ライセンス業種と中央主管官庁の理解
~登記後に立ちはだかる「営業開始の壁」とその正しい越え方~
台湾で法人を設立する際、「登記が完了すれば営業もすぐにスタートできる」と思い込んでいませんか?確かに、登記が完了すれば会社は法的に成立しますが、業種によってはその後に“営業許可”の取得が必須となるケースが少なくありません。
台湾では、登記時に申請する「営業項目(営利事業項目)」は、日本における定款の目的欄に相当するものです。会社が行う予定の事業活動を具体的に列挙し、これに基づいて自動的に中央主管官庁(業種ごとの監督官庁)が割り当てられます。
特に、この営業項目番号の末尾が「1」のライセンス業種(特殊営業項目)がある場合は、設立後に主管官庁から営業許可の取得がなければ、その業務を実施できません。万が一未取得な場合は、違法営業となるリスクがあるため、事前の確認と手続きが極めて重要です。
本稿では、「中央主管官庁」とは何か、どのような業種が該当するのか、営業許可取得時の注意点、外資規制、そして弊社のサポート体制について紹介します。
台湾と日本の主管官庁の対応と主な該当業種
| 台湾の主管官庁 | 日本の類似官庁 | 主な該当業種 |
| 経済部(商業司) | 経済産業省 | 一般商業・小売・貿易 |
| 衛生福利部(地方衛生局/TFDA) | 厚生労働省・消費者庁 | 飲食業、食品製造、化粧品・医療機器の販売 |
| 教育部・地方教育局 | 文部科学省 | 教育関連・語学スクール |
| 交通部観光署 | 国土交通省・観光庁 | 旅行業(代理店・ツアー販売) |
| 金融監督管理委員会(FSC) | 金融庁 | 金融商品取引・決済サービス |
| 国家通信伝播委員会(NCC) | 総務省(通信・放送) | 通信・ネットワーク関連サービス |
| 労動部勞動力發展署 | 厚生労働省(職業安定局) | 人材派遣・人材紹介 |
| 内政部不動産署 | 国土交通省(不動産関連) | 不動産仲介・管理 |
外資による業種参入と規制の注意点
台湾では多くの業種で外資参入が可能ですが、一部は資本比率の制限や台湾法人との合弁が必須です。特に、金融・電信・教育・旅行などは要注意分野です。
【対策】
- 設立前に主管官庁の公開情報や専門家による審査
- 合法性を満たした名義出資・合弁スキームによる対応
営業許可取得が求められる業種の一例:語学スクール(補習班)
語学スクールは「補習班」に分類され、教育部と地方教育局の許可が必要なライセンス業種です。
営業開始までに必要な主なステップ:
・物件が教育用途に適合(都市計画・消防基準)
・教室の広さ・設備(照明・通気・トイレ等)の基準を満たす
・校長・講師の学歴・経歴・無犯罪証明取得
・書類を揃えた上で地方教育局へ申請、現地調査の上で営業許可取得
これらの手続きには通常2~3か月以上を要するため、設立と同時に営業開始することは現実的ではありません。
まとめ:登記と営業許可の違いを正しく理解し、計画的に台湾進出を
台湾での法人設立においては、「登記が完了すればすぐに営業を開始できる」と誤解されがちですが、実際にはそうとは限りません。特に営業項目の末尾が「1」のライセンス業種(特殊営業項目)に該当する場合、所轄の中央主管官庁から営業許可を取得しなければ、実際の事業活動を行うことはできません。
また、金融・教育・通信・旅行等の特定分野では、外資の出資比率に制限がある、あるいは台湾法人との合弁が必須とされるケースがあり、事前の確認を怠ると、違法営業や出資の無効化といったリスクに直結します。
こうしたリスクを回避し、スムーズに事業をスタートさせるためには、以下のような事前準備が非常に重要です。
【台湾進出時に留意すべきポイント】
| 項目 | 対策・留意点 |
| 営業項目の確認 | 登記前にライセンス業種(営業項目末尾が1)の有無を確認 |
| 営業許可の取得 | 該当業種は主管官庁(教育部・衛生福利部・金融監督管理委員会等)の許可が必要 |
| 外資規制の有無 | 業種により外資の出資比率制限や合弁要件が存在(例:金融・教育・通信など) |
