第318回
高橋さん:みらい先生、こんにちは。
みらい:はい、高橋さんこんにちは。なんだか顔色が優れないですね。
高橋さん:はい…。実は海外赴任して半年ほどたつのですが、先日インフルエンザに感染してしまって、今日は病み上がりなんです。その際、現地の病院を受診したのですが、このときの治療費についてご相談させてください。
みらい:それはとんだ災難でしたね。これからますます寒くなっていきますので、私もインフルエンザに気を付けなければいけませんね。ご質問の治療費の件ですが、高橋さんは日本の健康保険に継続加入されていますよね。海外の医療機関で受診した場合でも、日本の健康保険制度に加入している限り、一部の例外を除き、日本の健康保険制度から給付を受けることが可能です。実際の手続きとしては、いったん治療費を全額立て替え払いしていただき、診察費や入院費、薬剤費等かかった費用について、「海外療養費支給申請書」に「領収書」や「診療明細書」を添付して、協会けんぽや健康保険組合等、健康保険の保険者に提出してください。保険給付の対象となる費用のうち、自己負担の3割を差し引いた7割の費用を請求することができます。これを海外療養費制度といいます。
高橋さん:海外赴任中でも費用の給付を受けることができるのですね、それは安心しました。
みらい:はい。海外赴任中の急な病気やけがにより、やむを得ず現地の医療機関で診療を受けた場合に利用可能です。被保険者本人はもちろん、被扶養者も対象です。ただし、注意していただきたいのが、実際に海外で支払った金額の7割が支給されるわけではないということです。
高橋さん:えっ。それはどういうことですか。
みらい:日本国内の医療機関等で同じ傷病を治療したと仮定して、その場合にかかる治療費を基準に計算した額(海外で支払った額の方が低いときはその額)の7割が還付されます。そのため、療養にかかった金額の7割が還付されるわけではないということです。赴任先によっては、医療体制や治療方法が日本と異なることによって、支給金額が大幅に少なくなってしまうこともあるという点に注意が必要ですね。
高橋さん:勉強になります。
みらい:ただし実際には、健康保険の海外療養費制度を利用するケースよりも、海外旅行保険を利用するケースが圧倒的に多いです。保険会社と契約を結んでいる病院であればキャッシュレスで診療を受けることができる保険もありますので、保険約款や勤務先を通して、サービス内容や家族も補償の範囲内になるかどうかといった細かい条件を確認しておくことをお勧めします。
高橋さん:ありがとうございます。確か会社で海外旅行保険に加入していると思いますので、会社に確認してみます。ちなみに、もし療養が長引いて長期欠勤してしまった場合、海外赴任中でも何か給付を受けられますか。
みらい:海外赴任の場合であっても次の4つの要件を満たすことで、健康保険の傷病手当金を受給することができますよ。
1)業務外の事由による傷病で休職していること
2)仕事に就くことができないこと
3)連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
4)休業した期間について給与の支払いがないこと
労務不能と認められた日の4日目から労務不能の日ごとに、標準報酬日額(※標準報酬月額を30で割った額)の3分の2に相当する額が支給されます。
高橋さん:日本で勤務しているときと同じ要件で傷病手当金を受給できるのですね。とても安心しました。ありがとうございました。
みらい:良かったです。お大事になさってくださいね。
object(WP_Post)#9817 (24) {
["ID"]=>
int(24648)
["post_author"]=>
string(1) "7"
["post_date"]=>
string(19) "2025-02-06 18:54:03"
["post_date_gmt"]=>
string(19) "2025-02-06 09:54:03"
["post_content"]=>
string(4911) "第318回
高橋さん:みらい先生、こんにちは。
みらい:はい、高橋さんこんにちは。なんだか顔色が優れないですね。
高橋さん:はい…。実は海外赴任して半年ほどたつのですが、先日インフルエンザに感染してしまって、今日は病み上がりなんです。その際、現地の病院を受診したのですが、このときの治療費についてご相談させてください。
みらい:それはとんだ災難でしたね。これからますます寒くなっていきますので、私もインフルエンザに気を付けなければいけませんね。ご質問の治療費の件ですが、高橋さんは日本の健康保険に継続加入されていますよね。海外の医療機関で受診した場合でも、日本の健康保険制度に加入している限り、一部の例外を除き、日本の健康保険制度から給付を受けることが可能です。実際の手続きとしては、いったん治療費を全額立て替え払いしていただき、診察費や入院費、薬剤費等かかった費用について、「海外療養費支給申請書」に「領収書」や「診療明細書」を添付して、協会けんぽや健康保険組合等、健康保険の保険者に提出してください。保険給付の対象となる費用のうち、自己負担の3割を差し引いた7割の費用を請求することができます。これを海外療養費制度といいます。
