に自動的に知らせるセンサーなどを想定している。このセンサーは日本の介護現場で広く利用され、高齢者の転倒防止に役立っているといい、こうしたヘルステック製品をベトナムでも紹介して介護の効率化や職員の負担軽減を図る。
ウェルグループの井村征路最高経営責任者(CEO)は、「日本の高齢者向け産業のサプライチェーン(供給網)を一体的に海外に輸出できるようにしたい」と新市場への進出に意欲をのぞかせた。
■理学療法士の育成を支援
日本式介護を広める拠点となるのが、ウェルグループが今月、南部ホーチミン市に設立する現地法人ウェルベトニャットだ。同社では地場企業や医療機関を対象にしたコンサルティングや日本の介護用品の紹介などを行う。コンサルティングの一環としてリハビリの専門職である理学療法士の育成支援も始める。
ベトナムでは理学療法士は人口1万人当たり0.26人しかおらず、日本の50分の1にとどまる。高齢化が進めばリハビリの需要は高まると予想されるが、ベトナムでは理学療法士の統一的な国家試験がなく、技術水準の底上げが喫緊の課題になっている。
ウェルは国際協力機構(JICA)の受託事業として南部チャビン省のチャビン大学・病院に自社の教育プログラムを試験導入し、理学療法士の育成事業の調査を実施した。井村氏は「新会社を通じて他の病院にも理学療法士の教育プログラムを広めていきたい」と語る。
ウェルは関西で診療所や高齢者介護施設、障害者福祉施設、保育園などを45カ所運営している。介護人材の不足解消のため、外国人を積極的に雇用しており、グループの施設などで働くベトナム人は約150人と外国籍の中で最多を占める。井村氏は「日本に来た人材が成長して国に帰っていく還流の形を作りたかった」とベトナム進出を決めた理由を説明した。

ベトナムでの事業展開への意欲を語るウェルグループの井村CEO=4月、ハノイ

ベトナムでは65歳以上の高齢者が人口に占める割合が50年には現在の2倍の20%に達し、日本の04年とほぼ同じ水準に達すると予想される。介護施設などの市場拡大が見込まれることから、日本の介護事業者の参入が相次いでいる。
つばさグループ(千葉県君津市)は不動産開発会社インチャコムがハノイで建設する介護施設の運営を受託する予定だ。ツクイ(横浜市)は今年2月、コングロマリット(複合企業)タインタインコン(TTC)グループとベトナムでのデイサービスや高齢者住宅の開発プロジェクトへの参画に向けて基本合意している。

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ビングループによれば、3社はまず、フンイエン省の「ビンホームズ・オーシャンパーク2」に健康管理やリハビリ、娯楽などを提供するデイケア施設を協力して開設する。オープンは2024年中を目指している。これを皮切りに、ビンホームズの他の開発地域でも高齢者向けサービスの展開を図る。
ウェルグループは人材の育成や施設の設計、機材の選定などを支援するとともに、情報通信技術(ICT)機能が付いた介護用品などの導入について助言する方針だ。例えば、高齢者がベッドから起き上がったことを感知して施設の職員に自動的に知らせるセンサーなどを想定している。このセンサーは日本の介護現場で広く利用され、高齢者の転倒防止に役立っているといい、こうしたヘルステック製品をベトナムでも紹介して介護の効率化や職員の負担軽減を図る。
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■理学療法士の育成を支援
日本式介護を広める拠点となるのが、ウェルグループが今月、南部ホーチミン市に設立する現地法人ウェルベトニャットだ。同社では地場企業や医療機関を対象にしたコンサルティングや日本の介護用品の紹介などを行う。コンサルティングの一環としてリハビリの専門職である理学療法士の育成支援も始める。
ベトナムでは理学療法士は人口1万人当たり0.26人しかおらず、日本の50分の1にとどまる。高齢化が進めばリハビリの需要は高まると予想されるが、ベトナムでは理学療法士の統一的な国家試験がなく、技術水準の底上げが喫緊の課題になっている。
ウェルは国際協力機構(JICA)の受託事業として南部チャビン省のチャビン大学・病院に自社の教育プログラムを試験導入し、理学療法士の育成事業の調査を実施した。井村氏は「新会社を通じて他の病院にも理学療法士の教育プログラムを広めていきたい」と語る。
ウェルは関西で診療所や高齢者介護施設、障害者福祉施設、保育園などを45カ所運営している。介護人材の不足解消のため、外国人を積極的に雇用しており、グループの施設などで働くベトナム人は約150人と外国籍の中で最多を占める。井村氏は「日本に来た人材が成長して国に帰っていく還流の形を作りたかった」とベトナム進出を決めた理由を説明した。[caption id="attachment_20042" align="aligncenter" width="620"]ベトナムでの事業展開への意欲を語るウェルグループの井村CEO=4月、ハノイ[/caption]
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