| 営業開始までの期間 | ライセンス取得には2~3か月以上かかるケースも多く、スケジュールに余裕を持つことが重要 |
【当社による支援内容】
設立前におけるライセンス業種該当性の確認
法人設立後の営業許可申請書類の作成・取得サポート
外資規制を考慮したスキーム(合弁設立・名義出資等)のご提案
資本取引(出資、増資、減資等)に関する実務支援
登記だけで事業が始まるわけではないという点を正しく理解し、
制度理解・スケジュール設計・専門家の支援を活用して、
御社の台湾ビジネスを確実かつ合法的にスタートさせましょう。
※本記事は2025年8月時点の情報をもとに作成しています。制度改正や運用の変更が行われる可能性があるため、必ず最新の法令・公的発表をご確認ください。
| 台湾の主管官庁 | 日本の類似官庁 | 主な該当業種 |
| 経済部(商業司) | 経済産業省 | 一般商業・小売・貿易 |
| 衛生福利部(地方衛生局/TFDA) | 厚生労働省・消費者庁 | 飲食業、食品製造、化粧品・医療機器の販売 |
| 教育部・地方教育局 | 文部科学省 | 教育関連・語学スクール |
| 交通部観光署 | 国土交通省・観光庁 | 旅行業(代理店・ツアー販売) |
| 金融監督管理委員会(FSC) | 金融庁 | 金融商品取引・決済サービス |
| 国家通信伝播委員会(NCC) | 総務省(通信・放送) | 通信・ネットワーク関連サービス |
| 労動部勞動力發展署 | 厚生労働省(職業安定局) | 人材派遣・人材紹介 |
| 内政部不動産署 | 国土交通省(不動産関連) | 不動産仲介・管理 |
外資による業種参入と規制の注意点
台湾では多くの業種で外資参入が可能ですが、一部は資本比率の制限や台湾法人との合弁が必須です。特に、金融・電信・教育・旅行などは要注意分野です。 【対策】- 設立前に主管官庁の公開情報や専門家による審査
- 合法性を満たした名義出資・合弁スキームによる対応
営業許可取得が求められる業種の一例:語学スクール(補習班)
語学スクールは「補習班」に分類され、教育部と地方教育局の許可が必要なライセンス業種です。 営業開始までに必要な主なステップ: ・物件が教育用途に適合(都市計画・消防基準) ・教室の広さ・設備(照明・通気・トイレ等)の基準を満たす ・校長・講師の学歴・経歴・無犯罪証明取得 ・書類を揃えた上で地方教育局へ申請、現地調査の上で営業許可取得 これらの手続きには通常2~3か月以上を要するため、設立と同時に営業開始することは現実的ではありません。まとめ:登記と営業許可の違いを正しく理解し、計画的に台湾進出を
台湾での法人設立においては、「登記が完了すればすぐに営業を開始できる」と誤解されがちですが、実際にはそうとは限りません。特に営業項目の末尾が「1」のライセンス業種(特殊営業項目)に該当する場合、所轄の中央主管官庁から営業許可を取得しなければ、実際の事業活動を行うことはできません。 また、金融・教育・通信・旅行等の特定分野では、外資の出資比率に制限がある、あるいは台湾法人との合弁が必須とされるケースがあり、事前の確認を怠ると、違法営業や出資の無効化といったリスクに直結します。 こうしたリスクを回避し、スムーズに事業をスタートさせるためには、以下のような事前準備が非常に重要です。 【台湾進出時に留意すべきポイント】| 項目 | 対策・留意点 |
| 営業項目の確認 | 登記前にライセンス業種(営業項目末尾が1)の有無を確認 |
| 営業許可の取得 | 該当業種は主管官庁(教育部・衛生福利部・金融監督管理委員会等)の許可が必要 |
| 外資規制の有無 | 業種により外資の出資比率制限や合弁要件が存在(例:金融・教育・通信など) |
| 営業開始までの期間 | ライセンス取得には2~3か月以上かかるケースも多く、スケジュールに余裕を持つことが重要 |

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