高橋さん:海外赴任中でも費用の給付を受けることができるのですね、それは安心しました。
みらい:はい。海外赴任中の急な病気やけがにより、やむを得ず現地の医療機関で診療を受けた場合に利用可能です。被保険者本人はもちろん、被扶養者も対象です。ただし、注意していただきたいのが、実際に海外で支払った金額の7割が支給されるわけではないということです。
高橋さん:えっ。それはどういうことですか。
みらい:日本国内の医療機関等で同じ傷病を治療したと仮定して、その場合にかかる治療費を基準に計算した額(海外で支払った額の方が低いときはその額)の7割が還付されます。そのため、療養にかかった金額の7割が還付されるわけではないということです。赴任先によっては、医療体制や治療方法が日本と異なることによって、支給金額が大幅に少なくなってしまうこともあるという点に注意が必要ですね。
高橋さん:勉強になります。
みらい:ただし実際には、健康保険の海外療養費制度を利用するケースよりも、海外旅行保険を利用するケースが圧倒的に多いです。保険会社と契約を結んでいる病院であればキャッシュレスで診療を受けることができる保険もありますので、保険約款や勤務先を通して、サービス内容や家族も補償の範囲内になるかどうかといった細かい条件を確認しておくことをお勧めします。
高橋さん:ありがとうございます。確か会社で海外旅行保険に加入していると思いますので、会社に確認してみます。ちなみに、もし療養が長引いて長期欠勤してしまった場合、海外赴任中でも何か給付を受けられますか。
みらい:海外赴任の場合であっても次の4つの要件を満たすことで、健康保険の傷病手当金を受給することができますよ。
1)業務外の事由による傷病で休職していること
2)仕事に就くことができないこと
3)連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
4)休業した期間について給与の支払いがないこと
労務不能と認められた日の4日目から労務不能の日ごとに、標準報酬日額(※標準報酬月額を30で割った額)の3分の2に相当する額が支給されます。
高橋さん:日本で勤務しているときと同じ要件で傷病手当金を受給できるのですね。とても安心しました。ありがとうございました。
みらい:良かったです。お大事になさってくださいね。"
["post_title"]=>
string(78) "【日本の税務】海外赴任中に急な病気で治療を受けたとき"
["post_excerpt"]=>
string(0) ""
["post_status"]=>
string(7) "publish"
["comment_status"]=>
string(4) "open"
["ping_status"]=>
string(4) "open"
["post_password"]=>
string(0) ""
["post_name"]=>
string(200) "%e3%80%90%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ae%e7%a8%8e%e5%8b%99%e3%80%91%e6%b5%b7%e5%a4%96%e8%b5%b4%e4%bb%bb%e4%b8%ad%e3%81%ab%e6%80%a5%e3%81%aa%e7%97%85%e6%b0%97%e3%81%a7%e6%b2%bb%e7%99%82%e3%82%92%e5%8f%97-2"
["to_ping"]=>
string(0) ""
["pinged"]=>
string(0) ""
["post_modified"]=>
string(19) "2025-02-06 18:54:03"
["post_modified_gmt"]=>
string(19) "2025-02-06 09:54:03"
["post_content_filtered"]=>
string(0) ""
["post_parent"]=>
int(0)
["guid"]=>
string(34) "https://nnaglobalnavi.com/?p=24648"
["menu_order"]=>
int(0)
["post_type"]=>
string(4) "post"
["post_mime_type"]=>
string(0) ""
["comment_count"]=>
string(1) "0"
["filter"]=>
string(3) "raw"
}
- 国・地域別
-
グローバル情報日本情報
- 内容別
-
ビジネス全般生活全般